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依頼の完了と新たな謎

紫の魚を手に、私はフィニアンを探しに出発した。湖岸を離れ、年老いた漁師が座っていた場所へと歩いていく。


朝日がゆっくりと昇りつつある。ヴェリディアン・リアルムズの空はオレンジとピンクに染まっていた。


フィニアンはまだ同じ場所に座っていた。以前ほど悲しげな表情ではなく、かすかな希望が浮かんでいるようだ。


「フィニアンさん」

静かに声をかける。


彼は顔を上げた。私を見つめると目が輝いた。

「若き釣り人よ。待っていた」


大きく微笑みながら、そう言った。


私はインベントリを開き、紫の魚を取り出して差し出す。

フィニアンは慎重に魚を受け取った。まるで壊れやすい彫刻を扱うかのように優しかった。


「これだ! まさに私が考えていた通り」

声は興奮に震えている。


魚を入念に観察し、指で鱗をなぞる。

「これは普通の魚ではない、わかるか? 湖のバランスを乱す存在なのだ」


彼の視線は魚の輝きに釘付けになったままだった。


私は少し混乱する。湖のバランス?


「この湖は長い間、ある秘密を守ってきた。これらの魚はその秘密の一部なのだ。太古の力が、湖の深みで目覚めつつある」


フィニアンは顔を上げ、遠くの山々を見つめた。


この言葉に驚く。私はただ釣りをしていただけなのに。


「約束の品を渡そう」


フィニアンは懐から小さな刺繍の入った袋を取り出した。

私に差し出すその袋は軽いが、中に何か入っているのは明らかだ。


受け取って中を覗くと、きらめく粉が見えた。

「これは?」


「『月光の粉』だ。滅多に見つからない貴重品だ。特定のアイテムを強化できる。そして...あの秘密の集団の興味を引くかもしれない」


彼は声を落とし、ウィンクした。


"秘密の集団"という言葉で、エルリックの店で聞いた話を思い出す。この粉が彼らの関心を引くというのか。


「この依頼を引き受けてくれたことに感謝する、若き釣り人よ。湖は再び平穏を取り戻すだろう」


フィニアンは魚を地面に置いた古い布で丁寧に包んだ。安堵の表情が浮かんでいる。


私は再び竿を湖に投げ入れる。この依頼が新たな道を開いてくれた。


フィニアンは私の隣に座り続けた。今回は以前より落ち着いて、幸せそうに見える。


インベントリで月光の粉がきらめいている。これは、私のゆったりとした冒険が、決して平凡ではないことを示していた。


ヴェリディアン・リアルムズは、私が思っていた以上に深い秘密を隠し持っている。そして私は今、その秘密のほんの一部に触れたばかりなのだ。

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