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頭を抱えました

 リビングでシャールさんと共に頭を抱える。


「……やっぱり、無理?」


「無理だね。こればっかりは仕方ない。畑違いにもほどがある」


「そうだよね。やっぱり……」


 俺とシャールさんは壁にぶち当たっていた。

 そう。騎士ジンの強化計画に。


 騎士ジンの訓練は続いていて、神器部分――ゲームでいうところのパイロット能力――は強くなっていっている。

 それはもう順調に。


 何しろ、ドリューやエルフたちだけではなく、最近はリュオも乗り気だからだ。

 少しずつだけど確実に成長していくのが面白いらしい。


 RPGゲームとか、時間をかけるのが好きなのかもしれない。

 それだけ暇しているんだろうな、と思う。竜だし。


 なので、神器部分の強化は問題ない。

 問題の強化は、体部分の方だ。


 やはり、木造だと限界があるというか、限界値が低い。

 思いのほか直ぐ壊れる。


 まあ、直ぐ修理というか、交換もできるんだけど。

 それでも限界値、特に耐久性が低いため、ちょっと激しめの訓練をすると直ぐどこかが壊れる。


 これに対しては、シャールさんにも意見があるけど。


「……単純に、竜や強いモグラ、それにエルフと一緒に訓練をしているのだから、壊れるのは普通だと思う」


 その意見には同意した。

 でも、木造が問題というのも事実。


 何より、木造だと……両手足の回転部分タービンが本当に飾りなんだよ!


 攻撃にも防御にも移動にも使えやしない。

 試しに使ってもらってけど、直ぐボロボロになって使い道が一切なかった。


 このままいくと、改造しても運動性が低くてどうしようもない紙装甲の機体に、回避が高いリアル系エースパイロットを乗せるような、そんな状態になりかねない。


 それを回避するためにも、やはり……。


「鉄以上の素材が必要、か」


 それに尽きる。

 でも、問題はそれだけではない。


「いや、鉄だけあっても駄目だ。鉄以上の素材を加工できる職人が必要だ。鍛冶師、とかな」


 シャールさんがそう付け足す。


「で、シャールさんもそれは無理、と」


「さっきも言ったけど、ゴーレム技師としての技術も、僕が学んでいるのは魔力回路の方であって、体の方や必要な部品はほぼ外注……王族御用達の鍛冶師や推薦された者にお願いしていたから、鉄以上の素材が手に入っても無理」


「つまり、鍛冶師が必要って訳か」


 まあ、呼んだからといって、来てくれる鍛冶師が居るとは思えないけど。


「それも、ただ呼べばいいって訳じゃない。ハクウが求めるレベルのゴーレムとなると、生半可な鍛冶師では駄目だ。少なくともドリュー並の腕前は有していないといけない」


「……確かに」


 ドリューの腕前は王族であるシャールも褒めていたくらいだし、相当な腕前じゃないと駄目って事だ。


「それに、核は神器を使用している訳だし、ハクウのスキルやこの場所における秘匿性などを踏まえると、人格者が幸いだけど、それでなくてもそういうのを守れるくらいに口が堅い人物じゃないと……」


 うんうん。確かにその通りだ。

 悪いヤツだと神器を奪って逃走しかねない。


 そう思っていると、シャールさんが何やら考え出す。


「他にも何か?」


「いや、何か思い出しそうで………………あっ!」


 ぽん! と手を叩く。


「思い出した。といっても、必ずという訳じゃないけど、それを前提に聞いて欲しい」


「うん」


「竜を崇拝する国には『ブランジューロ』師が居るかもしれない」


「ブラン……ジューロ?」


「あれ? 知らない? 世界的に有名な鍛冶師なんだけど」


 すみません。

 自分、この世界出身じゃないし、この不滅の森以外の場所に行った事ないので。


 さすがに、異世界出身だとは教えていないから、こればっかりは仕方ない。

 この世界の世情に疎いね、俺。


「ごめん、知らない。でも、その鍛冶師なら問題ない?」


「そうだね。腕は文句ないし、聞いている話だと秘匿性も守ってくれると思う。まあ、実際に会ってみないとわからない部分があるのは間違いないけど」


「それはそうだけど、そもそも会うの難しくない? 来てくれるかもわからないし、シャールさんのツテでどうにかなるの?」


「来てくれるかはわからないけど、僕よりももっといいツテがあるよ」


 シャールさんよりも………………。


「あっ! 竜を崇める国って事は」


「そう。リュオ様にお願いすればいいんだよ」


 そういえば、配下の竜が崇められているとかなんとか言っていたっけ。

 確かにそれなら、頼むだけでもしてみようかな。


 国を滅ぼすのをお願いするよりかは、よっぽどいい。


 なので、早速お願いする。

 来てくれるかどうかはわからないけど。


 リュオは配下に聞いてみるとは言ったが、いつになるかはわからないとの事。

 それでも現状は他に思い当たる人物が居ないので、お願いはしておいた。


 これでもし来てくれる事になれば、騎士ジンの強化を進められる。

 と思ったけど、シャールさんは難しい顔を浮かべていた。


「どうかした?」


「いや、勢いで話を進めたけど、これって……ヴィリア様に怒られない? 勝手に余所の人をここに呼ぶ訳だし」


「………………はっ!」


 確かに。

 ヴィリアさんの早急な帰還を望む。


 その願いが通じたのか、翌日、ヴィリアさんが戻ってきた。


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