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バレないようにしたいです

 シャールさんからも、レーヌさんからも、割った壺を直して欲しいとお願いされた。

 それは別に構わないのだが、俺の中にモヤモヤとしたモノが残る。


 つまり、それが同じ壺かどうか、という問題が。


 いや、正直どっちでもいいっちゃいいのだが、こういうのは一度気になるといつまでも思い出しては気になってしまうもの。


 まあ、直す時にわかるんだけど、まだ先だし。

 それまでモヤモヤし続けるのは精神衛生上悪い。


 というか、さっさと答えが知りたい。

 でも、こういうのはデリケートな問題である場合もある。


 なので、まずはシャールさんにそれとなく聞いてみたのだが……。


「何故そんな事を………………」


 何かが思い当たったかのように駆け出したシャールさん。

 ま、まさか?


 あとを追えば、行き先はレーヌさんのところ。


「母上! まさか母上もですか!」


「……はっ! まさかシャールも!」


 察し合う息子と母。

 ガシッと力強い握手も交わした。


「悪いのは父上ですよ! これみよがしに何度も自慢するから!」


「そうよね。アレさえなければ、とこれまでに思わなくもなかったわ!」


 結果として、割ってしまった壺は違う壺だった。

 壺の収集癖があるそうだ。


 というか、わざと? という別の疑惑が生まれたが……。


「いや、そんな事はないが、無意識でと問われたら否定はできない」


「息子と同じく」


 仲のいい息子と母という事だけはわかった。

 似た者親子だな、これ。


     ―――


 親子と触れ合ったので、もう一組の親子とも触れ合ってみる。

 ディナさんとラナオリさん。母と娘。


 先に出会ったのはラナオリさんの方。

 ヴィリアさんの家の玄関前で、ドリューをブラッシングしていた。


 といっても、櫛で梳いているだけだけど。

 いつの間にか仲良くなっていて、ドリューは気持ちよさそうにしている。


 アイシェさんが見たら嫉妬で狂いそうな光景だ。


「あら? ハクウさん。どうかしましたか?」


「……モグ?」


 近付くと同時に声をかけてきたので、ドリューになんでもないと返す。


「という事は、私に御用ですか?」


「別に用という訳じゃないけど」


 そう前置きして、シャールさん、レーヌさん親子と関わったので、ラナオリさん、ディナさん親子はどうなのかな? と思った事を伝える。


「別に悪くはありませんよ?」


 それはなんとなくわかっていた。

 偶に、仲良く話している姿を見ているし。


 なので、娘と母の方は元々気にしていない。

 今のはとっかかりだ。


 気になるのは、父親の方。


「それじゃあ、父親の方は? 確か、帝国最強って呼ばれている人なんだよね?」


「父ですか? その通りですよ。とても強く、帝国内では敵なしです」


「うんうん。それで、一つ確認だけど、何か趣味とかある?」


「どういう事ですか?」


「いや、シャールさんのお父さんが壺を集めているって話を聞いて、ラナオリさんのお父さんにもそういうのがあるのかなって」


「ああ、陛下の壺好きは有名ですね」


 有名なんだ……。

 なんか、壺だけの部屋とかありそうだな。


「そういう意味でしたら……お父様には武器ばかりを置いている部屋があります」


 まぁ、やっぱりというべきか、妥当な線だよね。


「でも、うるさいのはお酒について、でしょうか」


「……お酒?」


「はい。当たり年? と言うのでしたか? そういうのを気にしたり、色とか、合うのはこれのこの年とか、細かい事をよく口にして、面倒だなと思う時も時々」


 毒が、毒が出ていますよ、ラナオリさん。

 いや、表情はニッコリと笑みを浮かべたままなんですけどね。


 というか、お酒か。

 ラナオリさんが毒を吐く辺り、相当こだわっていそうな気がするな。


 丁度そこでディナさんが通りかかったので、同じように聞いてみる。


「……ラナオリの言う通りだな」


 ディナさんの眉間に皺が寄る。


「あいつは酒になるとうるさい。どの種類でもな。陛下も似たようなものだ。壺にうるさい。そういうこだわりがあるからか、二人は妙に息が合っていてな、大の仲良しだ」


 まっ、その分、自分とレーヌも仲がいいけどな、と付け加えられる。

 本当に、お互いが家族ぐるみの付き合いをしているんだろう。


 しかし、酒か。

 酒を「上位変換」した場合、どうなるんだろうか?


 知識の中に酒に関する事はあんまりないからわからないな。

 量が増える……ってのは違う気がする。


 当たり年とか言っていたし、「上位変換」で、その年のお酒になる、とか?


 ………………ありえそう。

 そうなってくると、壺は………………出来がよくなるとしか考えられない。


 ただ、どっちにしても、どちらも金はあるだろうな。

 となると、おのずと俺のスキルを知ってしまった場合の行動は決まってくる。


 ………………。

 ………………。


 できれば、バレない方向でいきたい。


 そう考えている間に、ディナさんとラナオリさんは、二人で仲良くドリューを撫でていた。

 梳いた毛の感触を楽しんでいるのかもしれない。


 とりあえず、こちらの親子関係も良好だというのは喜ばしい事だろう。


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