表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/151

漸く活躍の場がきました

 俺、ドリュー、シャールさんでゴーレム製造計画が日々進められていく。

 その中で、どうしても避けられないのが、「生命の核」の事。


 神器。

 これを見せて、どう説明すればいいのか……。


 なので、偶に帰ってくるヴィリアさんに聞いてみる事にした。

 ……なんというか、最近はアレだな。


 働きに出ている妻を待つ主夫のような感性だ。

 おかえりなさい、ヴィリアさん。


 あ~んされながらのご飯にする?

 互いに洗いっこするお風呂にする?


 そ・れ・と・も――。


「帰ってきた途端に強烈な寒気がしたんだけど、ろくでもない事を考えているんじゃないだろうね?」


「ろくでもない事ではありません。未来予想図です」


 ヴィリアさんに叩かれた。

 この感覚も懐かしい。


「それで、何か報告はあるかい?」


「実は……」


 相談してみると、主要人物たちは信用してもいいから、きちんと口止めしたあとで、俺の能力スキルを教えてもいいそうだ。


 ただし、その判断は俺。

 俺が話してもいいと思うのなら、と任される。


 なので、シャールさんに多分これが魔石の代わりになるんじゃないかと、説明しながら「生命の核」を見せると、狂気マッドサイエンティストの顔になった。


「……これ、解体していい?」


「駄目です」


 多分、戻せないですよね?

 その代わりだろうか、俺のガチャを回したいと言ってきたけど――。


「くっ。だが、今は駄目だ。城に戻ればいくらでも投資できるのに……さすがに今手持ちの金に手をつけるのは……だが……」


 すごく葛藤している。

 シャールさんは、間違いなく神様たちが求める廃課金者になると思った。


 というか、この光景をやらか神が見ていたら、「よし。こいつを国に帰せるように色々しよう」とか言い出しそうだ。


     ―――


 世の中、急に、あれ? もしかしてこれ……と思う時がある。

 そのきっかけとなった問題は、冒険者たちの身に起きた。


 この場に滞在している者たちの中で、私兵たちは常にディナさんたちに気を配って行動している。

 いってみれば、執事やメイドのような事をしていた。


 実際、服装は武装しているので私兵そのものだが、元々執事やメイドを兼任していたらしい。

 つまり、お城勤めの時は執事やメイド、緊急時は武装して私兵として動く。


 戦闘執事、バトルメイドって事だった。

 ……なんかカッコいい。


 さすが自分が戦闘執事とかできるとは思えないので、そういう執事やメイドを雇えばいいって事になる。

 ……無理そう。


 いや、諦めたらそこで終わりだ。

 将来を見据えた行動を……そうじゃなくて。


 私兵たちの方ではなく、冒険者たちの方だ。

 冒険者たちは今、エルフたちにしごかれていた。


 最近は、エルフたちと一緒に不滅の森の中に入っていく姿をよく目にする。

 まあ、エルフたちも、基本は世界樹の世話と自己鍛錬、偶に不滅の森に入る程度だったので、時間を持て余していたのは間違いない。


 いい時間潰しを見つけたような感じだ。

 といっても、無理はしていない。


 何しろ、中層以降には一度も行っていないようなので。

 それでも、不滅の森の魔物は他のところとはレベルが違うと聞かされた。


 そんなところでしごかれれば、当然のように装備品は摩耗して壊れてしまう。

 実際、前衛職の人の剣がポッキリ折れた。


 これが問題。


 ハッキリ言えば、ここに直せる設備はないし、新しいのを用意できる店もない。

 瞬間移動魔法で町に行ければいいのだが、あいにくと使用者権限があるため、ヴィリアさんが居ない今、この場に残る者たちの中にその権限を持っている者は居ない。


 つまり、詰んだ。


 その剣を使用していた冒険者さんが崩れ落ちる。

 かなり思い出のある剣だったそうだ。


 そこで、天啓。

 もしかして、どうにかできるんじゃないかな? と。


 剣が折れた冒険者に声をかけ、預かる。

 アイテムボックスの中に入れて、確認。


『 ベヒモスネイル(オーダーメイドの粗悪品)(破損)

 大型魔獣ベヒモスの爪を元にして作成された、完全オーダーメイドの剣。

 本来なら生半可な事では折れないが、製作を請け負った鍛冶師が素材欲しさに素材の一部を奪い、足りなくなった部分に粗悪品を混ぜ込んだ。

 冒険者・レオンが、仲間と共に戦ってきた思い出を証明する傷が残されている剣。


 複製金額 銀貨 1枚 』


 もう剣として使えず壊れていても高いのは、折れても使える素材部分があるからなんだろう。

 というか、これ……。


 崩れ落ちた冒険者さん、レオンって名前なのか。

 カッコいいけど、追い打ちをかけるようで申し訳ない。


 そのまま伝える。


「……あの鍛冶師、コロス」


 目から光が消えた。

 怒って当然なので、俺は何も言わない。


 ただ、天啓のままにやってみる。

 まずは残り金額の確認。


『 金貨 0枚 / 銀貨 20枚 / 銅貨 84枚 』


 大丈夫そうなので、とりあえず、九本複製して、合計十本複製してみて確認。

 ……変化がないので、更にもう十本追加。


 まだアイテムボックスの中に金貨5枚あるので、やれるところまでやってみるか? と思ったが、それで終わりだった。


「上位変換」が可能になっている。


 折れた剣を見て思ったのだ。

「上位変換」は物によって可能、不可能が存在していて、使用するためには数が必要だと考えている。


 折れた剣の場合、数さえ用意すれば、「上位変換」で直る……というよりは、元の状態に戻るんじゃないかと思ったのだ。


 何しろ、折れた状態は、元の状態からすれば「下位」になったという事なのだから。

 そして今、この仮説が証明された訳である。


 早速「上位変換」を実行。結果。


『 真・ベヒモスネイル(オーダーメイド)

 大型魔獣ベヒモスの爪を元にして作成された剣。

 神の如き鍛冶技術によって真の性能が発揮されている。

 冒険者・レオンが、仲間と共に戦ってきた思い出を証明する傷が残されている剣。


 複製金額 金貨 50枚 』


 ……なんか普通に直っただけじゃなくなってしまった。

 ちょっ! やり過ぎ! て言いたくなるレベルである。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