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 ヴィリアさんから、俺の魔力はこの世界の人たちからすると、一万倍の可能性があると言われた。

 んなまさか、と思う。


 そもそも、そんな事になる原因なんて、さっぱり……さっぱり……。

 俺の関係者の中にやらか神が居る以上、何事も否定できないのがつらい。


 でも、やらか神からは体を多少頑丈にしたとは言っていたけど、魔力関連は何も言っていない。

 一万倍なんて桁違い、普通は何かしら忠告があるはずだ。


 やらか神との会話を思い出してみても、該当するようなところは……ちょっと待って。

 なんか引っかかる事がある。


 ……そういえば、やらか神と話せるようになった時、やらか神は自分の魔力に適応し始めたから、と言っていた。


 それってつまり、対抗できるようにってのは考えづらいから、同種になっていったって考える方が自然だよね。


 という事は……まったく同種や同質とは思わないけど、少なからず影響を受けていて、一万倍になっている、とか?


 人の魔力と神の魔力の質の違いが顕著に表れている形、みたいな?

 う~ん……あながち間違ってはいないと思うけど、正解が欲しい。


 もし俺の状況を見ているなら、「お知らせ」で回答してくれないだろうか?

 求む。回答。


 とりあえず、今は確かな事実として、一万倍ある事を受け入れよう。

 となると……。


「一万倍あるって事は、思っていたよりも早く発芽までもっていけるって事ですね」


「まあ、前向きに考えればそうだし、発芽までの時間が減るのはいい事だが……あたしが魔力感知できなかったのは、大き過ぎるからかね。……しかし、どっちにしろ、一つだけ言わせてもらうよ」


「なんですか?」


 なんて魔力なんだい! と驚かれるか、褒められるのかな?


「あんた、迂闊に魔法使おうなんて思うんじゃないよ」


「………………え? どうして?」


 魔法は誰もが一度は使ってみたいと思っているのに!

 魔力もあるのに、それを使っちゃいけないの!


「なら、あんたは魔力「1」のつもりが、実際は「10000」だったというのは間違いないね?」


「そうですね。そうなっています」


「なら、その魔力量「10000」より下の出力は出せるのかい?」


「……いえ、多分無理ですね」


 そもそも自分の感覚で最小値を流した結果が、魔力量「10000」だったのだ。

 これ以上を絞るのはちょっと無理。


「なら、答えはわかるだろ? たとえば、他の者が「1」消費して魔法で小さな火を作った場合、あんただと「10000」消費した……多分見た事ないほどの大きさの火になると思うけどね?」


「なり、ますかね?」


「なる、だろうね」


 ヴィリアさんはどことなく確信しているようだ。

 でも、頭が痛い案件だとでもいうように、手を額に当てる。


 俺も否定できない。

 実際にそうなったらどんな災害が起こってしまうのか、と考えてしまう。


 迂闊に魔法を使うべきではないという事だ。

 ……この世界に来た当初、魔法を使えないかどうか試したけど、使えなくて正解だったのかもしれない。


 下手をすれば、不滅の森が不滅でなくなっていた可能性もある。

 一万倍って、そういう事でしょ?


「……わかりました。魔法は覚えなくても大丈夫です」


 それで問題ないと思う。

 だって、この件に関しては、そう悲観するような事ではないと思うからだ。


 何しろ、図鑑の登録できる部分には「魔法」がある。

 つまり、魔法を鑑定にかければ、登録されるという事だ。


 そこから複製できれば、そのまま使えるという事になる。

 金はかかるけど。


 まあ、最悪、使えなくても複製できなくても、それはそれで構わないと思っているというのもある。残念だけど。


 と、俺は思っているのだが、ヴィリアさんは納得できないっぽい。


「あたしが言いたいのは、迂闊に使うなって事で、使えるようにはなっておいた方がいいって事さ」


「え? いいんですか?」


「通常の一万倍の魔力なんだ。いざという時の切り札に充分なりえるし、使い方さえ間違えなければ、色々役立ちそうだしね。もちろん、あたしの魔法関連の研究にも」


「ヴィリアさんの役に立つのなら」


 喜んで覚えましょう。


「世界樹の種が発芽すれば、あたしも少しは時間ができるからね。その時間を使って、あんたに魔法を教えてあげるよ。ただ、その際はきちんと周辺環境に気を付けないといけないね。軽い事故でも大惨事になりそうだ」


 否定はできない。


「まっ、それはあんたが気にする事じゃないよ。魔法において賢者スペシャリストであるあたしが教えるんだ。あんたはしっかりと学べばいいだけさ」


 ニッと笑うヴィリアさん。

 女賢者エロい。抱いて欲しい。


「さて、それじゃ、魔法を教える前に、まずはその世界樹の種にできるだけの魔力を注いでもらえる? 具体的には、万の数字がなくなるまで」


 なるほど。

 俺が注げるだけ注いで、残りをヴィリアさんが注げば、発芽までそう時間はかからないって事か。


 という訳で、鑑定で確認しながら、魔力を注げるだけ注いだ世界樹の種をヴィリアさんに渡す。


 それから数日後。

 ヴィリアさんが光り輝く世界樹の種を俺に見せてきた。


「これで漸く先に進めるよ!」


 嬉しそうに笑みを浮かべるヴィリアさん。

 俺には輝く世界樹の種より、ヴィリアさんの笑みの方が輝いて見えた。


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