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 ドラゴンブレスを受けた結果……何故か真っ裸になっていて、見られた。

 何を? という質問には答えない。


 とりあえず、何を? の答えを両手で隠す。

 ……とりあえず、この状況、何?


 なんで真っ裸なのか、意味がわからない。

 それに、周囲もなんかおかしい。


 なんか漫画やアニメなんかにある、光線が目標に弾かれて分散し、周囲に飛び散ってしまう……そんな痕跡が残されていた。


 どういう事? とドリューを見る。

 なんか納得するように頷いていた。


 騎士ジンは、さすがマスターとか思っていそうに見える。

 エルフたちは、目が点になっていた。


 結界内の人たちは、男性陣は笑いをこらえ、女性陣は顔を真っ赤にしている。

 いや、ディナさんは声を出してないけど大笑いだ。


 ますます状況がわからない。

 黒竜を見る。


 信じられないモノでも見るかのように俺を見ていた。

 そこで天啓。


 わかった。わかってしまった。

 つまりこれはアレだ。


 ドラゴンブレスを受けて一度死に、まったく同じ状態で瞬間的に転生したのではないだろうか?


 ………………。

 ………………。


 さすがにそれは無理があるか。

 でも、それ以外で、ドラゴンブレスを受けて生きている説明が………………はっ! わかった!


 冴えわたっているな、俺の頭脳。

 黒竜! 俺は見抜いてしまったぞ!


 つまり、お前は見かけ倒しの竜だったんだな! 黒竜!

 実は大して強くないんだろう!


 ドラゴンブレスも、ただ派手なだけなんじゃないか?

 威力も、服を犠牲にすればそれで終わり程度の。


 となると、偉そうな態度も、自分が大した事ないと悟らせないためだと考えれば納得だ。


 だから、戦闘を起こさせないために、いきなりここを自分の物にする宣言をしたり、言葉巧みに自分の方が上だと主張したりした訳か。


 ドリューが攻撃する前にとめたのも、いざ戦闘になると、大した事ないというのがバレてしまうからなんじゃないだろうか?


 つまり、黒竜は見かけだけで、恐れる必要は一切ないという事だ。

 ……冴えているな、俺。


 でも、俺がそこに気付いた事はあえて言わない。

 黒竜に対する優位性だし、下手に指摘して逆上されても困る。


 大した事がなくても図体はでかいので、暴れられると森に被害が出るかもしれない。


 うんうん、と納得する。


「……マスター、何を納得しているのかわかりませんが、いつまでもそのままですと風邪を引いてしまいます」


 騎士ジンにそう声をかけられる。

 いつまでもそのまま?


 ………………ええい! いつまでも見てるんじゃない!

 ヴィリアさんならいつだって見てもいいけど……残念ながら今は居ない。


 服を複製して着る。


     ―――


「いやいや、待て待て! おかしいだろ!」


 服を着ると、黒竜が何やら慌て出す。


「何が?」


「我のブレスが直撃したよな?」


「……目をつぶっていたから、当たったかどうかわからない」


 実際は当たっていたけど、そこを指摘すると、黒竜が大した事ないという事に気付いた事に気付かれる可能性があるから、あえて濁す。

 きっと、そういう部分に敏感だろうから。


「いや、確かに死を覚悟すれば目をつぶるかもしれんが、我は直撃したのをきちんと見たぞ! どうしてそれで無事なのだ!」


 それを自分で聞いちゃう?

 派手なだけだとわかっているくせに……いや、違う。


 俺が気付いたかどうかを確認したいんだな、これ。

 大丈夫。竜としての尊厳まではどうにかしようと思っていないから。


 でも、俺にも我慢の限界はある。

 暴露する前に自ら退散してくれないだろうか?


 見せかけだけの竜なんだから、ドリューとやり合ったら無事で済まなくなるよ?

 痛い思いしたくないでしょ? という思いが伝わらないかと黒竜を見る。


「……なんだその目は」


「いえ、特に深い意味はありません」


「いいや、どことなく不快だ。それに、我の本能が訴えている。貴様は危険だと」


 何故か警戒される俺。

 まさか……気付いた事に気付かれた?


 何かミスしただろうか?

 もしくは、意外に勘が鋭いのかもしれない。


 どっちか判断が付かないでいる間に、黒竜が行動に移る。


「ブレスが効かぬという事は物理、魔法的に強いのかもしれん。だが、それでも手段がないという訳ではないのだ!」


「え?」


 呟きと同時に視界が薄暗闇に包まれ、何やら浮遊感。

 地に足が付いていない。


 いやいや、何々?

 どういう状況?


「ぎょぎょままぐってぐれるわ!」


 黒竜の声のボリュームが一気に上がったというか、口内に何かを含んだままのような発音だ。

 言っている意味が……ちょっと待って。


 薄暗い中に、なんか尖った歯のようなモノがいくつも見えるんだけど。

 ……あれ? もしかして、俺を食べようとしている?


 確かに人を丸呑みできそうだとは思っていたけど……まさか自分でそれを味わう事になるなんて……。


 でも、これには俺も激おこだ。

 どうにか穏便に済ませようと思ったけど、さすがにこれはない。


 許せない。制裁が必要だ。

 だが、この状況で取れる行動はそう多く………………天啓!


 即座に行動に移る。

 複製で数を増やし、黒竜の喉奥に放射。


 黒竜がごくごくと飲み込んだあと――。


「ぐがっ!」


 そんな声と共に、衝撃が起こる。

 どうやら倒れたっぽい。


 ゆっくりと黒竜の口から這い出る。


「ふぅ……」


 確認すると、黒竜は白目を剥いて倒れていた。


「えっと、マスター? 何を?」


 騎士ジンが不思議そうに聞いてくる。

 他のみんなも不思議そうにしていたので、答えた。


「とりあえず、『植物油(最低品質)』を20個くらい複製して、一気に注ぎ込んだ」


 どろっとした苦みとえぐみが喉内に注がれた結果である。


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