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ヒーロー、イエートの地に降り立つ

 エジソンが、天才とは1%の閃きと99%の努力である、って言っていたのを、小学生の時に先生から教わった。先生は、努力がとにかく大事と言いたかったようだが、後年、逆の解釈を当のエジソンが言っていると知った。

 今の私なら、それがよく分かる。何をどれだけ努力しても、その1%を持つ者に敵わないのだ。


 そんなこと言うと、コツコツと努力を続け、ついには栄光をつかんだ偉人の話を引き合いに出されるが、みんなそれこそが1%のひらめきであることに気付いていない。その偉人はそれが正解だと閃いているから、努力を惜しまないのだ。

 もう少し、成功の影になって見えないだけで、凡庸な人物が間違った推論を信じ続け、努力と人生を棒に振った例が山のように打ち捨てられている事を考慮した方が良い。例えば高校野球の強豪校のレギュラーなんて十分天才集団の部類だけど、それでも全員がプロになれないだろう?さらに言えば、推薦入学までしたのにベンチ入りできない人数は?限界は存在するのだ。


「本郷さん、どうしたんですか?」


「いやあ、自分の才能の無さを少しばかり悲観していまして・・・」


 この人は一文字さん。お隣さんだ。


「それにしても、これ、慣れませんねぇ・・・」


 はるか上空を悠々と飛行する、巨大なドラゴン。


「もう、異世界転移されたことにとやかく言う気はありませんが、せめて30代で呼んでもらえませんかねぇ・・・」


・・・・・・・


 ここはイエートという、剣と魔法の世界。魔王の侵略を受けて世界滅亡の危機である。分かりやすい。そして勇者召喚。いかにもな高校生たちが召喚されていた。

 私はそれに巻き込まれた。非常時なのは分かるが、もう少し綿密に事に当たるべきではないのか?更には私を送り返すリソースがないと来た。ふざけてると思ったが、情勢的にケツに火が着いてるんだろう。

 正直そっちの都合なんざしったこっちゃないのだが、今はリソースを一人でも多く勇者を召喚するのに回したいと、悲壮感漂う感じで目の下にクマが出来た、うら若き召喚士の女性に説明されてはあまり強くは言えない。戦力増強は確かに正しい。


「私も文句を言っていない手前、人の事を言えませんが、一文字さんや風見さんはもっと文句言っても良かったのでは?」


「いやあ、妻に先立たれて、息子も就職してるんですから、私は後回しでいいんですよ。」


「・・・お恥ずかしい話ですが、妻とは離婚係争中で・・・息子といっても通じるような若い男と不倫してまして・・・」


「・・・失礼なことを聞いてしまいました。申し訳ありません。」


「しかしまあ、なんですねぇ・・・どうせなら、私たちにも何か面白い能力が出るぐらいの事しても、罰は当たらないと思うんですがねぇ。」


 異世界転移した我々には、何かスキルが与えられる。この世界の住人には得られないものだ。現にあの学生たちは、もの凄いスキルを得たようだ。


「で、なんでしょうね?この『変身』ってスキル。我々三人が得たものの、誰も概要を知らないし、発動もしないんですが・・・」

 

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