黒の真実2
「過剰性魔素適合症…」
誰ともなく口で転がしたその言葉にたった一人だけ首を捻った人物がいた。
「ふむ…それは少し妙な話ですねぇアザレアさぁん」
「…なに?何か文句があるの?センドウ」
「文句と言いますかねぇ~…少し疑問なのですが先ほどアザレアさんは「事情を知っている者たちの中で」といいましたよねぇ…しかしアリセベクさんはその言葉を知っているような感じではありませんでした。知らなかったからこそ、黒髪が集うこの地の秘密を調べようとしていた…そう見えたのですねぇ」
「だからなに?」
「いえ、当然ながらぁ彼の言葉を全て鵜呑みにするわけではありませんが…もし本当に嘘や誤魔化しではなく【枢機卿アリセベク】がその言葉を知らなかったのなら…「事情を知っている者たち」とは誰の事を指しているのです?彼は赤神領所属の研究機関のトップ…つまりはこの世界での研究者たちの中で最も高い地位にいる人でしたぁ…それほどの人がそのことを知らない、なら知っているのはどんな立場の人なのか、とぉ…」
「確かにそれは妙な話ですね。枢機卿でさえ知らない黒髪の真実に症名…それは信憑性のある話なのですか?アザレア」
めんどくさそうに…いや、苛立たし気にギシッと椅子をわざと軋ませ、アザレアは自身の灰色の髪の毛先を指で弄びながらため息を深く吐く。
「知らないわよそんなの。私個人にこれを知っている誰かと繋がりがあるわけじゃないもの。ただこの家の前当主…義父は少なくとも知っていたわよ。それに私は…一番わかりやすい「実物」だから」
「…全部話していただけるのですよね?」
「そのつもりだけど…本当にいいの?」
アザレアの視線が部屋の中をぐるりと一周し、なぜかやつれている様子のウツギと、どういう感情からななのか複雑そうな顔をしたネムにそれぞれ止まる。
「本当にいいのとは?」
「聞いたら戻れないわよ。私の話を信じる信じないは置いておいて、センドウの言う通り枢機卿でさえ知らない単語が出るような話を私は今からする。それを聞く覚悟が本当にあるの?何がどうなるかわからないわよ?もう一生穏やかに眠ることなんて出来なくなるかもしれない。それでも聞きたい?」
ウツギは青い顔をしたまま、視線から逃げるように目を反らす。だが部屋から出ていくつもりはないようで両手を握りしめてその場にとどまっている。
そしてネムは…。
「私は聞きたい…どうしてアザレアが私を殺そうとするのか」
「…話したら大人しく死んでくれる?」
「わかんない」
「そう…セラフィムはいいのでしょうけど、他の人たちはいいの?私とは完全に初対面の人もいるけど好奇心だけで首を突っ込むと後悔するかもしれないわよ」
「大丈夫です。先ほどあなたが問いかけた二人とセンドウ氏以外は全て私の身内ですから」
「ひっひ!ちなみにですがぁ…私も出ていきませんよぉ~ひっひ!こんな面白い話を聞かずに済ませられるはずがありませんからぁ…」
あっそ、とそっけなく息を吐き、アザレアは一度だけ眼鏡を外して汚れを拭うようにしてもう一度かけなおす。
メガネが汚れていたわけではない。
ただ何かの動作を挟む事で自分の中の何かを切り替えたかった…そんな心情からくる動きだった。
そしてついにアザレアは核心へと至る話を始めるのだった。
「…人は母体の中で何種類かある周囲の魔素のうちどれか一つに…つまり適合して吸収し成長していく。その際に取り込んだ魔素の影響が髪色に出ることになる。ここまではいいわよね?」
皆が頷く中でセンドウとブルーだけが少し何かを噛んげるそぶりを見せ、二人は目配せをしたのちに代表してブルーが待ったをかける。
「いや、少し待ってくれ。俺も「魔」の名前を持つ龍として一つだけ突っ込ませてもらいたいのだが…取り込んだ魔素は髪色以外に影響するのか?例えば身体能力や思考力…魔法的才能などに」
