降伏と逃走
「無色領と比べても生態系に目立った違いはないか。なんともつまらん国だ」
枢機卿アリセベクはやせ細った指で黒神領の木々に触れてつまらなそうに鼻で息を吐く。
黒神領へ侵攻を開始して数時間…侵攻という言葉に反してアリセベクはその場をほとんど動かずに周囲を観察するのみだった。
だがそれは彼が侵攻を諦めたわけでも、ましてやサボっているわけでもない。
ある意味でアリセベクは既にそれを終えているのだから。
アリセベクの耳に草木をかき分けるような足音が届く。
「…遅かったな。やはりお前はグズだ…もう少し効率というものに目を向けろと言う私の言葉がどうしても理解できんらしいな…センドウ」
足音が聞こえたほうに顔は向けないままにアリセベクはそこにいるであろう人物に言葉を投げつけた。
そう…そこにいたセンドウに。
「いやはや、これでも急いだのですがねぇ…相変わらず我が上司はせっかちであられるようでぇ…ひっひ」
「馬鹿が。せっかちなどという俗な言葉に私を当てはめるな。意味もなく生き急ぐ塵芥と効率を求める私の違いも分からなくなったか。グズめ」
「ひっひ、これは失言でしたかねぇ…失礼しました」
センドウはアリセベクの口が回り始める前に頭を下げてそこまでの会話を打ち切った。
喋らせれば喋らせるだけ暴言が飛び交い続けることを理解しているからだ。
そしてその行為はそれだけ二人の間には時間という積み重ねがあるという事の証明でもある。
「…まぁいい。それで?グズなお前でもせめてお使い程度はこなせたのだろうな?」
「ええもちろんですともぉ…ひっひ!」
ドサッとなにか重たいものが地面に落ちる音を背後に聞き、ようやくアリセベクはセンドウの方に振り返る。
そうやってようやく視線を交わした二人の間に後ろ手に縛られ、眠っているウツギが転がされていた。
「…黒神領の統治者は女だと聞いていたが?」
「それが本当にギリギリのタイミングで変わりましてねぇ…今は彼がエナノワールの当主というわけですねぇ…当然証拠も確認しております…ひっひ!」
「…まぁいい。おい、起きろ。私の時間を無駄にするな」
何の遠慮もなくウツギの鳩尾につま先がねじ込まれ、突然の急所への攻撃にウツギは目を開き身を捩る。
「っ…ぐっ…!?」
「その程度でいちいち苦しむな馬鹿馬鹿しい。時間と体力の無駄だと言うのが分からんのか」
苦しむウツギの髪をアリセベクは掴み、無理やり顔をあげさせた。
まだ十分に息が整っていないがウツギは歯を食いしばってアリセベクを睨みつける。
「な、なんだ…てめぇは…!」
「そう言う話をするつもりはない。時間の無駄だからな。それよりも少しばかり私に付き合ってもらうぞ」
「あぁ!?」
「騒ぐな騒ぐな馬鹿が。こんな状況で私に逆らっても状況が悪くなるだけだという事すら理解が及ばないのか?なぜこうも他人というやつは思考力が低い馬鹿しかいないのか…私は自分が特別な人間だと思ってはいないが、こうも周りに見た目が人間なだけの猿しかいないとなるとやはり私が特別なのかと思ってしまうのもまた事実だな。不思議に思って貴様のような猿の頭を定期的に切り開いたりして見ているのだが…誤差の範囲である個体差以外で特におかしなところが見つからん。なぁ?教えてはくれないか?なぜ貴様らグズな馬鹿というのは生まれるのだ?どうやって出来上がるのだ?本当に私と同じ人間という種なのか?ほとほとに理解が────」
「アリセベクさぁん…その辺で本題に入りましょう…時間は無駄にできないのでしょぉ?」
「…ちっ、まぁいい…おい猿。その出来損ないの思考力を用いてよく考えながら私の質問に答えろ。まずお前がこの国の統治者の家系…その現当主という事で間違いはないのだな?」
「あ…?」
ウツギが視線をセンドウに向けようとし、すかさずアリセベクがその頬を殴りつける。
