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十年前越しの再会

「ハレア?とりあえず本屋に行く?でも、洋服買えって言われてたから服屋行く?」

 いつになく少し饒舌にハレアに問いかけるリール。ルードと三人で街を散策するはずが、珍しい食材が多いルルドネアの市場に魅せられ、一人で買い物に行ってしまい、リールとハレアの二人だけ残されてしまった。

「チルがいつも同じような服着てるから新しいの買えって言われたから服屋に行こうかな~。本は重いし……」


―――


「本当にそれだけでいいの?」

 服屋の紙袋を一つ、ハレアが手に持っているのをリールがするりと取った。

「えっ?結構買ったつもりだったんだけど……」

「貴族の人ってすっごい買うイメージだったから……」

「私は元から動きやすい服だったらなんでもいいの。どうせすぐ水浸しになっちゃうし……」

 そう言いながら口を尖らせるハレアをリールは優しい目で見た。

「どうする?夕方の迎えの馬車までは結構あるけど、本屋行く?」

「う~ん……、どうせなら一緒に甘いものでも――」


「ハレア?」


 後ろからそう呼ぶ女の人の声がした。ハレアが振り返るとそこには中年の女性がいた。

「ガーリアさん?」

 ハレアにはその懐かしい声ですぐに分かった。十年前までロンダム家にいた、ハレアと兄のソレートの乳母だった人だ。

 リールはすぐにいつものように下を向き、人見知りモードに戻ってしまった。

「ハレアなのね!」

 ガーリアはそう言ってハレアに駆け寄って抱きしめた。ハレアもこれまでの十年を埋めるかのように背中に手を回し、強く抱き寄せた。


「久しぶりね。ごめんなさい、急にロンダム家を辞めてしまって……。ずっと気になってはいたのよ……」

 抱き寄せた体を離れ、彼女は少し涙ぐみながらそう言った。

「私もガーリアさんのこと気にしてたのよ?私が原因だったんだよね……。この間初めてパパから聞いて知ったの……。ごめんなさい」

 ハレアも目に涙を溜め、そう言いながら目を閉じると大きな涙が零れ落ちた。

「いいのよ……。あなたが気にすることじゃないわ……」

 そんな二人を後ろからどうしたらいいのか分からない様子であわあわとしているリール。ガーリアはそんな彼を見て、少し微笑んだ。

「そうだわ!お二人うちにいらっしゃい!小さい家だけど、おいしいお茶なら出せるわよ?元ロンダム家に勤めていたんだもの」

 ガーリアは昔と同じように包み込むような笑顔でハレアとリールを見た。


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