第十話「励めトレーニング」
俺は強化合宿を受けるために東京都を訪れていた。そこはうちの魔術師が受け継がれている術式はでもある【結界】が張られた場所を確保した上で実施している。その場所が非術師によって侵入されないシステムを導入していることで見られる心配はなかった。
(俺たちがトレーニングの途中で入って来たあの三人はやる気がないのかな?)
俺が遠くから見ていた三人の人物は離れたところで注意を受けていた。三人の中でも態度が悪い片地華絵流が遅れた訳を話さないで済ませる算段を取る。しかし、それは実際に運営側の苛立ちを活性化させてしまう行いと等しかった。
「君はもう参加しなくても良い! 早く帰らなさい!」
「ええっ⁉︎ 何でぇ〜⁉︎」
「理由も分からないなんて馬鹿げている。遅刻した理由を聞いているんだ!」
「だから、大した理由でもないんだよぉ!」
華絵流さんは確か腕の形状をハンマーに変えて俺のピンチを招いた人物である。華絵流さんの術式は身体の至る箇所を変形させることが出来た。変形した部位は硬くなって頑丈と言える。それを腕が変形したハンマーで叩き潰される攻撃は強かった。
そんな彼がなんで遅刻した理由を吐かないのかが謎になる。それを吐けば解放されるはずであると考えられた。しかし、その思考に至らない様子を窺わせる華絵流さんはついに追求を諦めた運営側が彼をみんなの集まる場所に向かわせる。
「ここで華絵流に時間を捌くことは時間が勿体ないから話を進める。そこで今度から遅刻するのであれば、今後の活動を減らさせてもらうことにする。それが嫌なら正当な理由で遅れて来ることにしなさい。では、本題に入ろう。すでにトレーニングに入っていた四人は休息を与える。ほかの三人は取り敢えず次の作業かれ入りなさい」
「「「了解」」」
そうやって後から来た三人が加わった。これで自分を除いた合計七人で合宿が始まる。この日は準一級術師が集まって犯罪者に対抗させるための訓練を行うことが目的だった。
しかし、俺は強化合宿なんて来たことがなかったので、そこは周囲や鋭利さんに聞けると良いかも知れない。それを踏まえて俺にもさらなる強化を目指して行きたかった。
そして俺たち参加者でトレーニングを開始する。それは基礎が詰まったトレーニングばかりで、これをこなせれば大抵は犯罪者の実力に匹敵するだけの成長が遂げれることが問題だった。それを踏まえて俺は合宿のメニューに挑んで行く。
そこで俺たちはトレーニングの続きから始まった。それは厳しく管理さられながらこなして行くことになる。少しきつい面を兼ねているが、それでも日々の積み重ねは大事だと心得ていた。だから、大変でも成し遂げる必要性を秘めていたのである。
そして俺たちは全員が揃った時点でトレーニングの本場を味わった。それは終わらせるタイミングが個人で差が出る瞬間を実感させる。これは個人の肉体が持っている筋力が差を付ける事に繋がって来るようだった。中でも俺はフィジカル面で中位に至ることが窺える。フィジカル面は特に燐真などが優れているように思えた。それを超えて行くことで俺の今後は決まってしまうと思った時にさらなる努力を積み上げたいと内心に抱く。
午前中の鍛錬が終わりを迎える頃だった。昼食の時間になったことでトレーニングは引き上げる形になる。俺は丁度空腹だったことからタイミングとしては中々良い感じに思えた。
「今日はカレーライスだ! 合宿の定番と言えばカレーライスが一番だと私が決めた。これに文句のある奴は自分で食事を用意しなさい!」
「文句なんてありませんよ。さすがにそこまで言える体力は残ってないです」
「何を言っているんだ? トレーニングはこの後も続く予定が入っているんだぞ? そんなんでどうするんだよ!」
「すいません……」
俺は鋭利さんから注意されてしまう。それはまだこの先にもあるトレーニングの継続が敵わない体力の消費を口にしてしまったことが原因だった。本当はまだトレーニングを続ける体力はあったのだが、それを大袈裟に捉えた結果が注意に至ったのだと思われる。
そして俺たち参加者は全員で食事をするためのテーブルを囲んだ。そのテーブルの上に用意されたカレーライスが昼食みたいで、これを今から食べるみたいである。
