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侵略者の夏やすみ  作者: 碓氷烏
第十一話
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第十一話16

「シスカ」

 隣でミコト様が小さな箱をわたしに見せた。

「それは?」

「クラウドが俺にくれたものだ。何でも俺の記憶をデータにしてくれたらしい」

「クラウドが?どうしてそんなことを」

「どうやらアイツ、組織にハッキングするほど筋金入りのアズールファンだったらしい。俺たちがこの星に来ることもミカドが何を考えているのかも全部把握してたみたいだ」

 なるほど、だから素性の知れないわたしを何の躊躇もなく受け入れたり、あのタイミングでミコト様を部屋から連れ出したのか。今まで不思議な研究をしてる人間だと思っていたけどまさかそんなことをしていたとは……。

「そうでしたか、クラウドには頭が上がりませんね。ですが何故彼はその後襲われたのでしょうか?」

「襲われた!?ど、どういうことだ?」

「やはりあなたではないみたいですね。わたしが来たときには既に何者かに襲われていたんです。安心してください、命に別状はありません」

「そっか、でもスクールでもバレなかったヤツが襲われるなんて……」

「わたしにも見当が付きません。一体誰が……」

 だが殺されなかったのが唯一の救いだ。彼が目を覚ましたら事情を聴くことにしよう。

「とにかく、今はお嬢様を救うことに専念しましょう。ミコト様、その箱は会場に着くまで大事に持っていてください」

「ああ、リディアには最っ高の発表をしてもらわないとだからな。アイツを邪魔するやつらに目にもの見せてやるっ!!」

 ミコト様はわたしに笑みを浮かべながらポケットにその小さな箱を仕舞い駆け出していく。

「ミコト様……」

 彼の目は初めて会ったあの頃とは違う。迷いを拭った者の目だ。

 きっと彼なら、間違いなくお嬢様を救うことが出来る。確かな自信はないけどわたしにはそう感じた。

 すると、わたしの持っていた通信用端末に誰かから連絡が入った。

「マリアっ!?」

 スクリーンにはマリアの等身が映し出され、嫌みなぐらいの笑顔でこちらを向いている。

『首尾良くことは進んでるかしら?状況を教えてちょうだい?』

 こちらの心配などお構いなしに要件を聞いてくるマリア。

「今はミコト様とそのご友人とともにミカド本部に向かっている。場所は市街区画シェリフ5だ」

『そう、さすがはアタシの信頼するシスカ。アタシの思い通りに進んでくれて嬉しいですわ』

 わたしを殺そうとしていた彼女の思い通りというのが癪に障るがこの際そんなことはどうでも良い。この後どうなるか指示を仰ぎたい。

 するとそれを聞いていたミコト様が横から割り込み、

「マリアてめえ!よくも俺たちをあんなとこに放り込んだな!?お陰で何回も死にかけたんだぞ!?」

 と、血相を変えマリアに怒鳴り込む。

『あら坊や、生きていましたの?あなたが死んだって聞きましたから心配して使いを三人寄越しましたのよ』

 と、心にも思ってなさそうな口ぶりでミコト様に語りかける。

「そうだよ、何でコイツら連れてきてんだよ!?そんで何でめっちゃいい武器与えてんだよ!?死にそうなのわかってんなら俺にも寄越せよ!?」

『いちいちうるさいですわね。いいじゃないですの生きてるんですから。あの時そのままアタシたちと同行してたらあなた確実に足手まといになってましたわ。だからシスカを付けて別行動してもらいましたの。どう?タルーヴァの観光は楽しかったかしら?』

「ああ、トラウマになるぐらい記憶に残る観光だったよ!」

『フフ、喜んでもらえて何よりですわ。あ、そうそう。計画がバレたからお姫様の発表の時間、今日に変更されましたの。大至急ポイントまで到達してください。頼みましたよ~』

 と、マリアは笑いながら手を振って通信を切った。

「はっ?はぁ~~~~~~~~~~~~!?」

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