「私は専門家じゃない。仕組みは知っていてもそこに付随する結果までは知らないわ。でも統計を取ってるわけじゃないから断言はできないけれど、例えば青髪だからってみんながみんな水魔法が得意…なんて話はないはずでしょう?だから分かりやすい部分には出ないのではないかしら?私の個人的な見解だけどね」
「…確かにその通りだな。横やりを入れてすまなかった、続けてくれ」
「基本は取り込める魔素は一人につき一種類…ただこの中に稀に複数種類の魔素を取り込んで生まれてくる特異体質をもった人間がいる。この際に取り込んだ魔素種類が多ければ多いほど髪色が黒に近づき、すべての魔素を取り込んで生まれてくると完全な黒髪として生を受ける…これが「過剰性魔素適合症」よ。この言葉を私が知ったのは…忘れもしない、あの日…私がこの家の当主になったその時よ」
ビクッとウツギが小さく肩を震わせた。
アザレアがエナノワールの当主となった日…つまりそれは前当主であった義父をアザレアが殺した日だ。
誰にも話したことのなかったアザレアの秘められた過去が…ついにその口から言葉となって語られる。
「あの日に私は完全に陽が沈んだ深夜に前当主に連れられてある部屋に通された。その部屋は…なんて言えばいいのかしらね?まぁコテコテの何か妖しい儀式をする部屋って感じでね、床に魔法陣が書いてあったり、蝋燭が並べられていたりとかそんな部屋だった」
アザレアが記憶を失っている間にソードとセンドウが主体で行われた屋敷の調査ではそのような部屋は見つけられなかった。
無論儀式を行っていない間は普通の部屋の様に片づけてあるという可能性は大いにあるが…ウツギが見たというたどり着けない部屋の事もあり、いまだに謎は多く…一つの部屋に入るには多すぎる人数が集まっているにもかかわらず、誰もが静かにアザレアの言葉を待って沈黙を貫き、下手をすれば人のいない草原の方がうるさく感じるほどだった。
そんななかでアザレアの独白は続く。
「…そもそも私はね、小さい頃にこの家に攫われてきたの。本来ならゼリ…ネムもそのはずだった」
アザレア…そしてネム、二人の脳裏に蘇るのはあの全てが始まったその日。
数人の男たちに縛られ、馬車の荷台に押し込められてどこかに連れ去られ…そして魔物の襲撃に合い、その過程でネムが荷台から放り出されて…そして記憶を失い、当時はイルメアという名だったメアに拾われた。
そして残されたアザレアはエナノワールの屋敷に運ばれ、たどり着いたのだ。
「…私もあの日、荷台から放り出されなければこの家に来ていた…って事よね…?」
「そうね。当時はなんでわざわざ黒髪だった私たち姉妹を誘拐してまで連れてきたのかわからなかったけど…その部屋に連れてこられた時に全てを説明された。あの男…前当主は言ったわ。私は「捧げもの」なんですって」
「捧げもの…その部屋で何らかの儀式をするためにアザレアを生贄にしようとしていた…そういう事ですか?」
大げさにアザレアは首を振ってセラフィムの言葉を否定した。
「私を生贄に儀式をしようとしたのではなくて、私を生贄にするための儀式だったのよ。私を素材にしようとしたのではなくて、私を素材にするための儀式…そう言えばわかる?」
「…なんとなくは分かりました。それで?その儀式とは一体何だったのです?」
「…」
「…アザレア?」
急に黙ってしまったアザレア。
心配してセラフィムが声をかけると、アザレアの顔からは血の気が引いていて真っ青になっていた。
だというのにその全身には異常なほどの汗が浮かび上がり、顔を伝って流れ落ちたそれが床にシミを作っていく。