「では、それぞれ手は洗って来たはずだと思われる。個人で挨拶をしてから食べなさい」
そんな指示が出た瞬間に各々で挨拶が飛び交う。挨拶をした後で参加者の手がスプーンを握ってカレーライスに向けられた。俺もカレーライスを一口分にすくって食べる。
「うん! 美味しい! やっぱトレーニングの後に頂けるご飯は格別だな!」
「そうだろ? やはり、トレーニングで減ったお腹はこの場で満たせると良いだろう。それにこの後もトレーニングは続く予定でいるから少し余裕を持って腹を満たすと良いかも知れない」
「了解!」
そんな風に俺たちはご飯を頂いた。この時間は体力を消耗した分を回復させることに適していることからずっと参加者の一同には期待が込められていたはずである。俺は特に期待していた時間でもあるため、しっかり食事を取って午後に取り組んで行きたいと思っていた。
それから食事の時間は黙々と食べ進めて行く中で俺は二杯目を頂く。二杯目に手を出す奴は俺の他にも数名は存在していることは見ていれば大体は分かる事実だった。特にフィジカル面よ強い男性陣はさらに大盛りを頼んでいる様子が窺える。その食欲は肉体の規模が影響していることが言えると俺の中で抱いた予測だった。やはり、多く食べられる人はそれだけ身体が大きいのだと予測が出来るのだ。
そして俺たちは食事を終えた頃にデザートが出る。二杯目を完食したことで少しお腹が膨れていたこともあったが、デザートは別腹で食べられるのだった。
「ふぅ〜! 腹が満たされたぜ!」
「あんたって凄い食欲だよね? カレーライスを二杯も食べた上にデザートのお代わりまでしちゃうんだからさ!」
「当たり前だろ! 食えるだけ腹に詰めて午後に備えるんだよ!」
「それは同意だ。お前と比べると大した量は食べてないが、これでも腹が満たされるだけの量は詰め込んだつもりだよ」
「あんたに関しても凄かったわ。私なんてカレーライスは杯一杯で限界よ。でも、デザートは美味しかったけどね? やっぱデザートの分は別腹で食べないと損だわ」
「取り敢えず空腹は満たされた訳だな? この後はさらにトレーニングを積んでもらう。これがお前たちの肉体を強化して不正術師に対抗する力となることが大きな目標の一つだと思いなさい! では、残り五分の休憩を挟んでからトレーニングに移るからな!」
(どうやら後半戦が始まるみたいだな? やはり、俺の体力は大幅に回復したから余裕は出来たことは確かだ。しかし、また消耗して行くことが考慮できる。けど、乗り越えるだけだな!)
そんな風に俺は決心を胸に抱くことでトレーニングをこなして行けるやる気が湧いて来た。そして不屈の根性で乗り越えた先で待っている自分はきっと今よりも強くなった成果を出した状態になっているだろう。それを予測することが俺が迎える未来の自分のイメージを固められると考えた。イメージが出来ることで将来に向けた期待が持てる事実は確かにあると思われる。だから、そこに向かって頑張って行く精神を発揮させたかった。
それからトレーニングが開始される前に鋭利さんが注意事項を口にする。それはこの場で積んだ鍛錬を悪い方向に持っていかれない対策として俺たちに言い渡された。
「お前たちに注意だが、ここで鍛えた身体を日本で出されている法令を破る方針に使わないことを約束してくれ。もし、法令が破られた場合の罰則はお前たちも分かっている通りだと思われる。しかし、それを覚悟で法令に逆らう行いが現代に存在する魔術師の中で見られる傾向が少数にある。それを完全に防ぐ方針が私たちを強くする理由にもなることは念頭に置けると良いかも知れない。だから、くれぐれも間違った道を進まないようにするんだ!」
この時の鋭利さんは真面目に参加者の理解を求めて発言した。それは俺の内心で留めていた慎司の件を思い出させる。実際に慎司は違った方向性で防い術師になったのだが、それでも敵に回った事実に変わりはなかった。それを踏まえて俺が抱いた決心は絶対に不正を犯さない気持ちを持って鍛錬に励んで行くことである。それが俺の身を守る術にもなることはやはり明白だった。
