第十一話31
「おい待て。お前さっき計画を『奪った』って言ったよな……?まさか地球侵略計画を……」
「あら、坊やにしては察しがいいですわね。ええ、地球侵略計画はこのアタシが受け継ぎますわ。光栄に思いなさい」
と、マリアは胸を張りながらこれ以上ないドヤ顔でカミングアウトした。
「ふ……ふざけんな!?お前が侵略したら地球はとんでもないことになるだろ!?」
「そんなこと知ったことではありませんわ。何せ本物の惑星破壊装置はこのアタシが持っているんですもの。好きに使わせてもらいます」
「じゃ、じゃあ地球の皆さんは……」
リディアの不安そうな顔を見て、マリアはにんまりと笑みを浮かべながらツカツカと近づいてくる。そして……、
「あなたに任せるわね?リディアちゃん」
と、マリアは彼女の掌にソフトボールサイズの小さな玉を手渡した。
「えっあの、これって……?」
「あ~~気をつけてね。その中に地球に向けてセットした惑星破壊装置のプログラムを埋め込んであるから、下手に地球を壊したいって念じると作動しますわ」
「ふえっ!?何てもの渡すんですか!?え、てことは……?」
「そう、それを持って侵略するもいいし何もしなくてもいい。地球の未来はあなたに託します。もちろん、バックアップはさせてもらいますわ。頑張ってね、侵略者ちゃん」
と言って、マリアは踵を返しどこかへと行ってしまった。
俺たち二人は突然のことにぽかんと口を開け、互いに目を合わせた。
「わたしが、侵略者……」
「そう、みたいだな……」
こんな小さな玉で地球を征服できることに全く実感が湧かず、二人してその玉をまじまじと見つめる。
「プフっ!アハハハハ……!ミコトさん、わたし本当に侵略者になっちゃいました!すごいっ!何したらいいでしょう!?」
「そうだな!とりあえずホワイトハウス占拠するとこから始めるか!その後どうしたらいいかわかんねえけど!!」
「その『ほわいとはうす?』って言うおうちを買えばいいんですね!でもミコトさん家そんなお金ないはずじゃ……」
「大きなお世話だよ!それにこの玉さえあれば何でも手に入るかもよ!多分!!」
「そうですねっ!この前見てかわいいなって思ったお洋服もいっぱい買えますね!!」
「そうだ!じゃんじゃん買っちゃえ!リディアの似合う服いっぱい選んでやるよ!」
「はいっ!いっぱい選んでください!」
と、俺たちは俺たちなりの地球侵略の話で盛り上がった。あまりにも非現実的なことにしょうもない話題で何度も脱線しながら。
そうして俺たちなりの地球侵略プランは決まったのだった。




