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失われた技術

「カイルさんが昔の部品使って直してくれたんだ」

 自分が何かをしたわけでもなさそうだが、眉毛をクイッと上げ、誇らしげな顔をしているカミュレス。その表情が少し鼻についたが、そんなことより修理された時計の方が気になり、リールはその場に駆け寄った。

「えっ?あっ、ここの歯車はまってる……。ここのビスも……。これは何だろう?でも、なんか埋まってる……。この形初めて見るな……。これも古代魔具の部品なのか?」

「お前、そんな喋るんだな……」

 カミュレスは目を細め、ジトッとリールを見た。二人が話している間も、何も話さずカイルは椅子に座っている。

「あ、ありがとうございます……」

 リールは珍しく、あまり慣れていない人に向かって自分から話しかけた。カイルのことは敵のような認識をしていたリールだったが、一瞬で心変わりしたようだ。

「いえ……」

 カイルは前髪で見えないリールの目のあたりを見ながら、そう言った。

「ち、ちなみに、これはどうやったら動くんですか……?」

 リールは小さい声で質問した。

「そこに魔石を埋め込むと動くはずです」

 そう言って時計の裏にある小さいくぼみのところを指差した。しかしそのくぼみは綺麗に四角形に穴が空いている。どう考えてもゴツゴツとした魔石をちょうどはめられるようにはできていないようだった。

「ここに魔石を?でも、古代魔具は魔石では動かないはずでは!?」

 カミュレスは驚きを隠せないようで、いつもより大きな声でそう言った。

「古代魔具は魔力の入った魔石では発動はしません。しかし、魔石を介して人から魔力を吸い上げて発動します」

「えっ!?そんなこと、どの本にも……」

 カミュレスは眉をひそめ、難しい顔をしている。

 カイルは腰に下げている短剣が入っているであろう革の袋に手をかけた。中からは想像通りの短剣が出てきた。

「これはルルドネアに伝わる古代魔具の一つです。今なお使えるものはこれを含め、数個しかありません。ここを見てください」

 カイルはそう言って、剣の持ち手のところに埋め込まれている石を指差した。黒いその石は真四角形だった。

「これは魔石です。今流通している魔石と同じものではあります。しかし、現在ではこのように形作る技術は失われてしまいました。古代魔具にはすべてこのような加工された魔石が埋め込まれています。ここを握ると私の手から魔力が、この魔石を介してこの魔具に伝わります」

「ではこの時計もそのような加工された魔石を埋め込めば動くということですか?」

「保障はできませんが、動くと思います。しかし、ルルドネアにももう加工された魔石は残っていません。ましてや、このような魔具に使うとなるとぴったりとはまるように特注で加工されたものだったと考えます……」

「つまりは……」

「現在の技術では不可能だと……」

 カイルはそう言いかけて止めた。何かを考えているようだった。

「カイルさんもしかして……」

 カミュレスはカイルが何を考えているのかを悟った。それと同時に彼がなぜそのことを知っているのかを考えていた。

「は、ハレアの能力があればそれが可能だということですよね?」

 リールは長い前髪の隙間からカイルを見ながらそう言った。


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