遺跡の深淵と古代のエネルギー
記念碑の下で錆びた金属のレバーを見つけた。土の中に隠されたこの仕掛けは、ここに秘められた謎への鍵のようだ。心臓の鼓動が早くなる。これは地図が示す新たな始まりに違いない。
レバーを引くために力を込める。錆びた金属がきしみ、長年動かされていなかったことがわかる。苦労しながらレバーを下ろすと、地面が震え始めた。
記念碑の下で巨大な石ブロックがゆっくりと滑り、秘密の狭い階段通路が現れる。中からは重く古びた匂いが立ち上ってくる。湿気と土の混ざったような匂いだ。
階段通路を見下ろす。漆黒の闇が広がっている。どれほど深いのか見当もつかない。内心、少し躊躇いが生じる。しかしその躊躇いも、私の好奇心には勝てない。
ポケットから「月の虫」を取り出す。数匹を階段下に向かって放つ。彼らが放つ微かな光が、最初の数段の階段を照らし出す。この光が私に道を示してくれる。
慎重に階段を降り始める。一歩ごとに、洞窟の冷たく湿った空気がまとわりつく。苔むした石で作られた階段は滑りやすいようだ。注意が必要だ。
深く降りるにつれ、外の光は完全に消える。完全な闇に包まれる。「月の虫」がいなければ、何も見えないだろう。彼らがこの地下世界で唯一の光だ。
階段は細長い通路につながっている。壁は加工された石でできており、自然の洞窟ではない。誰かによって建設された構造物だ。
通路の奥から微かな光が漏れている。その光が希望を与えてくれる。そちらへ歩みを進める。足音が湿った床に静かに反響する。
光源に近づくにつれ、通路は広がっていく。目の前に大きな部屋が現れる。洞窟の中心にあるクリスタルの広間を思わせる空間だ。
部屋の中央には円形のプラットフォームがあり、その上に巨大なクリスタルが鎮座している。紫と緑の光を放ちながら輝くそのクリスタルは、司書の図書館にあるものよりはるかに大きい。
クリスタルから発せられるエネルギーが部屋の空気を震わせる。このエネルギーはどこか懐かしい。古の湖のクリスタルが放つそれに似ている。
プラットフォームへと近づく。部屋の壁には見覚えのある古代のシンボルが刻まれている。何かの物語を語っているようだ。私は今、その物語の一部になろうとしている。
クリスタルの光が影の中に一人の人物を浮かび上がらせる。年配の、マントをまとった人影。顔は闇に隠れているが、目だけは鮮やかな紫の光を放っている。どうやらNPCのようだ。
「ようこそ、若き旅人よ。長い間、あなたのような者を待っていた」
その人物はゆっくりと私に向かって近づいてくる。




