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時を戻す魔具

「おい、なんでこれお前が持ってんの!?」

 リールの部屋にある古代魔具である金色の時計を手に取り、カミュレスは驚きながら言った。

「ああ、ハレアの友達にもらった……」

 実際はハレアにあげたものなのだが、リールはこうも堂々と嘘をつく。

「もらった!?」

「それ、その……君があげたものでしょ?持て余すからって……」

「いや……、でもこれ……」

「古代魔具でしょ?」

「知ってんのかよ……」

「そりゃ……、魔具作ってるし……」

「直せたのか?」

「さすがに古代魔具の修理はできなかった……。多分部品と魔力不足。古代魔具は今の魔具と違って魔石から魔力をもらって動く仕組みじゃないから、原動力が分からない……」

「はぁ……。やっぱそうか……」

「なんでこれをあげたの?しかも魔術も使えない人に……」

「あ~、別に理由はねえよ。お前と同じように俺じゃこれ直せなかったし。これがあると淡い期待をすると思って……」

「期待?」

「もう知ってんだろ?俺がハレアにフラれたこと……。この魔具って時間を戻す魔具だろ?出会った時に戻ってもっと印象が良くしたらとか、違う出会い方だったらとか、もっと魔術が使えたらとか、それがあると『もしかしたら』を考えて止まらなくなるんだよ。だからあげた。どうせそれも直せないし、ハレアとどうこうなることは今後一切ないだろ?」

 カミュレスは時計の魔具を見ながら少し苦しそうな笑顔を浮かべた。

「間違ってるよ……」

「は?」

「これ、時間を戻す魔具じゃないよ……」

「えっ……。でも、これは……」

「本か何かにはそう書いてあったかもしれないけど、実際は違う。時を戻すのは間違いじゃないけど……、なんて説明したら……。その……何か対象のものを修復する魔具……みたいな。割れたガラスを割れる前の状態に戻したり、枯れた花を枯れる前の咲いた状態に、もしくは蕾の時に戻す……みたいな……」

「はは、じゃあ結局俺の望みは叶わなかったわけだ」

 カミュレスは少しだけすっきりとした顔をした。


「で?これをここに持ってきたのは訳があるんだろ?」

 リールの方を向き、カミュレスは言った。

「うん。ルルドネアは古代魔具をよく作ってたって聞くし、何か本でも残ってたらって思って……」

「あの人に聞いたら?チル嬢のお兄さん。第五隊長候補なんだろ?」

「あの人、なんかやだ……」

 リールはカミュレスから目を逸らし、口を尖らせながら言ったが、もともと前髪が顔を覆っているため見えていない。

「じゃあ、俺が聞いてやるよ。俺も気になるし、その魔具のことも」

 リールのことをなんだかほっておけないカミュレスはため息交じりにそう言った。


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