「ぐぁ…!なにすんだよ!」
「余計な動きをするな。なぜ質問に答えろと言う単純なことすら理解できない?」
「質問も何も今がどういう状態かもわかんねぇのに答えられるわけねぇだろうが!何がどうなってんだよ!お前誰だよ!それに…センドウのおっさんはなんで俺を捕まえたんだ!」
「はぁ…なんだこの非効率を極めたような猿は…こうなっては逆に少しは情報を与えたほうが効率的か…?馬鹿の扱いはわからないし、面倒だ…まぁよく聞け猿。報告は受けていたがお前がウツギ・エナノワールで合っているのだな?」
「あ…?そう…だが…」
「なら理解しろ、ずっと貴様らの傍にいたそこのセンドウという男はな私の部下なんだ。教会所属の枢機卿である私の、な。過去形ではなく現在進行形での話だ。理解できるか?」
「は…?何を言って…」
「枢機卿という言葉に疑問を感じないという事は多少の事情は理解しているわけだな?それなら話は多少短縮できるか…まぁつまるところお前たちはその男…センドウにずっと騙されていたというわけだ。そいつはこの私が情報収集のために送り込んだ駒でな…猿にもわかりやすく言えばスパイだったという事だ。ありとあらゆる情報やそれに紐づく機密などを報告させていたのだよ。そして今は侵攻に合わせてこの国で影響力を持つお前を連れ去ってきたというわけだ。どうだ?私なりにかみ砕いてみたが理解できたが?猿」
ウツギは魚のように口をパクパクとさせるだけで、意味のある言葉を話すことはなかった。
困惑して思考が追いついていないために、なにも出力できていないのだ。
だがアリセベクはそんなことはお構いなしにもう一度ウツギを殴りつける。
「さて状況は理解したな?次に非効率的なことをしようものなら遠慮なく殺す。では質問だ。この国に黒髪の人間はどれほどいる?」
「は…?黒髪だと…?」
なぜそんなことを聞かれるのか分からないと言った表情を見せたウツギの頬をまたもや拳による衝撃が襲う。
どこまでも細く、筋肉などついているようには見えないにもかかわらず一瞬意識を手放しかけるほどの痛みを感じ、ウツギは不気味さに身震いをした。
「お前は質問に対していちいち疑問を口にしなければ返答もできないのか?猿とて最低限の反応程度はできると言うのにどれだけ知能が低いんだ。猿ではなく虫だったのか?まさか人の形をしている虫なのか?新種のそれだとすれば我が研究対象になりえるが…」
「失礼アリセベクさん…それらの事柄は私が報告を入れていたと思いますがぁ…」
「お前は黙っていろセンドウ。私はこの虫に聞いているのだ」
「…ウツギさぁん、命が惜しいのなら質問に素直に答えたほうがいいと思いますねぇ…この国にいる黒髪の「人間」の数を答えてあげてくださぁい」
ウツギは無意識に背後にいるセンドウの方に視線を向けようとしたが体勢的に不可能だったためか数度無意味に視線を彷徨わせ…数秒ほど沈黙したのちにゆっくりと口を開いた。
「一人…だったはずだ…黒に近いってんならもう少しいるかもだが…完全な黒は…一人だけだ」
「ふむ…報告通りか。たしか紫神領出身の娘だったか…」
「おやおやアリセベクさぁん、私の報告を疑いになられていたので?」
「どこに自分より知能の劣るグズを信用するアホがいる?少しは考えて物を言え馬鹿が。もっともこの虫の言葉も信用はできんがな。後ほどその娘を探すついでに自分の目で探すとするか。…では次の質問だ。お前、なぜこの国が黒神領と呼ばれているかを知っているか?」
「は?どういう…──いや、知らねぇよんなもん…昔の偉い誰かが決めたとかじゃねぇのか」
「ふん、ようやく学習したかグズが。そのまま素直に聞かれたことだけに答えていろ。だがその答え自体は好ましいものではないな。本当に知らないのか?」