「なっ!アザレア!?いったい何が…!」
「うるさい…大丈夫…大丈夫よ…こんなの…なんでもない…」
遂にはガラガタと震えだしてしまった自らの身体を抱きしめるように押さえつけ、噛み合わない歯を食いしばり、震える声で…アザレアはそれでも続きを話す。
「前当主と部屋に入って…捧げものだって言われて…その後に…「そいつ」が来たの…まるで空間を切り開たかのように…何もないところがパックリと割れて…その向こうで「そいつ」が私を見て笑ってたの…!」
「そいつ…?誰がいたというのですかアザレア」
「誰かは…知らない…でも忘れもしない…見た目は…女の子だった…十代前半くらいの…成熟しきってない感じの女の子…でもその髪が…その女の子の髪は…目に痛いほどの赤色をしていたの…!」
「赤い髪の少女…?」
誰もがアザレアの何かに怯えるような様子に困惑交じりに話を聞いていた中、ヴィオだけが「なるほど、そういうことね」と納得したように小さく声を漏らした。
同時に同情心から話を止めさせるべきかとも思いはしたが…この話が終わらなければヴィオ自身の目的にもつながらないと同情はしつつも沈黙を貫いた。
「前当主が言った…「お前のすべてを彼女に捧げるのだ」と…そして…儀式が始まって…私の中の何か…いいえ、言葉通り「何もかもすべて」が割れた空間の先…あの女の子に奪い取られていくのを感じたの…!どんどん全身から力が抜けて行って…意識も、記憶も…命も…何もかもが身体から抜け落ちていくみたいになって…それを見ながら裂けたような真っ赤な口で笑ってた…それが怖くて仕方がなかった…でも…同時に思ったの…「死にたくない」って…」
その当時のアザレアの心の中には笑う赤髪の少女への恐怖感で埋め尽くされていた。
だがその中に本の一片だけ…生への渇望が転がっていたのだ。
それは生き別れた妹への想いから来たものだった。
またもう一度だけ会いたい…頭の中ではもう生きてはいないだろうと思いつつも、生きているかもしれないという希望の中で死にたくない、生きてもう一度だけ…と願ったのだ。
さらにもう一つ…アザレアの中に産まれたのは爆発的な怒り。
妹と引き離され、無理やり連れてこられて怖い思いをさせられて…ただ黒髪というだけで受けてきたこれまでの理不尽にアザレアの中で死への恐怖を焼き尽くすかの如く怒りが燃え上がる。
それが生への渇望となり、赤髪の少女の表情を変えさせた。
「そうしたら…裂けめの向こう側の女の子が笑うのを一瞬だけやめて…またすぐに、さっきよりも深く、楽しそうに笑い始めたの。そして私に言った…」
──へぇ…うふふふふふふ!面白いね…そんなに生きたい?
──いいね、その気持ち…とっても大事だよ。大事なら大切にしなくちゃね?
──ならほら…わかるよね?
──生きたいのなら、どうすればいいか。
「怖くて…痛くて苦しくて…どうにかなってしまいそうな頭で…私は必死に生き残るすべを探した。そして…その答えは一つしかないって悟った。私は必死で身体を動かして…その場に飾り付けてあった剣を手に取ったの。そして…前当主の首に突き刺した」
「飾り付けてあった剣で…?」
「そう…確かにアレは刃なんて飾りの…いわゆる儀礼剣だった…龍には通用しないのかもしれないけどね…人を一人殺すのに鋭い刃なんて必要ないのよ…ただそこそこの強度があって…先がほんの少し尖っていればそれだけでことは足りる…そして私は何度も何度もあの男の喉を刺し続けた。喉の肉がミンチになるまで…血と混じって粘り気のある赤い泥のようなものになるまで…何度も何度も…そして…」
──うふふふふふ!よくできました。
──よかったね、あなたはまだ生きられるよ。
──ざぁんねん。
──あはははははははははははは!!
