人形の瞳
「お嬢はまだここいていいよ。俺、お昼ご飯の準備しなきゃだから」
「じゃあ、私もこれで。旦那様に連絡もできましたし」
「いや、せっかく同級生に会えたんだから学生時代の話でもしたら?」
ルードはハレアに対してウインクをして何かを訴えた。
(そうは言っても元Sクラスの人と関わりなんてないし、話も何も……)
ハレアはリールをチラッと見ると、彼も気まずそうに下を向いていた。
ルードは「じゃあまたね~」と手を振って颯爽と去って行った。ルードは足が速いのか、次の瞬間にはいなくなっていた。
部屋には機械音と人形から聞こえる幼い声が奇妙に響いている。
「あっ、あの……」
ハレアは気まずさに耐えられずにリールに話しかけた。
「ハッ、はい!」
リールは上ずった声で返事をした。先ほど魔具の使い方を説明してくれた時は割と普通に会話出来ていたと感じたハレアだったが、やはりルードなしの二人きりだとお互い思うところはあるようだった。それだけルードの誰とでも自然体で関われる才能を、彼が居なくなって初めて知ることになった。
「このお人形、可愛いですね……」
話題がなく、とりあえず目に入った人形の話をした。
「うん……」
会話が終了してしまった。リールは自分と会話をする気が全くないのだと感じた。
暗くて分からなかったが、揺れたカーテンの隙間から射し込んだ光が当たると分かった。この人形の瞳は薄い水色をしていた。
「この瞳の色、私にそっくり!」
そう言って、ハレアはハッとした。
(私、この人形を知ってる)
「ねえ、リールさん……。もしかして私と会った事あります?」
ハレアが質問を投げかけると、リールは小さく頷いた。




