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魔道具店のイケメン店員

 ハレアはこの人を知っている。同じ魔術学校のカミュレスだ。平民出身ながらAクラスに属していた魔術エリートで辺境の地にあるものの、帝国の魔術研究機関の研究員になると卒業間際にハレアに向かって自慢してきた男だ。もともと魔力量はあまりないが、器用なため魔術の調節が得意で大規模な魔術でなければ使えないものはなかった。学年が上がるにつれ、魔力量が上がっていき、それもあって帝国の研究機関に就職できたそうだ。

 まだ卒業して二か月も経っていない。本来ならまだ辺境の研究機関にいるはずだ。


「なんでここにいんだよ!」

 カミュレスは在学中と変わらず化け物を見るようにハレアを見下ろす。

「お二人はお知り合いですか?」

 ハレアの後ろからひょこっとコレットが顔を出す。

「お嬢様!いらっしゃい!」

 先ほどの蔑む目とは違い、王子様のように甘い顔に変わる。

「魔術学校の同期なんです。……カミュレスさんこそ、なんでここにいるんですか?」

 ハレアも面倒くさそうに質問する。

「ここ、実家なんだよ……」

 コレットに向けた笑顔からまたクルッと態度を変え、ぼそっと呟く。

「そういう意味ではなくて……」

 そう、ハレアが聞きたいことはそんなことではない。なんで研究機関にいないのかということを聞きたいのだ。

「あ~~~~~~辞めたの!!!てか、辞めさせられたの!!!!!」

 手で髪をぐしゃぐしゃにし、イライラを隠しきれないように言い放つ。

「えっ?」

 ハレアは驚きが隠せない。それもそうだ。卒業時にはAクラス主席で卒業したほどの実力の持ち主だったからだ。ハレアに対しては舐めているのか失礼な言動を繰り返していたが、教師陣や他の生徒には優しく信頼も厚い人だったからだ。責任感があり、問題行動は一切しない模範生だった彼が研究員をクビになるが考えられなかったからだ。

「力不足で一か月もしないうちに倉庫整理に回されて、そのあとすぐ解雇されたの!!!」

 不貞腐れたようにカミュレスは答える。ハレアたち以外に客が誰一人としていないようで幸いしている。巷で話題のイケメン魔道具店員がこんな性格悪いことが知れ渡ったら、帝都の乙女たちは打ち沈むことになる。

 帝国の魔術研究員や魔術師は完全実力主義だ。使えなければすぐに辞めさせられる。周りの人に圧倒され辞める人も多い。だからこそ、続けている人は超人ばかりだ。キルシュももちろん超人の域だ。

「ダセーって馬鹿にすればいいだろ」

 相変わらずカミュレスはむくれている。

「別に馬鹿にはしませんよ。でも、イケメン店員がカミュレスさんだったのにはガッカリです!」

 ハレアは「ふふふ」と笑った。

「はぁぁぁああああ?イケメンだろうが!!!この強い顔面に勝てるほどのイケメン見たことあるのか!?いねーよな!?」

 自分の顔を指さしてカミュレスはハレアに必死に訴える。


「あれ?いますよね?」

 コレットがキョトンとした表情をする。

「「「え?」」」

 そこにいたコレット以外の全員の声が揃う。


「ハレアさんの旦那様ですわ!」


「えっ、お前結婚したの?」


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