表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/94

湖の謎と予期せぬ弓使い

湿地の魂の源から現れた存在は、湖の過去について新たな手がかりを与えてくれた。失われた神殿、忘れられた儀式……

私の使命はさらに複雑になっていく。

フィンは私の脇で微かに光り、まるで精霊のエネルギーに影響を受けたようだ。彼はもはや単なる相棒ではなく、霊的な導き手のようでもある。


湖の守護者たちの遺言を再び調べる。精霊が私の心に映した映像と、遺言に記された幾つかの印が重なり始める。

特に一つの印が目を引いた――「忘れられた神殿」。遺言によれば、その場所は「囁きの森」と呼ばれる未踏の地にあるという。


しかし、続く冒険で私は疲れていた。積み重なる情報と緊張が、休息が必要だとささやく。

最も良い癒しは、全ての始まりの場所――最初の湖に戻ることだ。釣り糸を垂らしながら、心を落ち着かせたい。


街の広場に戻る。エルリックの店の前を通り過ぎると、懐かしい香りが安らぎを与えてくれる。だが今の目的地はここではない。真っ直ぐ最初の湖へ向かう。


湖岸に着く。夕日が空をオレンジと紫に染めている。空気は穏やかで温かい。

「失礼します」


釣り糸を投げようとした瞬間、聞き覚えのない声がした。振り向くと、

若い女性が微笑みながらこちらを見ていた。20歳前後だろう、長く輝くブロンドの髪をしている。肩にかかった髪は、夕日に黄金のように輝く。瞳は湖の水のように透き通った青で、好奇心にきらめいていた。

彼女は軽い革の鎧のような弓使いの装束をまとい、背中には弓と矢筒を背負っている。


女性は湖に向かって歩み寄り、私のそばに来る。

「私はアリス。街であなたの噂を耳にしました。戦わず、釣り竿一本で英雄的なことを成し遂げるのだとか。本当ですか?」

その声は甘く、親しみやすい。


私は驚く。ヴェリディアン・レルムで、釣り人である私を英雄扱いする者などいなかった。アリスの言葉は、胸に温かさを広げる。

フィンはアリスに向かって軽く跳ね、まるで新しい友達を見つけたかのようだ。


「この可愛い子は?」

アリスは屈み込んでフィンに触れ、その輝きに感心したように見える。少し驚いた声で尋ねる。

「これはフィン。湿地で出会った。私の相棒だ」

私は優しくフィンを撫でる。

フィンは同意するように小さく唸る。


「本当に?こんなに…光り輝く生き物は見たことがありません。それであなたのお名前は?」

アリスの視線が私に向けられる。

「僕はリョウ」

私は釣り竿を調整し、糸をチェックする。


「リョウ、私は弓使いです。普段は森で狩りをしたり、危険を避けたりしています。でもあなたの話はとても興味深い。釣り人がどうやって英雄になれるのですか?」

彼女の声と瞳は純粋な好奇心に満ちている。


「英雄の定義は人それぞれだと思う。僕の道は、もっと探求と理解に関するものさ」

釣り糸を水面に投げる。浮きが優雅に漂う。


「なるほど。つまり釣りをしながら世界を救うってこと?」

アリスは首を傾げる。目に軽い茶目っ気があるが、真摯だ。

「まあ、そう言えなくもないね。時には、最も深い秘密が最も穏やかな場所に潜んでいるものさ」

私は微笑む。


「とっても神秘的ですね、リョウ。それでフィンは…釣りのお手伝いでもするの?」

彼女の視線はフィンに向き、フィンは嬉しそうに跳ねる。

「ああ、そうだね。彼には独特の才能がある」

私はフィンのエネルギー操作能力について触れない。それはまだ共有する準備ができていない秘密だ。


「私も一緒に行ってもいいですか?こんな冒険を体験してみたいんです。弓の腕なら役に立てますよ。遠くの危険を察知できますし、必要なら道を開くことも」

アリスは躊躇いながら尋ねる。顔には期待の表情が浮かんでいる。


この申し出は私を驚かせ、考え込ませる。

一人旅に慣れている。だがアリスの熱意と誠実さは心地良い。

この旅に新しい仲間が加われば、冒険に彩りが加わるかもしれない。フィンもアリスの周りを回り、まるで彼女を承認しているようだ。小さな体から微かな光が放たれる。


「わかった、アリス。旅は厳しいぞ。でも一緒に来ていい。危険に備えるんだ」

私の顔に微笑みが浮かぶ。


「準備万端です!ありがとう、リョウ!」

アリスの顔が輝く。まるで夢が叶ったかのように。


釣り糸を水面に投げる。糸が水に落ちる音が、全ての疲れを洗い流してくれるようだ。

アリスも肩から弓を下ろし、湖の景色を眺める。

フィンは私たちの傍で安らかに丸まり、柔らかな光で周囲を照らす。この瞬間こそ、新たな冒険に向かう前に必要な力の源だ。


夜明けの光と共に、私は新たなエネルギーを感じる。心は澄み、決意は固い。

休息は終わった。今こそ、忘れられた神殿へ向かう時だ。そして今回は、一人ではない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