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失礼しました

 ジッと見る。隅々まで見る。

 その人を中心にグルグル回りながら、360度全方位を確認。


 猫よりの猫ではなく、人よりの猫。


 白髪に猫耳、可愛らしい顔立ちに、十代後半くらいの女性。

 魔法使いですよ、と主張するように杖を持ち、白いローブを身に纏って、腰辺りからはフサフサの白い猫のしっぽがこんにちはしている。


 猫の獣人。

 さすが異世界。


 居るとは思っていたけど、これが早い出会いなのか、漸くの出会いなのかは個人の見解によるところだろう。


 ただ、想像していた以上に破壊力がある。

 絵力が強いと言ってもいい。


「いつまでもジロジロと見てんじゃないよ!」


 ヴィリアさんに叩かれる。


「嫉妬ですか? それなら安心してください。俺の中でヴィリアさんが不動なのは変わりません」


「別に変動してくれて構わないよ! それよりも、人として相手をジロジロと見まくるのはどうなんだい?」


 天啓が走る。

 確かにそうだ。


 相手は猫の獣人であって、猫そのものではない。

 動物ではなく人なのだ。


 これは俺の失態だ。

 本当に悪い事をした。


「本当にすみませんでした」


 心を込めて謝って、頭を下げる。


「………………」


 返答がない。

 さすがに不躾過ぎたし、仕方ないかもしれない。


「ああ、気にしないでくれ、というか、多分今の謝罪で許してくれていると思うから、大丈夫だ」


「そうなんですか? それならよかったです」


 冒険者風の男性がそう補足してきた。

 笑顔で返しつつ、猫の獣人さんの仲間なんだろうか? と考えてしまう。


 可愛い猫の獣人と一緒に行動するという事は、いつでもピンと立つ耳や、ゆらゆらと揺れてこちらの精神に訴えかけてくるしっぽをいつでも見放題という事である。


 いやいや、違う違う。

 さっき失態したばかりではないか。


 そういう目で見てはいけない。

 ……チラチラッと盗み見る分には大丈夫ではないだろうか?


 誰にだって、抑えきれない欲求があるのは当然。

 相手が不快に思わない程度なら………………いや、相手は女性。


 視線に敏感というか、何故かどこを見ているのかバレるのだ。

 ……気を付けないと。


 でも、この集団の中で、ダントツで仲良くなりたいと思った。


     ―――


「それと、危険があるかもしれないから、事情を説明しておくよ。あんたにも、敵が来たらわかるようにね」


 ヴィリアさんが真剣な表情でそう言う。

 敵……ですか。


 不穏なワードである。

 つまり、この集団を狙う敵が居る、という事だ。


 ヴィリアさんが俺に説明する理由を、なんとなく察する。

 敵が居る以上、必要なのは戦力だ。


 で、この場における最強戦力はドリュー。

 そのドリューに何かをお願いできるのは、俺だけ。


 つまり、いざという時はドリューに頼みたい、という事だろう。

 わかっています、と頷く。


 ドリューに関しては既に説明してくれたそうなので、特に問題はないらしい。


 そして、事情を窺う。


 まず、不滅の森の中心には破滅の山がある。

 その破滅の山を中心にして、東西南北それぞれに大国が存在していて、「四大国」と総称されているのだが、何故そんな話になるかというと、その内の一国。


 南の「インペリオルム帝国」。

 そう、帝国。


 ……じゃなくて、重要なのは国名の「インペリオルム」の方。

 偶然にもと言うべきか、直ぐそこにその名字を持つ人が二人居る。


 青髪の男性……シャール・インペリオルム。

 その母親……レーヌ・インペリオルム。


「つまり、王族って事ですか?」


「現状は『元』とされているだろうけどね。王弟による謀反、反乱……まあ、帝国の乗っ取りが起こってしまったのさ」


 ヴィリアさんが続けて言うには、その王弟に一度会った事があるそうで、内に秘めた野望みたいなモノが元々あったそうだ。


 それで、その王弟の戦力は非常に高く、逃走を余儀なくされる。

 信頼できる私兵と共に王都を脱出したが、当然そう簡単に逃げきれる訳もなく、追撃を振り切るために、王様と帝国最強の人を中心とした部隊が囮となって、シャールさんとレーヌさんたちを逃がした。


 その時から一緒なのが、今居る私兵たちと、ディナさんとラナオリさん。

 ディナさんとラナオリさんは、帝国最強の人の妻と娘。


 それでも追撃の手は迫り、ディナさんが、ここにヴィリアさんが居る事を知っており、助けを求めに行く事にした。


 しかし、ここは不滅の森。

 戦力的に足りないと判断して、運良く知古であり、優秀な冒険者の皆さんと出会えたので協力してもらい、ここまで来たという訳である。


「……えっと、聞きにくいですけど、その囮となった王様たちは」


「ディナたちもわからないそうだ。行方不明。生死不明だそうだ。逃げおおせたか、捕まっているかはわからない」


 なるほど。

 それは、気が気ではないだろうな。


 ここに居る間は、気を遣った方がいいかもしれない。


「じゃあ、敵ってのは……」


「王弟の刺客が現れてもおかしくない」


 ヴィリアさんの断言に、この場の緊張感が一気に高まる。

 マジか……危険がここに……。


 と、その時、玄関がノックされ、隊長エルフが顔を見せる。


「あの~、なんか怪しいのが居たので捕まえたんですけど?」


 ………………。

 ………………う~ん。


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