そして俺はトレーニングの開始と共に声を上げて気合を示す。それは発声で気合が入れられる傾向を利用した手段だった。やはり、その行為がやり遂げる精神を際立たせる役割を担っている。それが本来の鍛錬をこなすために必要となる要素であることは明らかだった。
「今度は術式が活かされる効果を発揮する奴は使用しながらトレーニングを行ってもらいたい。今から始めるトレーニングは術式を展開させながら行うことで他に意識が向いている状態で発動する目的がある。つまり、同時並行で術式の発動に慣れることが戦闘に活かせる手段であると私は教わっている。それを踏まえれば術式がより磨かれて精度が高まる効果を発揮させる展開を招くだろう。だから、各自の術式に合わせてトレーニング法を考えて行くから指示が出た人は始めてもらっても構わない。では、一人ずつ回って行くからな!」
根本的な話は個人で教えてもらった。個人が持つ術式は各々で発揮される効果が異なるため、それは各自で使い分ける必要がある。中でも俺は冷気を一定の温度を保った状態を維持しながらトレーニングを受ける練習の指示を出された。これは冷気が常に調整段階を別の意識と並行して行う特訓が精度の強化に繋がると判断した結果になる。こうして俺の術式は発動させた状態の維持を強いられた。
そして俺は冷気の保持を始めてやるトレーニングはとてもハードに思える。やはり、他に意識が向いてしまうことが保持する役割を半減させて十分に冷気が乱れる傾向が起きる点が心配だった。
すると、そこで鋭利さんからアドバイスをもらう。それは冷気の発散とトレーニングの両立をする上で慣れて行くことが要となる事項だと教わった。そして今度は術式を優先してトレーニングが進まなくても良いからとにかく発動させた状態の維持が強いられる。トレーニングの方が進まない状況が続く中で術式は少し強まっている自覚が持てた。
「ほう? 以前の状態よりも強化させてみたようだな? その調子がこの先で不正術師と一戦を交わす時の捕獲率を底上げさせる。それを目標として設定した上でトレーニングにも励まめると良いだろう!」
「はい!」
そこで再び開始してからひたすら鍛える時間を過ごすことに専念した。それが魔力の消耗にも繋がる感覚が生じるけれど、積極的に術式を扱っているだけで精度の向上が見られることは確かである。ならば、これで鍛えた術式は今度の進級に至る理由として提示させる可能性が高かった。そこまで積み上げた鍛錬が準一級術師から抜け出す手段であることは正当にも思える。
そしてそれが続けられた時点で俺たちは沢山の汗を掻いて黙々と進行させた。
その時に鋭利さんは暇になる時間を使って自分にも鍛錬を与える。それが見られた時は鋭利さんが自分たちと同じ階級でありながら上位の成績は俺たちを指導するだけの実力を備えていると考えられた。その事実が俺の内心で頑張って行こうと向かせる理由になることは分かっていた通りである。
そこで俺はトレーニングの中断と共に少しだけ休憩を挟んで身体を休ませる時間を取った。その時間が来た時に他の奴らで止まなかった参加者が二人は存在する。やはり、これが負けられないための手段としては休憩時間でも鍛錬を続けることが大事だった。そこが休憩に入った俺たちの中でも、作業を中断しないで活動が出来ることは二人の努力を認めてあげる理由となる。しかし、実際にこちらが手を抜いた訳じゃなかった。俺は水分が取れた後でいつもスペースに並んでトレーニングを開始を告げる。
「では、俺も始めます!」
「まさか休憩時間割トレーニングで費やす行為は少し先でどんな魔術師になっているのかが楽しみだな?」
「それじゃあ俺だってやるぜ。ここで三人だけが俺を置いて行くなんてことはさせないんだよ!」
すると、そこで決意を固めた華絵流が俺の次にトレーニングを始めた。それを見た他の全員は同じようにトレーニングの開始を無断で決める。それは大いに構わない行為だと鋭利さんは思っていた。それがこの合宿で得た思考ならお互いの関係の中で争って欲しい思いがある。その思いは全員の一致で決まった方針で行こうと鋭利さんは求めた。




