機能が追加されました
世界樹の育樹というか、お世話に関しては、俺も手伝う事になった。
というのも、「魔力水」に関して、ヴィリアさんが作り出した人工のよりも、俺のアイテムボックスの中にある自然の方を好んでいるようだったからだ。
なんとなく、世界樹の感情というか、機微みたいなのが伝わってくる。
俺と、ヴィリアさんに。
ヴィリアさんの予想では、注いだ魔力が関係している、との事。
俺とヴィリアさんの魔力が注がれた種で発芽したため、そこに関係性が生まれた、と考えているそうだ。
難しい話というか、魔力関連だと俺の知識は役に立たないので、さっぱりわからない。
「要するに、あの世界樹は、ヴィリアさんと俺の間に生まれた子のような存在って事ですか?」
「……まあ、そうとも取れなくもないが、言ってて恥ずかしくないのかい?」
「いえ、まったく」
寧ろ、世界樹を存分に甘やかしたい気持ちで一杯になります。
自然の「魔力水」が欲しいなら、いくらでも注ぐし、いくらでも用意するよ。
もちろん、足りなくなったら複製で。
けど、これだけだと足りないな。
根付いている土とかも考えた方がいいかもしれない。
とりあえず、お世話する気満々になった。
そうして、一週間が経った。
「ピッポーン」というお知らせ音が届いて、そこで気付く。
あっ、そういえば、正規版が配信されるんだっけ。
世界樹のお世話について考えていたから、正規版の事が頭の中からすっぽりと抜け落ちていた。
リビングのソファに腰を下ろし、配信されたのは間違いないから、まずは確認。
『 図鑑ボックス Ver.1.0.0(正規版)配信のお知らせ
開発資金援助の協力、ありがとうございます。お知らせした通り、「図鑑ボックス(正規版)」を配信する運びとなりました。新機能も追加していますので、是非活用してください。これからも生き続けていく事を応援し、願っています。また、正規版で満足せず、更なる利便性を目指して順次更新していきますので、これからも何卒援助をよろしくお願いいたします。 開発に携わる神一同』
………………。
………………。
新機能も気になるけど、とりあえず、これで終わりではないっぽい。
更新があるみたいだけど、援助をお願いする文があるって事は、まだまだ搾取するつもりなのかな?
……まあ、今考えても仕方ない。
その時にならないとわからない事もある。
それに、いざとなれば、開発資金を投入しなければ済む話だし。
今は、正規版になった事を喜び、新機能の方を確認しよう。
そう思って、「お知らせ」を閉じる。
そして、映像と音楽が流れ出す。
壮大な音楽と共に、白い鳥が大地から空へ。
そのまま白い鳥は陽の光の中に消えていき、「図鑑ボックス」というロゴが浮かび上がる。
以前もあって、キャンセル不可のOPである。
ちょっとだけ違うのは、ロゴが浮かび上がった画面の左下に、「Ver.1.0.0」の表記があったくらいかな。
最後まで観たけど、それ以外の変更は見当たらなかった。
こういうのって、更新されればまた流れそうだけど、次からは飛ばそう。
飛ばせるよね?
次いで、新機能を確認。
……ふむふむ。
追加された機能を簡単に言えば……というか、こうとしか言えないけど、「ガチャ」だった。
最初の選ぶ項目に、「図鑑」、「アイテムボックス」「ガチャ」と並んでいる。
「ガチャ」を選択。
画面が変わり、図鑑の時と同じように硬貨投入口があって、「金貨 0枚 / 銀貨 99枚 / 銅貨 95枚」の金額表記と、三つのガチャが選択できるようになる。
以前は数字だけだった金額表記に「枚」が付いているのが地味に嬉しい。
図鑑の方にも付いていた。
それと、どうやら投入金額は連動しているようだ。
それだけ確認して、「ガチャ」の方も確認する。
『 銅貨ガチャ 』
一回、銅貨5枚で回せる。
図鑑に登録されている物をランダムで一個手に入れる事ができる。
『 銀貨ガチャ 』
一回、銀貨5枚で回せる。
図鑑に登録されていない物をランダムで一個手に入れる事ができる。
『 金貨ガチャ 』
一回、金貨5枚で回せる。
神々が作った神器をランダムで一個手に入れる事ができる。
という三つのガチャがあった。
とりあえず、アレだな……全部罠っぽい。
どれもランダムって部分が怪しい。
銅貨ガチャ、銀貨ガチャに関しては、5枚より上の価値が出る確率を知りたい。
下手をすれば、1%とかじゃないだろうか?
だってこれ、確実にお金回収案だよね。
それは、金貨ガチャも同じだけど。
寧ろ、金貨ガチャが一番怪しい。
神器とか大層な表記しているけど、それこそ中身はピンキリじゃない?
絶対、使える使えないの差はあるだろうし。
高額でも使えないんじゃ……ね。
いずれ、10連とか追加してきそうだ。
その内の一個は確実に5枚以上の価値がある、という確定の追加も。
………………。
………………。
でも、全部一回は回したい。
確認の意味も込めて。