表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/94

修道院の扉と静かな守護者たち

巨大な修道院の門にたどり着いた。苔むした灰色の石は、時の重みを感じさせる。鍵や取っ手は見当たらない。


指先を冷たい石に触れる。胸に軽い緊張が走る。どうやって開くのだろう?


しばらく待つ。周囲には誰もいない。完全な静寂が支配している。


合言葉か、特別なアイテムが必要なのかもしれない。月光の粉を思い出す。フィニアンからの贈り物だ。


インベントリから袋を取り出す。粉のきらめきが、暗い扉の前で微かな光を放つ。袋を扉に向かって差し出す。


何も起こらない。扉は微動だにしない。一瞬、がっかりする。


その時、扉の右側、壁の根元に小さなディテールを見つける。苔に埋もれかけた、かすかに見える紋様だ。


紋様に触れる。冷たく粗い感触。エルリックからもらった本の図柄に似ている。


触れた瞬間、扉からかすかな音がして、ゆっくりと内側に滑り始める。


広い隙間ができる。内部は暗く薄明るい。湿った土の香りが鼻を突く。


深く息を吸い込み、一歩踏み入れる。足音が空洞の廊下に響く。


背後で扉がゆっくりと閉じる。金属音が静寂を破る。


完全な闇に包まれる。目が薄暗さに慣れるまで時間がかかる。


しばらくすると、廊下の先に微かな光を見つける。そちらへ歩みを進める。


高い壁は苔と年月に侵されている。空気は冷たく淀んでいる。


光に近づくと、その源がわかる。壁のくぼみに置かれた小さな水晶玉だ。


青白い光を放ち、狭い廊下を照らしている。


水晶玉の傍まで来ると、廊下の突き当たりにたどり着く。そこには二体の像が立っている。


長身でマントをまとった姿。頭巾で顔を覆われ、目だけが光っている。


生き物ではない。だが威圧感がある。私を見つめているようだ。


像の間には小さな台座。円形のくぼみがある。


くぼみを見る。月光の粉の袋とぴったり合いそうな形だ。


月光の粉を取り出す。闇の中で輝きが一層鮮明になる。


袋を台座のくぼみに嵌め込む。完璧に収まる。


粉が触れた瞬間、像の目がより鮮やかな青色に輝き始める。そして修道院の奥底からうなるような音が響いてくる。


まるで古い何かが目覚めるようだ。この音は私を怖がらせると同時に、前へと駆り立てる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