「あぁ?知らねぇっつってんだろ!気にしたこともねぇよ!」
「…アリセベクさん、その質問に何の意味がぁ?」
それを答えることに何の意味がある?とでも言いたげな視線がセンドウに向けられる。
どこまでも人を見下し、侮蔑するようなそれは人を委縮させるには十分なものであったが、センドウはニタリとした笑みを浮かべてそれを受け流す。
「あなたの事ですからこの地で何か調べたいことがあってそれに関連する質問なのでしょぉう?ならば数年ほどここで情報収集した私にあなたの情報を共有することでなにか新しい発見を得られるかもしれませんよぉ?そちらのほうが効率的では?」
「…数年もいて何も気づいていない時点でお前に期待などできるとは思えんがな。だが、まぁいいだろう…お前たち知能の低い馬鹿どもは疑問にも思ったことはないだろうがなぜ他国で捨てられた黒髪もしくはそれに近い色持ちがこの国に流れ着くのだと思う?」
「あぁ…?んなもんウチがそういう場所だからだろうが」
「はぁ…なぜ馬鹿ほど口を挟みたがるのか…答えを出すことを期待などしていないがせめて考えるそぶりくらい見せればそれらしく見えることもあろうに…やはり馬鹿という生き物は理解が出来んな。いいか?物事には必ず始まりがある。この黒神領が「そういう場所」になるきっかけが最初にあったはずなのだ。わかるか?あ?そのないも同然の思考力で理解ができたか?…まぁ期待するだけ無駄か」
身動きの取れない状態で足蹴にされウツギはようやく理解した。
先ほどまでこの男はどこまで人を馬鹿にすれば気が済むのかと思っていたが…それは違ったのだ。
アリセベクはウツギの事を馬鹿になどしていない。
心の底から、当り前のように、それが当然であると本気で他者の事を自らに劣る猿や虫だと見下しているのだ。
そこに悪意はなく、ただそれが事実であるとして接しているだけなのだ。
また頭のおかしいやつが出てきやがったとウツギは喉…歯まで出かかった言葉を何とか噛み殺して飲み込んだ。
そんなウツギに代わってセンドウは顎に手を当て興味深そうにアリセベクに相槌を打つ。
「なるほど?アリセベクさんはこの地が「黒神領」と呼ばれる国になったその起源に興味を持ったと」
「興味?こんな劣等共のたまり場に興味などあるものか。私はただそこにある解明されていない何かを暴くのみだ。そこに興味や関心など抱くことなどあるはずがないし必要もない。そんなものは研究にノイズを産むだけで非効率だ」
「…変わりませんねぇアナタは。私は興味を持ちましたよぉ?確かに言われてみれば不思議と言わざるを得ませぇん…世から排斥されてると言ってもいい「黒」を持つ者たち。それらが逃れるための場が国という形を得ることを認められている。なるほど確かに不思議だぁ…ひっひ!その成り立ち…気になりますねぇ…えぇ気になりますとも。私見になりますが理由は分からずともなぜこの場所にこの国が…という点には答えを出せますねぇ」
馬鹿にされて悔しかった…と言うわけでは断じてないが沈黙を守ったままウツギはセンドウの言葉について少しばかり考えてみた。
黒神領がこの場所にできたわけを。
ウツギはお世辞にも頭が良いとは言えず、勉学もずっとサボってきたが最近はアザレアやセンドウ指導の下でそこそこではあるが知識を詰め込んでいた。
なのでおぼろげながら頭の中で周辺の地図を思い浮かべてみる。
するとすぐにその答えに気づくことができた。
考えればすぐにわかることだが、当たり前すぎて考えることすらしなかったとある事実。
そう、黒神領は──
「この国は…正確には隣接している無色領も含めてですがぁ~他のすべての国を結んだ中央に存在している。つまりはその昔、他の国で捨てられた人々は自ずと国同士の中間地点で出会うことになるわけだぁ…ひっひ!そんな彼らが国を興した…えぇ理由は不明ですがこの場所にという答えではありますねぇ!」
