ep.26 リメンバーアラスカ、ついでにパールハーバー
シュヴァルベ級空中駆逐艦のシュヴァルベって、ドイツ海軍の4等巡洋艦から取ったつもりだったんですが、me262もシュヴァルベだったんですよね...
1ヶ月半後 深夜(ハワイ時間)
「まもなくパール・ハーバーを目視で確認できます!」
「既に電探で探知されている可能性は...かなり低いか」
「この船の大半は木造ですし、なにより低空飛行してますからね」
今回の作戦のため特別に航続距離を重視して装甲を半分程度外す改造を施されたシュヴァルベ級は、途中で着水し教皇国の潜水艦から補給を受けた後、低空飛行でパール・ハーバーに向かっていた。
「参謀長! 敵哨戒機と思わしき飛行物体を探知! このまま進めば接触します! どうしますか!」
「艦載機を上げろ! 大英帝国の偵察機なら二式複戦でも落とせるだろ!」
大砲を減らし、航空機運用能力を備えたシュヴァルベ級から着水用のフロートを付けた二式複戦がカタパルトで射出される。
「行ってきま〜す!」
彼らは敵機のレーダーに察知されないよう下方から接近し、あっさりと撃墜。
その後、浮上した教皇国の潜水艦に回収された。本来ならばシュヴァルベ級が着水して回収するのだが、練度が低く離着水に時間がかかるため、今回は教皇国の潜水艦が回収した。
「よし、全艦最大戦速! 単純陣に変更せよ! 速やかに敵艦隊を砲撃し離脱する!」
教皇国では旧式となったターボプロップエンジンが唸りをあげてプロペラの回転が加速する。
そしてその頃英軍でも...
「敵飛行船多数探知! 速度...550ノット!」
「対空戦闘用意! 飛行船など対空砲で撃ち落とせ!」
慌てて寝癖の付いた水兵が部屋から出てくる。
「弾薬が無いぞ! 早く持って来い!」
「照準器の電池が切れてる! 早く交換しろ!」
奇襲を想定していなかったため大半の対空砲がすぐに稼働できなかった。
「敵艦から何か出てきました! あ、あれは大砲じゃないか!」
「んな、爆弾でも魚雷でもなく大砲だと!?」
「機関始動はまだか? すぐに回避行動を...グワアァァ!」
127mm側面砲から放たれた魔導弾が発射後に爆裂魔法で更に加速し、次々に超旧式の戦艦や空母といった大型艦を貫き艦中枢で爆裂魔法を作動。
撃沈、いや轟沈でも控えめな表現に聞こえるほど無惨に鉄の破片となる。もはや鉄の塊ですら無い。
「装填完了! 撃てぇ!」
ここでようやく攻撃を免れた駆逐艦や巡洋艦、更に小型の海防艦から対空砲や主砲が放たれるも、飛空艦隊は既に有効射程外に逃げた後だった...
一応、二隻が40mm機関砲を数発喰らったものの、初速が早かったこともあり装甲の外されたシュヴァルベ級を信管の発動する前に貫通してしまった。
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大英帝国領アメリカ ホワイトハウス(風なだけ)
「パール・ハーバーが飛行船に襲撃されて第五艦隊が壊滅したって? モンゴルか? それとも北日本(ゼイトゥア空中民主教皇国)か?」
「それが、どちらのマークでも無かったと...」
「おそらく偽装しているのだろう。敵の捕虜などは居ないのか?」
「そもそも奇襲だったためほとんど損害を与えられなかったと...」
「この前の石油貯蔵施設襲撃事件といい、役立たずめ...まぁ原住民を徴用しただけの二級戦力じゃあそうなっても仕方ないか...本国に主力艦隊の派遣を依頼しよう。流石にアラスカの第三艦隊は動かせないしな」
英国海軍には第一艦隊から第十艦隊まであり、それぞれ任務と配備先は以下の通りである。
第一艦隊 戦闘 大英帝国本土
第二艦隊 戦闘 大西洋
第三艦隊 戦闘 アラスカ
第四艦隊 戦闘 地中海
第五艦隊 戦闘 太平洋
第六艦隊 戦闘 インド洋
第七艦隊 補給
第八艦隊 補給
第九艦隊 教育
第十艦隊 教育
第十一艦隊 揚陸
第十二艦隊 特別任務
最近モンゴルとの戦闘によって第三艦隊や第四艦隊、これまで全く重視されていなかった第六艦隊に人員や最新艦艇が注ぎ込まれた結果、それ以外の艦隊が弱体化してしまっている。
それは前まで主力艦隊であった第九、第十艦隊を教育艦隊にしてまで人員育成に励んでいることからもわかる。
例外として常に超精鋭と超最新艦艇を注ぎ込まれる第一艦隊はあるが、法律で本国からは絶対に動かせないため戦力としてノーカウントだ。(皇帝が他国に亡命する際などは別)
また第十二艦隊は機密が多く、司令官クラスでも任務や所在地がわからない。噂によれば潜水艦だけで編成された艦隊であるとか...
「ですがモンゴルがターボフロップエンジンを搭載した飛行船で暴れまわっているせいで海軍も余裕がありませんし、極東の島国なんかと争う余裕なんてあるんですかね...」
「それがどうやら司令部は時々アラスカに現れては引き返す北日本(教皇国)の飛行船に興味を示しているらしくな...今回の襲撃でも飛行船が使われたことも踏まえれば、飛行船の技術欲しさに教皇国に大艦隊を派遣してくれるかもしれん」
「失礼します! 海軍司令部からの情報によると、アラスカの海軍基地が攻撃され、第三艦隊は殲滅されました!」
「...殲滅? 奇襲などで損害を受けたということならわかるが、それだって殲滅判定は流石に無いだろう」
「また攻撃とほぼ同時に北日本から宣戦布告されたということです...」
「は? あの国はモンゴル以上の飛行船を有していたはずだ...モンゴルと同時に相手するのは厳しいぞ...それにあの国の飛行船がいきなり襲いかかってきたら第三艦隊でもかなりの被害が出てもおかしくないな...流石に殲滅は無いにしても全滅か壊滅ぐらいなら...」
「それが...飛行船では無いと...」
「潜水艦にでもやられたのか? 何が精鋭だ、マヌケ共が」
「いえ、鉄の塊が空を飛んでいたとの報告が...実際に8.8cm対空砲を喰らっても炎上しただけでノコノコと逃げていったとか...」
「...おい、すぐに北日本についての情報を調べ直せ! 最優先だ!」




