第十二話「克服する点」
始めの一戦は咲子さんが圧倒して勝敗を付けてしまった。それが原因で咲子さんの欠点が見つからない結果を残す。それを違う相手と戦わせてやり直させる方針で行くと鋭利さんは決めた。
そして次は俺の番である。俺の相手は何と燐真で凄く緊張感が高まって来た。それは相手の体格が自分を上回っていることが原因だろう。やはり、体格で負けている時点で打撃を受けてしまった時は凄まじいダメージを受けそうで怖かった。しかし、燐真の炎を攻略すれば燐火の攻略法にも繋がって再戦した時に倒せる方法が見つかる可能性が生じる。それが次回の一戦で役に立つ手段として扱えれば燐火を倒すことは難しくないと判断した。
(ここで簡単に負ける訳にはいかない。燐火と今度の一戦を交えた時に勝率を上げるために燐真だけは倒して置かないと彼女に勝利することは難しいだろう。なら、この場で燐真だけでも倒せることが燐火に近付く手段だと考えられる……! 取り敢えず燐真は倒してやらないと!)
内心で抱いた闘志は燐真を倒す力を増幅させる効果を持ち合わせている。やはり、闘志を燃やすことで燐真と交戦する時の勝率が上がると考えた。それを持っていなかった場合はきっと燐真ではない奴と交戦を強いられた時に気持ちで負けてしまう結果を招くと思われる。だから、取り敢えず今回の一戦は勝ち取って自信を付ける方針で挑みたいと思った。
「お前が燐火に敗退した時の一戦なら見たことがある。相性で言うなら俺が有利だけど、それは魔術師が避けて通れない道の一つとも言える。負けてしまう理由は十分に備えた状態を抱えている。つまり、仕方がない話なら敗北は許されてしまうのか? どんな思考で挑んで負けた時の言い訳は用意さへているのかな?」
「確かに言えている。魔術師の場合は相性が悪くても応戦して見せる実力が問われることが多い。しかし、それはいつでも発揮できることじゃない。まぐれで引き出せた奴も少なくはない。けど、俺は目標のために実技試合でも勝たなくちゃいけないんだ! ここは勝利を目的にして力を示す!」
「二人は言い残したことはあるか?」
「「ないぜ!」
この時点で俺は闘志が漲っていた。それは相性を見た時に分かる通りの不利が自分に迫った状況下が実力を示す場所として指定できる機会だと思ったことが大きい。そして燐真に勝利することで次回の燐火と交わす再戦の結果が変わって来ると考えた一心を抱いた胸が自分を奮い立たせていると言えた。それが俺の本領が発揮される手段として見ることが出来る。
「では、二人とも準備が出来たなら始めるわよ? それでは始め!」
「俺の炎で燃やしてやるよぉ!」
いきなり炎を放出して来た。範囲が広いせいで回避する余地がなくなってしまう点が手強く感じる瞬間になる。しかし、俺は溶かされる心配を抱えながら全身を冷気で包んで炎の威力を中和する役割を与えた。そして俺は真正面を突き進んでいくことで相手の思った以上の驚愕を生じさせる策を取る。
「その炎じゃあ効かないぜ!」
「何ぃ⁉︎」
その時の燐真は驚愕した様子を窺わせた
上に咄嗟の防御が中途半端で防げていなかったことが真面に攻撃を受ける理由だった。それも狙った箇所は顔面でこの時に加える攻撃としては上等に思えるダメージを与える。
「ぶっ⁉︎」
そこから怯ませた瞬間を狙って術式を展開させる。それは直接身体に触れて凍らせて動きを封じる効果を生じさせた。それを咄嗟に瞬時の判断で発生させた炎で俺は燃やされてしまう。その火力は魔力による底上げを加えていつも以上を誇った。
「ぐぁぁぁあああ⁉︎」
「よくもぉぉぉ!」
燐真が燃やされて確実にダメージを負った俺に向けて反撃する。まずは顔面を殴り返してから腹部に触れて焔を放出した。直で受ける炎はとても熱くて避けられない状況が大きなダメージとして加えられる。
「ぐわぁぁぁ⁉︎」
「そ、そこまで! 燐真は止まらなさい!」
燐真が確実に火傷を負わせる攻撃を仕掛けた瞬間にストップが入った。それは俺の腹部が溶けて中の臓器が燃やされることになる心配が生じて止める判断に至る。惜しくも咄嗟の加減で皮膚が溶けることはなかったが、少しやり過ぎていることは確かだと注意を受けた。それを燐真は反省した後で謝って来る。
「悪かったな?」
(り、燐真……?)