センドウが出した答えと全く同じことをウツギは考えた。
それが一番納得のいく答えだと思った。
だがアリセベクはそれを聞いてやはり心底馬鹿にしているようなため息をついた。
「いい加減にしてくれ馬鹿ども。私の時間は何よりも貴重なのだ…それなのに的外れで聞く価値もない雑音を声高にぺらぺらと恥ずかしげもなく…よくもそんな矮小な思考力で生きていようと思うものだと感心に加えて同情心すら覚える…まぁいい、同情がてらこの私が一効率的なものの考えというものを教えてやろう。なにが理由はわからないだ馬鹿が、その理由がまずあって場所だという話をしているのにその理由を省いてどうなる。数式とは完璧な式が揃っているからこそ解を求められるのだ。その過程のどれか一つでも抜けていれば別の的外れな答えしか出ぬわゴミめが…いいか?再度口にするがこの地は国として認められているのだぞ?貴様が口にしたように他の国からの流れ者が集まってできただけの場所が国と認められたりするものか。かつて紫神領では貧富の差が極まった結果、難民で溢れかえりスラム街と呼ばれる場所が国内にできたらしいがそこが国として認められたか?いないだろうが。なぜそんな簡単なことも分からない?」
「…ふむ…つまりこの場所は他国から追い出されたものが自然に集まった国ではなく、何者かが…少なくとも国を興せるだけの力を持った人物がそう言った者たちを集めてできた国だと」
「ふん、ようやく理解してきたか?あまりにも遅すぎるが…これ以上を馬鹿に求めるのは酷か。そう、この国は確実に当時の権力者の意図が介在して出来た国だ。黒を持つ者などその辺で野垂れ死にさせておけばいいものをわざわざ国という受け入れ先を作った。だがそれはくだらない善意や吐き気のする同情からではない。もしそんな馬鹿な理由でできた国ならばもう少し劣等種共の立場もマシになっているはずだからな。つまりは保護以外の目的があったのだ…国を一つ起こすだけの労力を費やすに足る理由がな。それも劣等種共を使いつぶす方向でだ…それを知るのはこの国において唯一立場を認められている家であるエナノワールの当主だと踏んでいたのだが…貴様本当に何も知らないのか?」
ウツギの腹部にアリセベクのつま先が深々と突き刺さる。
「っ…!知らねぇ…よ…っ!」
「ちっ…結局は時間を無駄にしただけか。やはり早々に馬鹿には見切りをつけてエナノワールの屋敷を調べるべきだった。私は最初にそう考え命令をしたというのに貴様が当主を攫ってきたほうが早いなどとぬかすからだぞ、どう責任を取るつもりだ?センドウ」
「ひっひ!これはこれは申し訳ありません…しかしこの会話はとても重要なものでしたよぉアリセベクさぁん…」
「重要だと?この無駄な時間がか?何が重要だと言うのだ?言ってみろ馬鹿が」
「ひっひ!あなたの目的と、この地にある謎を引き出すことが出来ました…そしてあなたの話を踏まえると実は私には心に当たるものがあるのですよぉ…ひっひ!」
「なに?どんな情報を持っているというのだ?早く話せ、私の時間をこれ以上無駄にするなグズが」
カチャリとセンドウの手の中で黒い筒が音をたてる。
鉄の小さな砲…鉄砲と呼ばれたその筒の銃口は…まっすぐとアリセベクに向けられていた。
「…なんのつもりだ?センドウ」
「ひっひ!アナタがそんな問いを投げかけてくるとは珍しいぃ!そういうのは非効率なのではないですかねぇ~…えぇですが私もあえて答えましょうとも。つまりはそう、離反というやつですねぇ!ひっひ!ウツギさんもご協力ありがとうございますねぇ…大変助かりましたよぉえぇ…」
「ちっ、妙なことやらせやがって…後で約束通り俺にもあの空飛ぶリモコン操作の機械作ってくれよな」