「そう言って…あの女の子は消えていた…空間の裂けめなんかもはじめからなかったみたいに消え失せてて…最期には息絶えた前当主と…血まみれの私だけが残った」
「それがあなたが当主の座を簒奪した瞬間だと…赤い少女の話と言いあまりにも突拍子のない話にも聞こえますが…まずは全て聞かせてもらいましょうか」
「…そのあとは…頭がズキズキと痛かったけど…何があったのか知らなくちゃと思って…部屋の中を調べた。そしてあの男の…手記を見つけた…そこに書いてあったのよ…過剰性魔素適合症の事も…そして黒髪を集めていた理由もね…」
「…ではやはり黒神領は意図的に黒髪を集めるために作られた国だと認める…そういう事ですね?そしてそれは…教会が仕組んだことであると」
「たぶんね。少なくとも前当主はこの国はそのためにあると認識していたわ」
「ではその理由とは…?」
「さっき質問されたけど取り込む魔素によって何か違いがあるのかって話…実は続きがあるのよ。何の魔素を取り込んだかによって才能や能力に違いがあるのかは知らない…でも黒髪は明確に違う」
アザレアは立ち上がり、窓際までゆっくりと歩くと…皆が見守る中で窓ガラスを拳で殴り割った。
そして一つの大きなガラスの欠片を右手で拾い上げると、それを左の掌に突き刺して見せた。
「アザレア!何を…!」
「過剰性魔素適合症を発症し、黒髪として生まれた人間は明確に他者とは違う何らかの能力を持って生まれてくる。そして魔法に対する才能も…他とは桁外れに持っているらしいのよ」
何でもないことの様に平然とアザレアは話しながらガラス片を手のひらから引き抜き、外に投げ捨てる。
ボタボタと蛇口をひねったかのように流れる血を隠すようにハンカチで傷口を抑え…椅子に戻った。
なぜ突然そんな行動に出たのか…誰も理解できなかったが、それすら気にせずにアザレアは話を続けるのだった。
「でも少し賢い人ならそれはおかしいって言うでしょう?「黒髪は魔法を使えないものが多い」…現に私も使えないしね。でもそれについては理由があるの…黒髪はその内に複数種類の魔素を有している…これ実は割と大変なことでね、魔力を体外に放出して魔法を使おうとしても身体の中の過剰な量の魔素に絡めとられてうまく魔力が出てこないのよ。ただこれだけなら一般人にも起こりえる現象よ。いるでしょう?どれだけ練習しても火は出せないけど、簡単に水は出せるって人。これは体内に魔素が多いことで起こる…つまり火の性質を持つ魔素が身体に多くあると、火と結合させようとした魔力が身体の中の魔素に絡めとられるって事。だから関係のない水の魔力は何も干渉はされず外に出ていく…でも黒髪はそうはいかない。すべての魔素を大量に身体に有しているせいでどんな属性の魔力も吸われていく…これが黒髪が魔法を使えない人が多い理由」
セラフィムがネムに視線を向け、それを受けてネムはゆっくりと頷いた。
そう、昔からネムも魔法を使うのは苦手だった。
それは今でも変わらず、初級の簡単な魔法程度なら使う事も出来るが…それ以上となると全くと言っていいほど使う事が出来ない。
それがアザレアの話に一定の説得力を持たせた。
「ただ逆に…これを乗り越えて魔法が使えるようになるとあら大変、今度は手が付けられない化け物になるのよ。そりゃあそうよね?黒髪が魔法を使うには体内の魔素に負けないレベルの魔力を放出するしかない…つまり魔法が使えるって時点でそれはそうとうな努力の上に成り立っていて、それだけ馬鹿げた量の魔力を手に入れたことになる…そして一度魔力を放出できるようになったら今度は体内の魔素に慣らされた影響で人一倍その魔力は環境魔素と結びつきやすくなって、威力が増す…まぁここまでたどり着ける黒髪なんてほぼいないらしいけど…そして問題はそこじゃない」
アザレアは黒髪にとっての魔法の話をする前にもう一つ別の話をしていた。
黒髪は何か特殊な能力を備え付けている、と。
血によって真っ赤に染まっていたハンカチがアザレアの掌からスルリと落ちる。…その結果として、生々しい真っ赤な傷が露わになる…はずだった。
「なに…?」
アザレアの掌には…ガラスが突き刺さってできたなど存在していなかったのだ。
「驚いた?これは見せるために少し本気で傷を治したのだけど…それでも私は普段から傷の治りが早いのよ。それに致命傷を負っても即死でなければ基本は何とかなる…つまりは…そう、身体が頑丈で死ににくいのよ」
