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期待します

 騎士風の外見をしたウッドゴーレム・騎士ナイトジンは、礼儀正しかった。


「これからよろしくお願い致します。ドリュー先輩」


「モグ」


 既にドリューを先輩として認識している。


「これからよろしくお願い致します。創造主の御一方」


「そんな風な大層な呼び名はやめて欲しい。シャールで構わない」


「かしこまりました。シャール様」


 そういうシャールさんの顔は満面の笑みだ。

 お気に入りのガン〇ラ……じゃなくて、ゴーレムの完成を喜んでいるのは間違いない。


 エルフたちにも紹介し、ディナさんたちや私兵さんたち、冒険者さんたちにも紹介する。

 騎士ジンは誰にでも丁寧な挨拶をするため、全員好意的に受け止めてくれたようだ。


 猫の獣人・クーニャさんは、ちょっとビビっていたけど。

 まあ、喋るゴーレムなんて初らしいしね。


 そんなクーニャさんが一言。


「そ、その……ど、どうして、そのままなねこか?」


 うん。クーニャさんの言いたい事はわかる。

 なんて事はない。


 騎士ジンの体は木造。

 つまり、木目調そのままなのだ。


 だって仕方ないじゃないか。

 ペンキとか、色付けできるモノがないんだから。


 これも今後の課題。

 とりあえず、ヴィリアさんが帰ってきたら、お願いしてみよう。


 俺としては、騎士ジンを受け入れてくれるだけで充分だ。

 もちろん、世界樹にも紹介した。


 したんだけど……騎士ジンは世界樹に対して平伏した。


「え? ん? え? もしもし、騎士ジンさん?」


「申し訳ございません。今、天上樹様に祈りを捧げておりますので、少々お待ちください」


「あっ、はい」


 て、天上樹様?

 ……世界樹の事だよね?


 ……なるほど。

 騎士ジンの体は木造……つまり、木。


 その木の最高峰、頂点なのが、世界樹だ。

 だからこそ、騎士ジンは自然と敬っているのかもしれない。


 ……マスターである俺にそこまで敬っていなかったよね?

 まあ、俺に威厳は皆無だから仕方ないけど。


 世界樹の方も、なんとなく騎士ジンを認めているような気がする。


 そして、祈りが終わると、騎士ジンは俺に声をかけてきた。


「それで、マスター。一つ伺いたい事があるのですが」


「ん? 何?」


「自分の役目はなんなのでしょうか?」


「……役目?」


「はい。役目です」


 一緒に居るドリューとシャールさんに確認の視線を向ける。

 逸らされた。


 ……どうしよう。

 作る事が目的で、そこから先を考えていなかった。


 ………………。

 ………………。


「世界樹……を守ってあげて」


「かしこまりました」


 丸く収まった。


     ―――


 そうでもなかった。

 というのも、騎士ジン……大して強くなかった。


 世界樹の守りを任せたという事もあって、その強さを見ようとしたのだが、エルフたちだけじゃなく、それこそ、冒険者さんたち、私兵さんたちにも模擬戦で勝てなかったのだ。


 いや、俺よりは強いと思うんだけど、そもそも俺は大して強くない。

 そんな俺から見ても、騎士ジンは弱いと感じる。


 なんというか、こう……味方NPCの戦闘機みたいな感じ。

 命中率が低く、回避率も低い。なのに、敵に突っ込んでやられる。


 いや、騎士ジンはやられてないけど。

 負け続けただけ。


 シャールさんが言うには――。


「ウッドゴーレムは、ゴーレムの中で強い部類じゃない。不滅の森の木材であっても、この近辺のでは、内包魔力も期待できないだろうし。それでも核が神器だから、潜在能力的な高さはあるはず。ただ、それを活かしきれていないという事は……成長型。つまり、訓練や経験が足りないんだと思う」


 という結論だった。

 なるほど。


 というか、鑑定してみればいい事に気付く。

 鑑定。


『 騎士ジン

 神器「生命の核」を用いた、全身鎧風の騎士型ウッドゴーレム。

 それなのに格闘型なのは、製作者の趣味。

 神器に知識を蓄積して自己強化していく成長型。

 ただ、現状の素材だと基本性能はお察しのため、改造・強化をする事をオススメ。

 もしくは、神器に全てが蓄積されるので、新しい体に乗り換える事もできる。


 両腕両足の回転部分タービンは飾りじゃない。ロマンだ。 』


 格闘型なのは……まあ、本当に趣味なので。

 でも、意思疎通が取れるのなら、武器を用意するのもやぶさかではない。


 できれば、格闘型でいって欲しいけど。

 あとは、シャールさんが言うように、成長型だった。


 つまり、訓練が必要で、今後に期待という事か。

 でも、基本性能がお察しって……高くないって事だよね。


 改造・強化を勧められるくらいだし。

 でも、新しい体の方はまだ考えられないかな。


 そもそも、現状だと今以上は無理だし。

 やっぱり鉄とかそういうのが……ね。


 ……けれど、やらない訳ではない。

 何しろ、強度が上がれば、必殺技が放てるようになる。


 今後の課題だ。


 とりあえず、今できる事は、騎士ジンを訓練……パイロット能力を上げるようなモノかな。

 先輩と呼ばれたからか、ドリューが任せろと胸を叩いているし、エルフたちにお願いするのもアリかもしれない。


 ……パイロットスキルとか覚えるだろうか?

 覚えて欲しいのがいくつかあるんだけど。


 機体性能は低いけど、パイロット能力が高ければ……どうにかなるかもしれない。

 そこを期待する事にしよう。


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