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侵略者の夏やすみ  作者: 碓氷烏
第十一話
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第十一話15

「おかしい。いくら何でも不自然すぎる」

 わたしシスカがスクールを抜け出しミカド本部へ向かう道中、あれだけ騒がれていたのに街に警備の姿が一人もいない。できるだけメイン通りを避けて通ってはいるがそれでも警備が手薄すぎる。まるで誰かに導かれているかのようだ。

「アズールのことだ。きっと裏で動いているに違いない」

 正直、そういうところも打ち合わせしてもらいたいところだが、マリアがわたしを信用してるっていうことにしておこう。

「信用してる……か。あれだけわたしを恨んでいたのに面白いものだ。当の本人はどこで何をしているのやら……」

 それよりもミコト様の安否が気になる。ベッドに残された温もりで生きているのは確かだけどそれからどこへ向かったのか。タルーヴァに来て数時間しか経っていないのに彼がスムーズにミカド本部まで辿り着けるとは思えない。誰かと合流してればいいのだけど……。

「ホントにこっちで合ってんのかよ!?この標識さっきも見たぞ!?」

「いいから信じろって!俺の超完璧なナビゲーション能力でマリアさんからもらったこのナビも何とか解読できるんだから!」

「やっぱそれ読めてなかったんじゃねえか!お前それでよく俺に任せろ!って胸張って言えたな!?」

「いいじゃねえかとりあえずあの建物から抜け出せたんだから!」

 何やらあの角の先で誰かが揉めながらこちらに近づいてくる。会話から察するにアズールの構成員だろうか。

「念には念を……」

 そっと陰から警戒して覗き込む。するとわたしの目の前を男女数人が駆け抜けていった。そしてその中に……、

「ミコト様っ!?」

 そう、行方がわからなくなっていたミコト様がそこにはいた。

「えっ……?シスカ」

 わたしの呼び止める声にミコト様は振り返る。

「ミコト様、良かった……。やはり生きていたのですね。本当に、良かった……!!」

 わたしは喜びのあまり彼を抱きしめ涙を流してしまう。わかっていたのに、彼の姿を見ただけで嬉しくて、泣き崩れてしまった。

「わりい、心配かけちまったな。俺はもう大丈夫だから」

「進藤。この人って確か商店街で噂になってるメイドさん?」

「あ~道理で見たことあると思ったら、じゃあこの人も宇宙人てこと?」

「……お恥ずかしいところ見せてしまいました。わたし、リディア様のメイドをやっておりますシスカです。あなたたちはミコト様のお友達で?」

「はい、三人ともマリアさんに連れてこられました」

「はぁ~~~……。全く何を考えているのやらあの女は。一般人を、しかも地球の人間を三人も巻き込むなんて……」

 わたしは顔を押さえながら深いため息を漏らす。さっきの涙など一瞬で引いてしまうぐらいに。

「でもでも!わたしたちマリアさんから特別なものもらったんでもしもの時も大丈夫ですよ!」

「俺には何ももらってないけどな」

 三人の傍らでため息をつくミコト様。確かに三人とも不思議な格好をし、それぞれ武器のような物も持っている。マリアもそれなりに対策は考えているようだ。

「それで、皆様もミカドの本部へ?」

「ああ、でもコイツが地図読めねえからさっきから同じとこぐるぐる回ってんだけど」

「読めてますぅ~!そんなに言うならシスカさんにも聞いてみようぜ。シスカさん、やっぱり道こっちで合ってますよね?」

 と、白い服の彼から地図が映し出されたホログラムを手渡される。

「えっとこれは……、逆ですね。なるほど、だから向こうから来られたんですか」

「ほら~!やっぱり逆だったじゃねえか!」

「仕方ねえだろ!?こんな映画みたいなSFチックな地図は俺たちと違ってわかりにくいんだよ!?」

「いえ、わたしも地球の地図を見ましたけどタルーヴァとあまり変わりませんでしたよ?」

 わたしがそう言うと他の三人はじと~っとした目で彼を見つめていた。

「と、とにかく!えっとシスカさんでしたっけ?この地図の場所目指してるなら一緒に行きましょう!やっぱり現地の人がいると心強いです!」

 と、その場を取り繕うとする彼。

「そうですね、一人でも多く戦力が増えるのはこちらも有り難いです。ことは一刻を争います。行きましょう!」

 そしてわたしたちはミカドの本部へと駆け出していった。

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