そんな風に今は痛みで真面に謝罪を受けられる状態じゃないことが理由で返事が小さくなった。しかし、燐真は気にしないで去って行く後ろ姿を見せながらトイレに向かったらしい。
取り敢えず一面を取り留めた俺の手当て優先した結果は実技試合の時間が大幅に潰れたさてしまうが、問題なく続行と言う形で他の奴にも受けさせる方針を取った。
「少しの間はここで休んでなさい。燐真の奴もわざとしゃないことは分かるんだけど、やっぱやり過ぎだったように見える。しかし、お互いに魔術師と言う関係性であるが故に起きたことだ。仕方がないと思って許してあげてくれ?」
「分かってます。自分の敗北を相手の過失で責める奴は最低ですからね?」
「分かってくれて助かる。しかし、お前も負けっぱなしでは黙って入れないと思う。そこはリベンジ戦を設けてやるから、一緒に強くなって見返してやろう」
「はい!」
そんな風に鋭利さんは俺が望んだ道を進める方向性を設ける約束をした。けど、その前に俺は強くなる必要があったことを理由に少し休んだ後はまた観戦しながら策を練って行こうと思う。
そして俺の腹に来ていた痛みが引いた時に再び燐真が訪れた。燐真は黙って俺が座る前に立つと、腰を下ろして話を始めた。
「今回の件は本当にすまなかった。しかし、実際に俺も焦っていた末に起こしてしまった過失だと心得てくれると嬉しい。負けたくない一心が強くて引き起こしたことで自分はやり過ぎている事実に至った。それが今になっても許せない」
「そんなに気にしてないわ。だってこの怪我は俺が弱くて返り討ちを受けた時に負ってしまったことが要因だ。交戦で負わされた傷なんかで文句のある奴は魔術師である意味がないだろ? そこまで気にする必要はないさ」
「そう言ってくれると助かる。実際に相性でも俺が優勢だったことが怪我に繋がった自覚はある。しかし、あの手段は今後の不正術師が相手なら有効かも知れない」
「それは言えているな? これだけの火力があればお前は相当の魔術師と言えるだろうと思えでしょうがねぇわ」
「気を遣わせて悪い」
それだけ伝え終わった燐真は俺の前から去って行く。外ではすでに実技試合が終わった頃を迎えていたようで、新たなステップに入る前に鋭利さんが俺を訪ねた。
「少しは傷の回復は出来たと思う。まだ動ける状態じゃないことは分かっているが、ここは話だけでも聞いて欲しい。立てるか?」
「問題ないです」
「分かった。それじゃあ向こうで一人分のスペースを確保したからそこで待機しながら話を聞いてくれ?」
「了解です」
そうやって俺は鋭利さんの手で作られたスペースで待機することが決まった。後はそこで無理して動かないように心掛けて話が聞ける姿勢を作る。
「それでは怪我人が出たことは事実として受け止めて行かないといけないが、それでも命に別状がなかった以上は鍛錬に参加させる方針だ。しかし、まだ動けない状態が続いているからそこまで無理はさせないようにして欲しい!」
(しっかり伝えてくれているな? こんな怪我はすぐに治して早く合流が果たせると良いぜ)
内心は元気で溢れていることが何よりも早く動きたい一心が生じる理由だった。でも、取り敢えず話だけは聞いて俺の今後が改正される方針となれば良いと思う。
「まずは交戦を経験して見付けた欠点を克服する時間を作る。それは各自で半分に分かれて行いたいから丁度冷斗を抜いたメンバーで交代しながら研究を施してくれ! これは一人三十分の時間を設ける。その範囲で欠点の克服を目指しなさい!」
そんな感じで与えられた時間内で出来るだけ自分で見付けた欠点の克服を目指す鍛錬が始まった。俺は動けない状態を利用して頭で欠点を探す方針を取る。やはり、動けなくても出来ることはやる必要性があると考えるのが普通だと思った。そこで怠っている現状を探していた時はきっとみんなに遅れることになると焦った理由が行動を起こす。
(まずは俺の弱点をなくすために必要となる策略は凍らせるタイミングを計ることで燐真の時と同じ対処をさせない方針が有効かも知れない。これは始めに相手を怯ませた状態から凍結を試みて行動を封じる作戦が効果的だな? 相手が動ける状態から凍結では反撃の隙を与えてしまう。つまり、相手の反撃が出来ない状況を作って凍結させる策略の方が効率も良いと考えられる。相手に反撃されない手段は凍結を試みる前の段階で一発は攻撃を仕掛けて怯ませることがベストタイミングだとすれば、それを起こしてから術式の硬貨を使用する手段が適応した作戦に繋がる確率は高い。後はどうやって相手の怯ませられるのかが問題の解消を目指す必要性だ)