見せつけるようにアザレアはその左手を掲げて見せ、傷がないことを証明する。
手品の類ではない…それは近くで見ていたセラフィムには確信できた。
また魔法でもないとブルーも断言したことで、それがアザレアのもつ謎の力であることが簡単にだが証明されてしまった。
「ゼ…ネム、アンタにもなにか不思議な力の一つや二つあるでしょ?これはいわゆる…まぁ魔素適合症という病気の症状の一つね。原理は詳しくは分からないけれど体内に押し込められた膨大な魔素が何らかの影響をもたらしてるんじゃないかって手記には書いてあった。そして…前当主たちが狙っていたのはこういう事を引き起こせる私たちの存在そのもの…黒髪の身体に蓄えられている高密度に圧縮された魔素そのものよ」
「…このエナノワールの屋敷で行われていた儀式と言うのが…それを黒髪から奪うためのものだと?だから…捧げもの…?」
「ええそうね。やつらは私達から全てを奪う。魔素だけじゃなくて魔力も、精力や記憶、意識…そして命。すべてを奪って何かに使っている。つまりこの黒神領は…黒髪というエネルギータンクを集めるための…倉庫、もしくは育てるための牧場といったところかしら?」
「…何かにとぼかして話していますが、つまり奪われた黒髪の力は何に使われているのか…あなたも知らないという事ですか?」
「ええ。別に隠してるわけじゃないわよ。本当に知らない。だって私の情報は前当主がのこした手記にある事で全部なんだもの」
「…なるほど…いえ、待ってください。ならやっぱりおかしくないですか?」
「ええアザレアさんの話は私もおかしいと思う部分がありますねぇ…ひっひ!」
再びセンドウが壁にインクで何かを書き始めた。
それは何かの図のようで、おそらく今の話を聞いてまとめようとしているのだろう。
「もしもアザレアさんの話が全て真実だとするのならばぁ~…やはり教会のやり方は説明ができない部分がありますねぇ…」
「世間は黒髪を排斥している。自らの子が黒髪だと知るや否やその場で捨てたり…殺してしまうような親もいますし、世間全体で見てそのような行為が許容されている状態であり、当たり前となっています。もし…教会がこの場所で行われている儀式に関係しているとしたら黒髪を何らかのエネルギーに使っているのに、数を減らすような真似をしてちぐはぐではないですか?どうなんですかアザレア」
「ただの黒髪じゃダメなのよ。すべて奪うには黒髪がその能力を開花する必要がある…鶏肉は食べるけどひよこを食べようとは思わないでしょう?そして黒髪の力は普通には目覚めない…劣悪な環境に置いて、そこからなんとか生き延びようとする意志…そして努力…そうして黒髪に力を付けさせ、食べごろの鶏になった時点であいつらは私たちを食べるのよ」
「…納得できるような…出来ないような話だな」
筋が通っているようには聞こえる…だがしかし、やはり喉に骨が刺さっているような不快な引っかかりは解消されない。
疑問を解くために話を聞いているはずなのに、不思議とモヤモヤだけが募っていく…そんな感覚をセラフィムは覚えていた。
「非効率と言いますか…もっとやり方があるように思えるのですが…」
「私もそうは思うけど…でも実際にそう手記には書いてあった。それ以上のことは分からない」
「そう、ですか…ではアザレア…あなたが黒髪の…妹を殺そうとしていたのはそれが理由という事ですか?敵に黒髪という餌を渡さないために…」
「違う」
きっぱりとした否定にセラフィムは口を噤まされる。
「私が…黒髪を殺そうとするのはね…あんな怖い思いをさせないためよ」
どうでもいい話なのですが、私は執拗に作品内に姉妹キャラを好きなので出すのですが、おそらくそのきっかけとなったゲーム作品がリメイクされるそうでテンションが上がり、そこから私がヤバい女が好きになった切っ掛けの漫画作品を思い出したので調べてみるとそこまで古い作品ではないのですが絶版になっていて少し悲しい気持ちになりました。その漫画の主人公の叔母が私は世界で一番好きなので…電子書籍では存在しているので潰えているわけではないのですが…なんかこう悲しいものがありましたね…。
テンションの上下幅が凄い…そんな一日に風邪をひきそうでした…。




