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それ以上だと思います

 ルデア川には直ぐ着いた。

 鑑定でも確認済。


 ここから上流に向けて進んでいく。

 もちろん、ここに来るまでの間にも魔物は居たが、全部ユルドさんが仕留めていた。


 現れた魔物は、定番のゴブリンやオーク、狼なんか。

 といっても、俺はほとんど戦闘シーンを見ていない。


 ユルドさんが「……居るな」と呟いた途端に、ヴィリアさんとアイシェさんが警戒。

 警戒する二人に向けてユルドさんがハンドシグナルを送ったあとに先行。


 なんでもないように戻ってきて、進むと魔物の死体が残されていたり、残っていなかったりという状態。


 残っていれば回収し、残っていなくても特に問題はない。

 他の魔物が持っていっただけ。


 う~ん。弱肉強食の世界。

 それに、ユルドさんは、戻ってくる前に討伐証明みたいな部位は取っているそうだなので、持っていかれても気にしないそうだ。。


 ユルドさんが先行して戻ってくるのにそう時間はかかっていないんだけど……行動が速くない?

 多分、一撃で命を刈り取っているんだと思う。

 実際そういう場面もあった。


 ユルドさんが矢をつがえて弓を構えて……放つ。

 矢はどこに飛んでいくが、進めば矢が刺さって死んでいる狼が居た。


 しかも、眉間に刺さっている。

 ……恐ろしい腕前、という評価でいいのだろうか?


 ユルドさんによる無双状態だけど、それでも危険なの? と思ってしまう。

 そう考えていたのが伝わったのか、ヴィリアさんから説明が入る。


「不滅の森の浅層はどこもこんな感じだよ。それでも他のところと比べると個体の強さからして違うんだけど、あんたはここ以外を知らないしね。くれぐれもここを基準にするんじゃないよ」


「わかりました」


「それに、直ぐわかる事になるさ。ここがどうして不滅の森と呼ばれているのかを」


 不穏な事を言わないで欲しいんですけど。

 というか、直ぐにわかるのなら、今の内に明るい事でも考えて気持ちを高めておきたい。


 ………………。

 ………………。


 今の状況って、考えようによっちゃ、ダブルデートじゃない?

 俺とヴィリアさん、ユルドさんとアイシェさん、という組み合わせで。


 そう考えると、楽しくなってきた。

 ユルドさんとアイシェさんは夫婦だから、その内こちらに気を遣ってくれて、きっと俺とヴィリアさんを二人っきりにしてくれるはず。


 で、ヴィリアさんが、ユルドさんとアイシェさんは夫婦なんだから二人の時間を作ってやりな、と言うと俺と二人っきりになった事に気付いて意識し出す。


 そして、ほら、行くよ、と不器用ながら俺の手を掴んで歩き出し始める。

 もちろん、ヴィリアさんは頬だけじゃなく耳まで真っ赤。


 ……いい。


 そんな事を考えていると、ヴィリアさんが突然身震いして俺を睨む。


「……なんか変な事を考えていないかい?」


「いえ、まったく。寧ろ、この状況を乗り切るために色々考えていました」


 怪しい……とジッと見られる。

 何もやましいところはないので、俺も見返す。


 ……見つめ合う二人の時間ですね。


「また悪寒が……とりあえず、叩きたい気分になったんだが、叩いていいかい?」


「なんの理由もなし叩かれるのは、ちょっと」


 そういう趣味はありません。

 いや、正確には、そこに愛があるのなら受け入れるのもやぶさかではない、だろうか。


「まあいい。いずれ明らかにしてやるよ」


 そうですね。

 二人の関係が進めば、色々と明らかになると思います。


 というか、ちょっと気になる事を思い出した。


「そういえば、ヴィリアさん」


「なんだい?」


「渡されたので受け取りましたけど、このマント、なんか意味あるんですか?」


「ああ、不滅の森は中層より奥は、よほどの装備品じゃないと意味をなさない。生半可な防具なんか、あってないようなもんだ。で、今のところ、あんたに合うよほどの装備品なんて持ってない」


「え? そうなんですか? ヴィリアさんレベルなら、そういうのをゴロゴロ持っていそうなのに」


「言葉を間違えたね。正確には、『勇者前進』の仲間たちのはあるが、あんたの体格に合う装備品はないって事だよ」


 既製品と専用品オーダーメイドの違いって事かな?


「だから代わりに、そういう小物でどうにかしないといけなかった」


 アクセサリ枠で補う、と。


「そのマントは前にあたしが製作した『追風のマント』。そのマントを付けていると、追い風を受けながら走るのと同じような効果を受けて走る事ができる。一応、あんたの事はあたしたちが守るけど、それでも逃走を選択する時はある。その時のための装備だよ」


 なるほど。中層はそんな危険な場所なんだとか、そこに俺は貧弱装備で行くのとか、その効果は結構助かるよねとか、どれくらいの追い風なのとか、色々と言いたい事はあるけど、それはそれほど重要じゃない。


 鑑定にかけても同じ説明文で、複製可能。


『 複製金額 銀貨 74枚 』


 高いのか安いのか……。

 いや、マント一枚と考えれば高いだろう。


 でも、今重要なのは、このマントがヴィリアさん手製だという事だ。


 手編みのセーターやマフラーと同じように考えていいだろうか?

 ……いや、布面積から考えると、上から下までだから、それ以上かもしれない。


 ふおお! と叫びたいのを我慢しつつ、先に進む。


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