方向性が決まりました
ゴーレム製造計画に進捗があった。
それも大きな進捗が。
進捗をもたらしたのは、シャール・インペリオルム。
そう。王族。王子。
なんとこのシャールさん。
趣味がガ〇プラ……じゃなくて、ゴーレム造りだった。
俺とドリューがうんうんと悩んでいるところに、声をかけてくれたのがきっかけとなって、その趣味が発覚したのだ。
ここにはないが、王城に戻れば、これまでに造ったオリジナルゴーレムが何体もあるらしい。
見てみたい。
なので、手伝ってもらう事にしたのだが、シャールさんのゴーレムに対する知識は深く、熱い。
ものすごく饒舌に色々語ってくれた。
趣味に話になると立場とか関係なく饒舌になる人っているけど、典型的なそういうタイプだ。
引きはしないが、できればもう少しゆっくり話してくれないと、頭の中に入らない。
俺の隣でドリューがふんふんと頷いていた。
……負けていられない。
どうぞ。好きなだけ知識を披露してください。
そうしてわかった事は、思った以上に自由度が高かったという事だった。
というのも、俺とドリューにしてみれば、体部分を造って「生命の核」を埋め込めば動くもんだとばかり思っていた。
いや、実際はそれで動く事は動くと思う。
だって、仮にも「生命の核」は神器だし。
でも、実際には色々な機能を付けられる事を教えてもらった。
その中で、現段階で実現可能な上、俺が特に注目したのは二つ。
まず一つ目は、魔力回路。
シャールさんに言われるまで、まったく気付かなかったが、ゴーレムも動くためにはエネルギーが必要だ。
そのエネルギーが魔力。
普通であれば、魔石と呼ばれる魔力が溜め込まれた石をエネルギー源として、魔石が内包している魔力量によって稼働時間が決まる。
しかし、それは一昔前の技術と、シャールさんは言う。
なら、今はどうかというと、主流は魔力回路なんだそうだ。
色々と複雑な事を言われたので頭にほとんど入っていないが、要約すると、魔力回路は魔法陣のようなモノ。
ゴーレムの体に直接刻む、もしくは魔力回路を刻んだ物体を組み込む事で、外部から……というか、特定の人から魔力を取り込んだり、様々な機能を付ける事ができるようになる。
その特定の人を俺にしてもらう。
「魔力が豊富じゃないと危険だけど、大丈夫?」
「大丈夫。問題ない」
シャールさんは心配そうだけど、本当に問題ない。
何しろ、俺の魔力は通常の一万倍なので、エネルギー源になるくらい余裕だ。
「それと、魔力を取り込める距離があるから、そこは気を付けて。一応、メインがなくなってもある程度は動けるように、サブも取り付けて魔力を別に貯蔵できるようにはするけど」
「わかった」
助かります。
まあ、さすがにkmは無理で、数mくらいの範囲らしいけど、それでも充分だ。
つまり、これで俺が近くに居れば、エネルギーの心配要らずである。
そして、注目した二つ目。
ゴーレムに付けられる機能の中に、ドリルがあった。
いや、わかる。夢だ。ロマンだ。
実際、シャールさん自作のゴーレムの中に、ドリル機能を付けたのが居るそうだ。
でも、俺が注目したのは別の事。
――回転機能を付ける事ができるという事だ。
回転機能を知る前の俺は悩んでいた。
ゴーレムのデザインに。
知識があり過ぎたのだ。
これ、と決められないくらいに。
一番好きなのは? と問われて、直ぐに答えられないようなモノ。
これも……これも……と次から次へと出てくるのだ。
だって、推しは変わるのではなく、増えていくものだから。
それでも俺は血涙を流しながら取捨選択をしていき、基本となる下地をある程度までは絞っていた。
――龍神〇か、リューナ〇トか……。
少し似た体型になるのも仕方ない。
しかし、ここでシャールさんによって、天啓が授けられた。
回転能力を付けられるのなら、根本から変わってくる。
アレしかない。
そう、両腕両足に回転する部位がある、電〇。
下地がまるっと変わるが、幸いまだやり直せる。
電〇を元にして、一から考えよう。
さすがにそのままはマズイので、この世界に合わせて騎士風……騎士凰〇……いやいや、アレもカッコいいけど、違う違う。
全身鎧風にしようか。
でも、攻撃方法は基本格闘である。
そうなると、格闘戦に耐えられる体にしないといけないから、それなりの素材が必要になるけど……。
「……必要な魔物素材、揃えられるか?」
俺の問いに、ドリューが任せろと親指っぽい指を立てる。
……た、頼もしい。
なので、任せた。
ただ、格闘というか、拳法を上手く伝えられるかわからないが……神器スペックを信じよう。
それに、エネルギー供給源は俺だ。
最初から電池関係なく、ファイナルアタ〇ク撃ち放題。
いきなりクライマックスのオーバーキル状態だ。
……まあ、データウェ〇ンはないから意味ないけど。
……いや、待てよ。
閃光雷〇撃ならいけるんじゃないか?
あれは単機で放てるヤツだし。
放ち続ける様子を想像してみる。
………………。
………………。
大惨事間違いなしだな。
でも、有用な戦闘手段なのは間違いない。
……さぁて、面白くなってきた。