そう言いながらウツギがロープの拘束を破ってアリセベクを払いのけながら立ち上がった。
否、その様子から元から拘束などされていなかったのだろう。
ただそれらしく見せかけていただけだ。
「…で?もう俺はいいのか?オッサン」
「えぇここはもう私に任せてウツギさんはウツギさんの成すことを…すべてが無事に終わった後にまた合流しましょう」
「おう、死ぬんじゃねぇぞ!あのリモコンのやつマジで作ってもらうんだからな!」
二人に背を向けてウツギが走り出す。
そんな中でアリセベクがウツギを呼び止める。
「待てエナノワールの当主。本当にこのまま去ってしまっていいのか?」
「…あ?」
「猿以下の知能のお前にもわかるようにかみ砕いて言葉にしてやろう。今この場においてセンドウを私と二人っきりにしていいのかと聞いているのだ。状況を見るにその男の事情を大体は知っているのだろう?なら合理的に考えてお前がセンドウを信用する理由など何一つないはずだ。だと言うのに本当にこの場を去るのか?何が起こるかわからんぞ?もし私につくのなら命の保障だけはしてやるぞ?猿…虫には十分すぎる温情だろう。どうだ?」
「…ウツギさん」
はっ!とウツギは息を吐くように笑い、アリセベクにむかって指を立てて見せた。
「知るかばーか!」
「…虫が何のつもりだ?」
「お前の言う通り、俺は虫みてぇな人間だよ。人に何言われてもしょうがねぇ人生送ってきたからなぁ!だからお前の言う合理的?だとか効率的だとか分かんねぇんだわ…虫だからな。んでその馬鹿な虫様の俺様はお前とセンドウどっちを信じるかって聞かれたらセンドウのオッサンを信じるんだよバーカ!騙されてたんだとしてもなんやかんやおっさんとは付き合いもなげぇしな」
「…お前が何を言っているのか全く理解できん。なんだ?何がどうなればこんな不可解な馬鹿が出来上がるんだ…?いいかよく考え──」
「考えねぇつってんだよ、んだ?一度言われたことが理解できないのか?なぁおい?ん?もしかして馬鹿か?」
「貴様…」
「ひっひ!ひっひ!ウツギさん大変愉快ですがその辺で…時間がないのは変わりませんからねぇ、えぇ…ですがありがとうございますとだけ」
「おう」
そうして今度こそウツギは振り返ることなくその場を走り去っていった。
残されたのは不機嫌そうに身体を震えさせるアリセベクと鉄砲を構えたセンドウだけ。
「さぁて…ではアリセベクさん一応聞いておきますがこのままこの国から手を引いてはいただけませんかぁ?意外と思うかもしれませんがこれでも私はあなたにも情のようなものを抱いていますのでねぇ…えぇ…できれば殺したくはない」
「馬鹿が…お前がこの私を殺そうと言うのか?それに何の意味がある?そして出来ると思っているのか?」
「意味はありますし、出来るどうこうではなくやるのですよぉ…ウツギさんに信頼していただきましたしねぇ…それを裏切るわけにはいきませんとも…えぇ…ひっひ!」
「はぁ…馬鹿にしては使えるからと手元においてやったと言うのに…だがこれ以上は非効率だ。効率を考えるのならば貴様のような馬鹿にはとっとと見切りをつけて次に進むのが最良の答えだ。後悔し、感謝しろ…この枢機卿たる私が直々に手を下してやろうと言うのだからな。我が時間を割く事実を光栄に思いながら…死ね」
アリセベクが来ていた白衣の内ポケットから小さな黒い石…呪骸を手にしてセンドウを睨みつけた。
重くなった周囲の空気をひしひしと感じながらセンドウは…それでも笑って見せる。
「ひっひ!ここからですねぇ…えぇ、ここからです…この日のために私は準備をしてきたのですからぁ…」
アリセベクさんはまず会話に罵倒が混ざるのでセリフを考えるのと書くのが割と大変です。
普通の会話の三倍くらいの時間がかかっている気がしますねぇ…!




