魔石破壊
ハレアは抱えている魔石をグッと自分の体へと抱き寄せた。その瞬間ふわっと彼女の髪が逆立ち、瞬く間に彼女を中心に竜巻のような風が吹き荒れる。
ロンはとっさに腕で顔を守ったが、その腕と腕の間で薄目でハレアを見る。黒い魔石は中央部分から徐々に水色に変わっていき、全体が濃い青色になった瞬間――
バーーーーーンッ!!!!!!!
周りの山に反響するほどのけたたましい音と共に巨大な魔石は粉砕され、細かいガラスのようになり太陽の光を吸い込みキラキラと降り注いだ。
魔石がすべて地面に落ちると、空からスコールのような局地的な大雨が原っぱを襲った。
「えっ、これって……」
ロンは空を見上げて唖然とする。
「あれだけ大きな魔石だと雨が降るんですね」
ハレアは手の平で雨を感じるように広げ、ロンとは正反対に冷静な様子だ。
「お嬢!無事ですかー!?」
林の中に隠れていたルードがハレアの元へと駆け寄った。
「私は大丈夫ですよ!慣れていますし!それより、ロンさんは?」
そう言ってハレアとルードはロンの方を見る。彼は相変わらず口を開けたまま唖然としている。
「思っていたより派手だな。天候まで変えるほどか……」
キルシュは雨が止んでからゆっくりと原っぱへと出てきた。
「おい!キルシュ!これはどういうことだよ!」
ロンは少し怒ったように声を荒げ、キルシュの腕を掴みむ。
「彼女は凄い魔力量の持ち主みたいで、魔石を壊すことができるようなんです。まあ、ここまで大きな魔石を壊せるとは思っていませんでしたが」
キルシュはハレアの方を見る。彼女はルードにタオルで頭を拭かれている。
「いや、これってまずいんじゃないか?」
ロンはいまだに状況を呑み込めていないようだ。
「だから言ったんですよ。皇帝陛下にも口外しないでくださいって」
キルシュはルードに後ろ髪を拭かれているハレアの前へと向かった。
「体はどうだ?魔力は枯渇したようには見えないが、何か変化はあったか?ちなみに、破壊する瞬間は痛いや熱いなどはあるのか?飛び散った魔石の欠片は当たると痛いのか?どうやって魔力を込めてるんだ?詠唱もせずにただただ手のひらから注入する感じか?」
「えっ……、えっと……」
「キルシュ、そんな一気にまくし立てたらお嬢が困るだろ」
ルードはハレアの世話を焼きながら、キルシュをたしなめる。
ハレアはというと、キルシュに心配されたのだと勘違いをして少し頬を赤らめている。実際にはただ魔術バカなだけで、どうやって魔石を破壊しているかが気になって質問しているだけだ。
「あの、手のひらからガーって魔力を入れると少しだけ魔石が冷たくなって、そうするとピキッて割れるなぁって思って、もっとグオーって魔力を入れるとパーンッて壊れる感じです!」
ハレアは身振り手振りをしながら、一生懸命キルシュに説明をした。
「う~ん、分からないな。もうちょっと具体的に話せないものか?」
キルシュは眉間にしわをよせる。
「なあ、ちょっといいか?」
ロンは少し震えた声でみんなに問いかける。
3人はロンの方を見る。
「俺、めっちゃ魔力量増えた気がする……」




