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水色のバラ

「ううっ……。緊張してきました……。ドレスでお腹も苦しいし……」

 第三皇子殿下の誕生パーティーに出席するため、帝都中心にある城へ向かう馬車の中、ハレアは顔を青くしていた。

「お嬢大丈夫?酔った?」

 一緒に乗っているルードがハレアにハンカチを差し出している。ハレアの隣に座っているリールはおどおどとしていて、どうしていいのか分からない様子だ。キルシュは時計塔から直接向かうため、馬車には乗っていない。

 ハレアはパーティーというパーティーに参加するのは、学校入学前の11歳以来のため、ひどく緊張しているようだ。

「お城……、見えてきた……」

 リールは空気を読まずに、窓から見えた景色をそのまま口に出した。ハレアは窓の外のそびえたつ城を見てまた緊張が高まった。

「私、城に行くの文官の試験以来で……。しかも、落ちたし……」

 ルードは少し気まずそうな顔をした。

「お嬢が文官かぁ……。研究員ならワンチャン……」

「兄に研究員試験は受けないように言われてまして……」

「まあ、いい実験材料だよな」

 ルードはサラッとエグいことを言う。

「ルードさんこそ、Sクラスだったのに今の仕事もったいなくないですか?」

「俺はね~、あんまり魔術を使うのが好きじゃないんだよ。それより料理してる方が好き!お嬢も美味しそうに食べてくれるからね」

「私もルードさんの作るお料理大好きです!」

 その会話を聞いているハレアの隣のリールはずっと無言だ。

「さあ、もう着くよ。お嬢、大丈夫。俺たちが守るよ」

 ルードはいつもと変わらない笑顔をハレアに向けた。リールは何も言わずに首につけているチョーカーに手をかけ、姿を消した。


―――


 城の入口のところにキルシュが立っていた。いつもとは違い、髪を上げ、綺麗な一つ結びにしている。服装はいつもの魔術師団の真っ黒な服とは正反対に白を基調とした正装に胸元には水色のバラが添えられている。

「お待たせしました」

 ハレアはキルシュの目の前に行くと特に何のコメントもなく、左手を差し出した。一応、エスコートする気はあるようである。

 ハレアはキルシュの手を取り、並んで城へと入った。

「君は基本的に僕の隣で笑っていればいい」

 キルシュは仕事モードなのだろう。言葉数がいつもより圧倒的に少ない。

「あぁ、あとこれを君も胸元につけてくれ」

 キルシュはそう言って、ハレアに水色のバラのブローチを手渡した。

「へぇ~、キルシュも意外とロマンチックなことするんだ」

 従者としてキルシュとハレアの後ろに立っているルードがニヤニヤとした顔で口を出す。

「いや、これはスキード君がくれて……」

 キルシュが慌てて弁解しようとする。

「魔具だね、それ」

 ルードの近くの何もない空間から小さくリールの声がした。

「ああ、そうだ!どちらかの心拍数が過剰に上がった場合、片方の魔具の色が変わり知らせる仕掛けになっている。もともとあった魔具をここにつけてきてもおかしくないように彼が作り直してくれたんだ。やはり繊細な作業において彼の右に出る者は――」

「キ~ル~シュ」

 ルードはスイッチが入ったように話し出したキルシュを咎めるように割って入るとスンっと静かになった。油断するとすぐに、過剰に話してしまうようだ。

 ハレアはキッシュがちゃんと時計塔でやっていけているのか少し心配になった。


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