第八話6
「はぁ、やっと抜け出せました……」
わたしシスカとフリードは駅で声をかけてきた女の子に促され少し古めの建物の中で撮影会に参加させられ、ちょっとした休憩の間に何とか抜け出すことができた。
その間このメイド服の他、以前夏祭りに着た浴衣のような和服(オイランとか言ってました)、男性が着たら似合いそうなこちらの星の軍服、昔の時代の給仕服など次々と着せられ、色んなポーズをさせられていた。フリードもあの服のままポーズをさせられ、気がつくと姿を消していた。そういえば昔からヤツは危機管理能力が高く逃げるのが早かったんだ……。
「さて、ミコト様たちは一体どこに。無事ならいいのですが……」
フリードが言っていたマリアの償いとはどういう意味だろう。ミコト様が無事であればいいのですが……。
彼についたカメラを見るとこの先のショッピングモールにいるようで、見たところ特に変わった様子はない。本当にデートをしているみたいだ。
「今のところ何の問題もなさそうですね。本当に償いのためにデートをするなんて、ヤツは何を考えているんだか……」
そもそもどういった経緯で今日集まることになったのかすらわかっていない。それに償いとは一体……。
すると彼を追っているカメラにマリアが振り向き、ニヤッと笑みを浮かべた。
「っ!?」
まずい、気づかれた……!?
わたしはすぐさまカメラを二人から離脱した。……仕方ない、さらに遠くから二人を監視するしかないか。
それにしてもあの二人何の話をしているのだろう。彼女に見つかってから急に音声にノイズが入ってしまい二人の会話が聞こえなくなった。ヤツのことだからきっとハッキングしたのだろう。
「まあ、破壊されるよりマシか……」
以前のマリアなら遠隔操作で破壊をしたが、それをしない辺り見守っても問題はないみたいだ。
「ならば、このまま二人を見守るしかないみたいですね」
ますます彼女の意図がわからなくなってしまったけれど、とにかく今は動向を追うしかない。それにお嬢様を救う薬の代替を早く見つけないと……。
「…………今のうちに色々探してみますか」
わたしは少しの間カメラの監視モニターをオフにし、改めてお嬢様を救う薬の代替を探すことにした。
そして俺たちはアウトレットモールから反対側の旧軽井沢エリアに移動した。俺にとってあまり思い出はないけれど親父が若い頃はこっちの方が賑わっていたらしい。昔デートで行ったとか言ってたな。
「さっきの場所とは随分雰囲気が違いますのね。あなたの町の繁華街と少し似てるような」
「まあ大体合ってるよ。さっきのは新しい場所でここは昔のメインストリートだったんだ。昔と言っても今でも新しいお店ができてたりするから結構楽しめると思うぞ?」
「最近この星に来たばかりのアタシに言われても違いなんてわかりませんわ。あなたはアタシをエスコートすればいいんですの」
「はいはい、ここも人通り多いからはぐれんじゃねえぞ?お嬢様」
「フフ、よろしい」
そうして俺たちは旧軽井沢エリアを練り歩いた。こっちは比較的雑貨が多く、西洋のおもちゃのお店や扇子と箸の専門店が連なり、彼女は興味深そうにまじまじと眺めていた。
「あれは絵のお店ですの?」
そして途中で見つけたトリックアートミュージアムでは急に出てきたサメが飛び出してるように見える絵にマリアが一瞬ビクッとしたのを見逃さなかった。ダメだ、笑っちゃいけない笑っちゃいけない笑っちゃいけない笑っちゃいけない……。
「ぷふっ!」
「何がおかしいんですの……?」
とりあえず俺はマリアから痕が残るぐらいのビンタをお見舞いされた。
「まったく、完璧なこのアタシを鼻で笑うなんてあり得ませんわ」
「悪かったよ、お前がその……ビクッてしてたのがすごいシュールで」
「次は壁に穴が開くぐらいぶっ飛ばしますわよ?」
「すいませんでした」
俺は彼女の機嫌を直すためにさっき言っていたソフトクリームの美味しいお店で奢ってあげた。
「あら、これもとても美味しいですわ!……あなた、大分アタシの扱い慣れてきましたわね」
と、機嫌を良くしたのか、目をキラキラさせながら彼女はソフトクリームに夢中になっていた。
「喜んでくれたんなら何よりだ。ここはネットでも評判のお店だからな」
伊達に昨日の夜寝る間を惜しんで情報を調べてただけある。俺も初めて食べておいしいと思ったぐらいだ。
「じゃあ、アタシからもとっておきの場所を教えてあげないとですわね?」




