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相談しました

 とある事に対して、ヴィリアさんに相談する。


「『魔力水』を取りに行きたい?」


「はい。まだ数はあるんですけど、消費も激しいのでできれば補充しに行きたいんですけど」


 MAXの999あった魔力水も、今は600近くまで減っている。

 世界樹の魔力水やりで加速度的に減っていっていた。


 なので、できれば補充しに行きたい。

 ヴィリアさん曰く、俺のアイテムボックスは特別らしいので、魔力水自体を大量に収納するためには、俺自身が行く必要があるのだ。


 でも、結界の外の不滅の森は危険が一杯。

 俺が一人で行ける訳がない。


「そうだね……世界樹の育樹のためには、魔力水は必須。あんたの魔力でも人工的なのは駄目だったし、取りに行く必要はある、か」


 そう。一度ヴィリアさんに協力というか、興味があると手伝わされて、俺の魔力を溶かした魔力水を製作して世界樹に与えてみたのだが、若干嫌がった。


 なんというか、苦いだけの失敗した野菜ジュースを飲まされたような感じっぽい。

 いや、苦い分、健康にはよさそうなんだけどね。


 じゃなくて、どうやら、人工物っぽさは消えず、そこが駄目なようだ。

 なので、自然物の魔力水が必要なのである。


 ただ、その自然物が流れる川の場所が問題なのだ。

 ヴィリアさんでも、単独だと難しい場所。


 エルフたちに護衛をお願いしようかとも思ったのだが、十六名全員でもヴィリアさん単身に負けるので断念。


「……場所が場所だけに面倒だし、あんたのスキルで『複製』しちまえばいんじゃないかい?」


「それも考えたんですけど、確かに一回分なら銅貨10枚ですけど、魔力水やりは一度に何回分も使うので、一日分でそれなりの金額になっちゃうんですよ」


「それは……問題だね。あたしは金に困っていないけど、それでも無限って訳じゃない」


「はい。という訳で、取りに行きたいんですけど……」


 地形操作みたいな能力があれば、それで解決してしまうかもしれないけど、あいにくそんな能力はない。


 人力でやろうとしても、こんな場所だ。

 いつになるかわからないし、被害も出そうだ。


「なるほどね。……なら、わかった。あんたを守りながら不滅の森の中を進むとなると、あたし一人じゃ無理かもしれないね。ちょっと仲間たちに相談してみるよ。上手くいけば、そういう依頼を受けているかもしれないしね。だから、ちょっと待ってな」


「はい。待ちます」


 ヴィリアさんが「待て」と言うのなら待ちましょう。

 部屋の前で待っていればいいですか?


 で、焦らしに焦らされたあとの事は、きっとものすんごい事が……て、そうじゃなくて。

 ヴィリアさんの仲間たちからの連絡待ちになった。


     ―――


 連絡待ちの時に気付く。


「ヴィリアさん! 魔力水を取りに行く、いい方法を思い付きました!」


「ほう。どんな方法だい?」


「ヴィリアさんが出かける時に使っている瞬間移動魔法を使えば、問題なしじゃないですか? パッと行って、サッと収納して戻ってくれば、危険はそこまでありません!」


「それは無理だ」


「え? 無理なんですか?」


「瞬間移動魔法は、二つの魔法陣の間を行き来している魔法。たとえ片方が無事でも、もう片方が駄目になったら終わりだよ。移動できない。移動する場所を増やすなら、その分の魔法陣を設置しなきゃならない。そんな魔法だ」


「それは、場所を取りそうというか、圧迫しそうな……つまり、たとえば魔力水が取れる川の近くに設置しても」


「たとえ結界を張ったとしても無理だね。不滅の森の中層より奥に生息している生物には関係ない」


 いい考えだと思ったけど、駄目っぽい。残念。

 やはり、地道に収納しに行かないといけないようだ。


 世界樹にも地道に取りに行く事を説明する。

 心配するような雰囲気だったが、とめられる事はなかった。


 欲望に忠実なようである。


 取りに行っている間の世界樹のお世話もお願いしないといけないので、エルフたちにも説明。


「くっ。私たちにもっと力があれば……」


 隊長エルフが自らの不甲斐なさを責めるような言葉を放つ。

 他の副隊長エルフと隊員エルフも、同じような言葉を呟いている。


 本当に、その言葉だけなら、悔しがっているといってもいいだろう。

 でも、そう言いながら握手やハイタッチを交わしたりして、なんか体の方は喜びを表現しているよね。


 ……危険な場所に行かなくていいから、喜んでいるのかな?


「………………ヴィリアさんによると、行って帰るまで数日かかるそうだから、その間の食事の共にと『マジック』シリーズを置いておこうと思ったけど、やめておくね」


『すみませんでしたー!』


 エルフ全員、綺麗に腰を90度曲げて、頭を下げた。


「……やっぱり鮮度の問題もあるし、置いておくのはやめておくね」


『お帰りを心からお待ちしております!』


 今のは心からの言葉だった。


 そして、ヴィリアさんの仲間を待ち続けた数日後。

 リビングにユルドさんと、見知らぬ人が居た。


 前もあったな、これ。


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