俺が考えた欠点は凍結させる前に反撃を受けることだった。これを防ぐ対策としては相手が反撃に来ない方針を取らせて一瞬の隙が出来た瞬間に術式で凍らせる方針が手っ取り早い。それらが凍結の妨害や抵抗を無にする方法だと考えた。
そして周囲はお互いの身を使って実践する中で一人だけ見学と言う状況下に少し退屈してしまう。この時間が俺の鍛錬を損なっている事実を早く解消したいと願った。しかし、現状で動くことはまだ出来ない時点で今は鋭利そんにも言われていた安静にする方針に従う。それがいち早く回復して動ける方法なら従わないで悪化させるよりも良いと思ったことが理由だった。
それから今日の鍛錬が終了した時の話である。俺は腹部の痛みが以前よりも回復したような気がして鋭利さんの確認を受けた。すると、傷は治っていると判断することが出来るまでに回復していたらしい。合宿は明日で最後と言う結末を迎える予定でいることを聞いた時に何とか加われるように要請してみた。すると、そこで返って来た答えは俺の期待に応えた結果を招く。
「良いだろう。明日は午前中に今日のメニューを設ける予定でいる。それと午後は最終トレーニングをやって解散するつもりだ。それだけの回復を見せれば大抵は参加しても問題はないだろう。しかし、まだ動けそうにない状態で参加することは許さないからな? しっかり傷の様子に合わせて参加を決めるんだぞ? 傷が痛んで出来ない状態に関わらず加わって悪化させることが起きた場合は医者の判断で怪我が完治する期間の鍛錬は禁止させてもらう。良いか?」
「分かりました!」
そんな風に明日の鍛錬は参加しても良いと言う許可が降りた。これで明日は鍛錬で克服する点を改善して行ける時間が出来る。
そして夜が明けた頃だった。時間がまだある中でトイレに向かうと、そこで燐真と鉢合わせる。燐真はトイレの帰る途中だと告げてから通り過ぎていった。それに大して不自然に思うことはあるはずなくトイレを目指す。
そして鍛錬が始まる時間になってペアを決める機会を作られた。しかし、昨日の時点で約束して組む相手を決める奴が多くて、俺が余ってしまった時にエイリアンさんが受けてくれると名乗り出る。それに感謝しながら昨日の安静していた時間に考えた策の実践を試みた。
「なるほど。打撃で怯ませたところを凍らせて行動を封じる手段を身に付けたいのか?」
「はい。やはり、以前の燐真は凍る前に炎で対抗して来た結果で敗れました。つまり、凍らせる前の段階が必要だと考えたのです」
「それは良いが、凍結はごめんだ。悪いが付き合えない。お前の術式は凄く嫌悪される気がしてならないぞ? しかし、それだけ相手が受ける苦痛は増して行くんだろうな? それは交戦の時は有効かも知れない」
「まさか術式で省かれたの? それは意外ときつい扱いだな?」
「けど、燐真に関しても炎は受けたくないと思うのが普通だろう。あいつは術式を使わない攻撃パターンを考えているようだが、ちゃんと相手の気持ちを考えた行動は偉いとおもった方が良いよ? それが相手に選ばれる奴の取り柄だからな?」
「それは確かに選ばれやすいとは思いますけど、そこまで遠慮すると本来の目的が果たせないじゃないですか?」
「それは個人で考えて人外で試すでも良いと思う。しかし、自動で動く人形を使った鍛錬は多くの魔術師が取り入れている方法でもある。それだけを頼る魔術師が存在する限りはそこまで重視しない方針が適切と考える奴が強くなれるかも知れないな?」
「果たしてそんな上手く行きますかね?」
「問題として見る点が大きく異なることは多くある。個人で差が付くことが多くなる理由は各々の捉え方が違うからだと唱える奴も少なくないだろう。大事になる思考は人によって違って来る傾向が強い」
「はぁ。凄く複雑です」
「それも言えているよ」
そんな風に鋭利さんは解釈するが、俺はそれと異なった意見を持ち合わせていることが分かった。しかし、中には同感が生じる場合があることは確かだと言える。それを大切にすることが世の中で生きて行く上で特に影響される話なのであった。




