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侵略者の夏やすみ  作者: 碓氷烏
第九話
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第九話3

「まずは第一段階完了ってとこですかねぇ~」

 わたし、田村朱里はショッピングモールの入り口にて二人の様子を背後から見つめていた。

 由衣センパイには今日風邪を引いたとウソをつき、進藤先輩には杉村先輩の力を借りてここまで呼んでもらった。杉村先輩も中学の頃からよく遊んでもらっていてアドレスを知っていたので、事情を話したら面白そうだとすぐ乗ってくれたのだ。本当は一緒に尾行するはずだったけどリアルに用事があると言っていたので後でレポートお願いと頼まれた。たまにあの先輩わからないとこあるのよね……。

「まあいいわ、うまくあの二人をここに呼べたし。後はそのままくっつけば作戦成功よ。名付けて、由衣センパイを幸せにさせようさくせ~~ん!!」

「わあ~~~ドンドンパフパフ~~!!」

「…………わああああああああ!?」

 あまりの不意打ちにわたしは壁にぶつかるぐらい勢いよく後ずさった。目の前にいたのは昨日進藤先輩と一緒にいたあの緑色の髪の彼女さんだった。

「な、なんでアンタがここにいるのよ!?」

「今日はミコトさんのお父様と一緒にお買い物に来ました!あの、あなた確か昨日由衣さんと一緒にいましたよね?」

「え……ええ、そうです。由衣センパイの後輩の田村朱里です」

 何なのこの娘、どうして進藤先輩のおじさんと買い物なんか……、えっまさかそういうお仕事してる娘なの!?

「やっぱり!初めまして、わたしミコトさんのとこで居候しているリディア・ル・シイカノン・グエンシンナ・モウルサヤ・ネイクマシ・・・・・・」

 何か突然呪文唱えだした!?

「……ティーンルマチイです。リディアと呼んでください」

 えっ、今の名前だったの!?長すぎないっ!?てか居候ってことは、

「由衣センパイの言ってたこと、ホントだったんだ……」

「?」

 首を傾げ不思議そうな目で見つめてくる。

「お、なんだ。朱里ちゃんじゃないか」

 と、リディアさんの後ろから進藤先輩のおじさんが来た。

「ご、ご無沙汰してます。おじさんも今日買い物だったんですね」

「ああ、うちは毎週この曜日に色々買い揃えてるんだよ。もしかして、リディアちゃんのこと知ってる?」

「あ、あの昨日ちょっと大会でお会いして……」

「そういえばミコトが観に行くって言ってたな。そうだ朱里ちゃん、よかったらリディアちゃんと一緒に遊んでくれないか?リディアちゃんもこんなおじさんに付き合うより友達といた方が楽しいだろ?」

「えっまだ友達だなんて……」

「朱里さん!友達になってください!お願いします!!」

 と、リディアさんはわたしの両手を掴み、ぐいぐいに顔を近づけて迫ってきた!?

「わかりました……。よろしくお願いします」

「わ~~い!」

 何なのこの娘は……、どうも調子が狂う。

「じゃあお昼に食料品売場で買い物するからその時間に来てもらえばいいよ」

「はい!その時間には戻りま~す!」

 と、おじさんと別れたわたしたち。はっきり言って気まずい!?ちょっと待って!すぐそこに由衣センパイたちデートしてるのに見つかったらヤバくない!?

 とにかく、何とかあの二人から離れないと。ここで拗らせたら色々マズ……、でも待って。ホントにこの娘がただの遠い親戚だったとしたら隠れる必要は……。

「あれ?あそこにいるのミコトさんじゃないですか?隣には、由衣さ……」

「ねえ!わたしクレープ食べたくなっちゃった!!あっちでクレープ売ってるから買いに行きましょう!!」

 わたしは咄嗟にリディアさんの腕を掴みその場から離れようとする。

「えっ?でもあれ……」

「いいから行きましょっ!わたし最近出たバナナイチゴ&タピオカレインボーが気になるんです!」

「えっ!?何ですかそれ!!わたしも食べたいです!!」

 と、予想外に食いつきがよく何とかその場から遠ざかることに成功したのであった。

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