これも一つの使い道です
朝。日課となった、世界樹への魔力水やりを終えてヴィリアさん家に戻ると、ヴィリアさんの姿がなかった。
立入禁止の部屋に行っているのかもしれない。
その代わりという訳ではないだろうけど、リビングのテーブルの上に変なのがあった。
箱に厳重に納められた水晶玉。
というか、なんかでかい。
直径30cmはありそうだ。
ここまで大きいと、何かしらの意味があるんじゃないかと思ってしまう。
これまで見た事がない初見さん。
……まあ、ここにあるって事は、ヴィリアさんが関係しているのは間違いないと思う。
……占い?
似合うような、似合わないような。
ジッとしているのが苦手そうだから、似合う似合わない以前に、多分やらなそう。
でも、水晶玉の使用用途なんて占いくらいしか思いつかない。
他に何かあるだろうか? と水晶玉をペチペチ叩く。
瞬間、なんか手のひらがチリッとした。
『5(ファイブ)』
……ん? 今、なんか変な音が。
『4(フォー)』
……なんか水晶玉から聞こえる。
『3(スリー)』
……カウントダウンが。
『2(ツー)』
えっと、この流れは……爆発する流れかな?
『1(ワン)』
「収納!」
思わず叫んでアイテムボックスにしまう。
ふー……危なかった。
何が起こるかわからないが、アイテムボックス内なら大丈夫だろう。
たいまつの火が残っていたように、時間の経過はない。
つまり、カウントダウンも「1」でとまっている状態という事だ。
ただ……逆に出せなくなった。
出した瞬間にカウントダウンは「0」になる。
本当にこの水晶玉、なんだったんだろう。
……あっ、「鑑定」かければよかったのか。
この世界に来た当初の俺なら、まず「鑑定」をかけていた。
ここでの生活で、ちょっと気が緩んでいたのかもしれない。
ちゃんと意識しておかないと。
とりあえず、今はアイテムボックスでも説明文は表記されるから、それで確認をし――。
「ふぅ。漸く空きができた。……ん?」
奥からヴィリアさんが出て来て、その視線が俺とテーブルの上を行ったり来たり。
ヴィリアさんのスッと目が細くなる。
「あんた。テーブルの上に置いておいた水晶玉をどうしたんだい?」
「えっと、アイテムボックスの中に入れましたけど、問題ありですか?」
ヴィリアさんが頭を抱える。
「……状態によるね。カウントダウンは?」
「してましたね」
「残りは?」
「『1』でとまってます」
ヴィリアさんがどうしよう、と悩み出す。
え? 本当にヤバい代物なの?
「……えっと、結局なんだったんですか? この水晶玉」
「……『鑑定』してないのかい?」
「する前に触ったらカウントダウンが始まっちゃって」
「……はあ。あの水晶玉は、とある国が製作した、魔力を用いた時限式爆弾だよ。そこまで威力がある訳じゃないが、危険物なのは間違いないけどね」
本当に爆弾だった。
「何しろ、僅かな魔力に反応して爆発するからね。魔力の乏しい者でも使用できるし、持ち運びもできる。数が揃えば厄介だね」
「えっと、そんなのがどうしてここに?」
「ちょっと依頼されたのさ。どうにか仕組みを解明して、無力化できないか、とね。それで、研究室に持ち運ぼうにも場所が空いてないし、その時は私のアイテムボックスも一杯だったのさ。だから、そのための場所を確保していたんだけど……」
俺が起動させてしまったという事か。
手のひらにピリッときたのは、魔力に反応したって事かな。
しかし、これはまずい。
どうしよう。
さすがに、出した瞬間に爆発するのを出す訳にはいかない。
と、そこで天啓が走る。
背後に稲妻エフェクト多め。
「……ちょっと待ってください。もしかしたら、どうにかできるかもしれません」
「どうにか?」
ヴィリアさんから疑いの目。
できればハートマークの目で見て欲しい。
いや、今は爆弾に集中だ。
早速確認。
『 時限式魔力爆弾(手製)
とある国所属の魔道具師が製作した爆弾。
カウントダウン終了と共に爆発する。威力低め。
天才だと勘違いしている魔道具師本人は満足している出来だが……正直甘い。駄作。
完成度の高いモノを求めるなら、ガチャがオススメ! 』
……うん。色々と言いたいけど、とうとう隠す気がなくなってきたな。
ガチャに誘導するんじゃない!
爆弾なんか怖くて持てるか!
と、そうじゃなくて、今は別の確認だ。
……うん。できるみたい。
なので、実行。
――「下位互換」。
「上位互換」はできなかった。
できてもやらないけど。
その結果。
アイテムボックス内には、「水晶(低品質)」、「自作爆弾材料(低品質)」、「魔力:20」というのが新たに追加されていた。
とりあえず、この結果をヴィリアさんに伝える。
「……つまり、何かい? 材料別に分かれたって事かい?」
「そう、なりますね」
「『互換』の説明は聞いていたけど……深く考えるのはやめにするよ」
ヴィリアさんが諦めの境地である。
証拠として、「水晶(低品質)」と「自作爆弾材料(低品質)」を提出。
「魔力:20」に関しては、よくわからないので放置。
俺が提出した物をヴィリアさんが検分。
「……なるほど」
「え? これでわかるんですか?」
「材料が自作だからね。誤魔化しの部分がないから大した腕前じゃなさそうだし、これで大体わかる。……いけるね。無力化の目途が立ちそうだよ」
それはよかった。
ただ壊しただけじゃなくなって、ホッと安堵。
ヴィリアさんは立入禁止の部屋――研究室に戻っていった。
翌日。充分役に立ったと褒められた。
出し切ったー!
なので、数日、余裕作りに励みますので、更新がとまります。
申し訳ございません。
早ければ来週頭くらいに戻ってきますので、よければ、またよろしくお願いします。




