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幼女ドラゴンは生きてみる  作者: やまね みぎたこ
紫色編

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210/212

捜索してみる

 白神領で穴を掘って数日。

今日も今日とてノロちゃんを捜し歩く私こそがディテクティブドラゴン。


…いやなんか普通にというかすごく心配になってきたんだよね実際。

今までもノロちゃんがどこかにふらっと行っちゃうことは度々あったけどここまで長期間戻ってこないのは初めてで何かあったのかもしれない。

せーさんにも協力してもらってめぼしい場所を毎日回っているのだけど、痕跡の一つすら見つけられない状態で若干焦り始めてるのですよ。

ノロちゃんはワープできるしめったなことはないとは思ってるんだけど…思えば初めて会ったときは小さな倉庫みたいな奴の中で捕まってたし、やっぱり心配だよね。


そんなわけで今日はもう何度目になるかわからないけど、黒神領内でノロちゃんを探していたのだけど…何故か中庭から屋敷を睨んで首を捻っている妹を見つけ、私自身の行き詰まりを解消する気晴らしの意味も込めて声をかけてみた。


「妹よ」

「え?あぁ姉さん。弟だけどどうかしたの?」


「それはこっちのセリフなんだなぁ」

「ん?」


「屋敷を睨みながら何か考え込んでるみたいだから、どうかしたのん?って」

「あぁ…いや実はね例の「たどり着けない部屋」を探しているんだけど少し行き詰まっているというか」


「ほほう?」


どうやら妹も何かに行き詰っているらしい。

これは姉として一腹脱いであげるべきだろう。あれ?肌だっけ?まぁいいや。


「たどり着けない部屋?なにそれ」

「以前説明したじゃないか。ほらアザレアの───」


そう言われて思い出したけど…そう言えばアザレアが泣いてたあの日、私と小さき者たちとで「やきう」をして遊んでた時に大人組で何か話し合いをしていたらしく、そこで【たどり着けない部屋】というものの存在が浮上してきたらしい。

なんでも小さき者だったころのアザレアが連れていかれ、ウツギくんが目撃した部屋で普通に言ってもたどり着けない場所なんだとか。そのままだね。


「あったね、そんなの。それで?なんで屋敷を睨んでたの?」

「うん、だから屋敷の外観と内を比べてみておかしなところはないかと確認してみてたんだよ。部屋の数が合わないだとかあればそこが怪しいわけだしね」


「にゃるほど。それで結果はいかに?」

「空振りだね。センドウと一部屋一部屋調べながら作った見取り図を照らし合わせながらぐるっと屋敷の周りを一周してみたけど…おかしなところは何もない。少なくとも外観からは分からないみたいだね」


「ほーん。じゃあアザレアには?聞いてみたの?行ったことあるんだよね?」

「…もちろん聞いてはみたんだけどね」


曰くアザレアは最初に訪れて以来その部屋の事を意図的に避けて生活をしていて、近づかないように、気にしないようにしていたらしく、そうしているうちにアザレアにも場所が分からなくなってしまったそうな。


「一応この前ざっとは探してくれたんだけどね、見つからなかった。もう少し詳しく調べてみれば何か分かるかも…みたいな感じではあったけど…姉さんも見たと思うけど、この前の彼女の取り乱しようを見るとね。最終的には頼らないといけないかもしれないけれど、手段を模索できるうちはいたずらに人のトラウマを刺激するのもね」

「それはそうだねぇ」


何があったのか私は詳しく聞いてないけれど、あのアザレアがあんなになっちゃうくらいのトラウマなんて触れないほうがいいに決まっている。

ならばここはディテクティブドラゴンである私が見事にその部屋とやらを見つけて見せようではないか!


「お屋敷の中は調べたけど見つからなかったんだよね?」

「うん。センドウにウツギと一緒に全ての部屋を回ったんだけど、それらしい部屋はなかったんだ」


「地下とかは?調べた?」

「いや…地下は…うん、まぁ大丈夫」


地下と口にした途端に歯切れが悪くなった妹だったけど、ウツギくんもアザレアも地下に潜った記憶はないと言っているらしい。

そして外観から見てもおかしなところはないと。


…完全に手詰まりだ。

と普通の一般ピーポーたちは思うところでしょう。

しかし私は違う。

私こそが名探偵。私こそがディテクティブ。

こんな詰みとしか言えない状況下でも私のディテクティブブレインは完璧な答えをはじき出したのだ。


「ちなみに姉さん」

「んみゅ?」


「一応言っておくけどお屋敷を壊すとか話だからね?屋根を消し飛ばして上から覗いてみれば?とか言い出さないでね。壁を吹き飛ばすとかもなしだよ」

「…」


皆さん見てくれましたか?これが完全な詰みというやつですよ。

もはや私にできることはないもない。探偵業は廃業ですん

…いや、待てよ?そう言えばもう一つだけ方法が残ってるじゃないか。

つい最近も活躍したあの方法が。


そして始まりますは万能探知のダウジング。

今回のお供はその辺を散歩していたニョロちゃんとL字に曲がったキュウリさん。

これを両手に装備して屋敷を練り歩く。

これできっと目当てのものが見つかるはずだ。


「姉さん」

「なぁに」


「僕はね姉さんのことを尊敬してるし、リスペクトもしてる。それにきっとどんなことでも姉さんならうまくやってくれるんだろうって信頼もしてる。でもね僕は今から最大限配慮をしつつも言わせてもらうんだけども…ふざけてる?」

「大まじめですが」


いたって真剣に私は今「たどり着けない部屋」を探している。

頑張って「L」の字になって固まってくれてるニョロちゃんと曲がってるキュウリを手にどこまでも真面目に探してるんだ。


──ぽりぽり…キュウリおいちい。


とにかく私はふざけてなんていないのだ。全く以て遺憾の意である。


「今キュウリがなくなったけど大丈夫そう?」

「え?あれ?ほんとだ…いったいどこに…!?」


大変だ…両手に装備が揃っていないとダウジングは成立しない。

一旦食堂にキュウリを補充しに戻ろう。

私は踵を返して食堂に向かった。

すると食堂に向かう道中でばったりとせーさんがエンカウントした。


「およ、せーさん」

「母さん?どうしてここに?」

「そろそろ例の話し合いの続きをと思いましてね。二人こそいったい何を?」


かくかくしかじか。

なんちゃらかんちゃら。

うんぬんかんぬん。

ヤサイマシマシアブラニンニクカラメ。


「なるほど例の部屋を…そうですね」


ちらっと一瞬だけせーさんの視線がなぜか私が握っているニョロちゃんに向いたけれど、すぐに外れると壁を何度か指先でなぞり…「私に一つ心当たりがあります」と口にした。

みたかい妹よ。

これがダウジングのぱぅわーだよ。


そしてせーさんの指示のもとアザレアとウツギくん…それにセンドウくんが呼び出され、本格的な部屋の捜索とせーさんの謎解きタイムが始まるのだった。

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>頑張って「L」の字になって固まってくれてるニョロちゃん ニョロちゃん…なんて理解のある子なんだ…
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