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今日ではありませんでした

 とりあえず、もう一度確認。


『名前 :ハクウ・エンジェル・オブ・ゴッド

 種族 :本人は人だと思っている


 HP :割とある

 MP :それなりにある


 スキル:鑑定

     図鑑ボックス(β版)』


 上から見ていこう。

 まず、名前。


 ハクウ、と自分で名付けた名前があるのはいいとして、問題は残りの部分。

 エンジェル・オブ・ゴッドって!


 確か……神の御使い、みたいな意味だったっけ?

 思い当たるのがやらか神しか居ない以上、俺はやらか神の御使いって事になるのか?


 それは勘弁して欲しい。

 でも、わざわざ名前にそれを入れるとか、やらか神の仕業としか考えられない。


 さすがにこんな名を名乗りたくないので、もし名乗る機会が訪れたら、ハクウとだけ名乗ろう。

 次は、種族。


 ……人じゃないの?

 でも、御使いとなると、代表的なのは天使というカテゴリーだから……それなのか?


 確認したい気持ちはあるが、真実を知るのは怖い。

 見なかった事にして、名字同様に、誰にも知られないようにしよう。


 次は、HPとMP。

 ……もうね。さすがはやらか神としか言えない。


 数値でない時点でちょっと。

 しかも、割とあるとか、それなりにあるとか……アバウト過ぎる!


 ふわっとし過ぎじゃない?

 緊急時は感覚的に、あれ? もうヤバいかも? と判断するしかない感じ?


 で、スキル。

 鑑定……ありがとうございます。


 これに関しては、もう一度……ありがとうございます!

 素直に感謝しよう。


 でも、もう一つの方。

 ……「図鑑ボックス(β版)」って何?


 図鑑はわかるけど、ボックスって……アイテムボックス的なのが付属している感じ?

 だけど、ここで問題なのは「β版」だという事。


 つまり、完成してないって事だよね?


 ………………。

 ………………。


 総評を出すなら、鑑定以外まともなところがない。

 ……いや、そう断ずるのは早いかもしれない。


 この「図鑑ボックス(β版)」が、もしかしたら「β版」でも優秀な可能性はある。

 使う前から駄目だと決めつけるのは違う。


 まずは使ってみてから判断しよう。

 右手を前に出して言う。


「『図鑑ボックス(β版)』……起動!」


 ………………。

 ………………。


 何も起こらない。

 前に出した右手を顔に持っていき、同時に左手も顔に持っていって、両手で顔を覆う。


「――――――っ!」


 声にならない声で叫ぶ。

 すっきりした。切り替えていこう。


 何故なら、問題は解決した訳ではない。

 未だ「図鑑ボックス(β版)」は起動していないのだから。


 思考をとめてはいけない。

 声で起動しないのなら、接触ではどうだろうか?


 可能性としては、この表示されているステータス。

 そこに表示されている部分に触れてみる。


 まっ、どうせスカッと空振るだけ……確かな押している感触。

 これが正解か。


 指を離すと、ステータスが消え、代わりに「図鑑ボックス(β版)」と中央に表記された半透明の板が現れた。


 やったね! と親指を立てる。

 そして、表記が切り替わり――。


『現在開発中のため起動する事が出来ません。

 鋭意制作中ですので、楽しみにお待ちください』


 ………………。

 ………………。


 本当に完成してなかったというか、β版ですらできてないのかよ!

 遅延に次ぐ遅延か!


 もう俺の方の心の準備は出来ているんですけど?

 何か重大なバグでも見つかったんですかね?


 特殊ユニークっぽいし、用意したのは、やらか神……。

 確実に致命的なバグ案件でしょ? これ。


 え? もしかして、本当に何もない状態で生き延び……ちょっと待って。

 先ほどまでなかった表記がある。


 半透明の板……というか、画面の左上に「お知らせ」ボタンがあった。

 ……押してみる。


 画面が切り替わり、表示されたのは――。


『開発資金援助のお願い』


 タイトルからして、もう駄目な気配。

 戻るボタンを押したい気分に駆られるが、我慢して先を見る。


『現在、スタッフ一丸となって「図鑑ボックス(β版)」を鋭意制作中ですが、開発資金不足のため、制作がかなり遅れています。なので、開発資金不足を少しでも補うために、開発資金の援助をお願いしています。皆さまからの援助によって少しでも早くお届けできるよう、スタッフ一同邁進していく所存です』


 これもう、絶対やらか神が何かやらかしたよね?

 その結果だよね?


 しかも、他の方たちを巻き込んでいる感じ。

 それに皆さまからの援助って……俺しか居ないよね?


 これ……どうしよう、と思っていると、文面の下に新たな表記が現れる。


『開発資金 金貨 0/5』


 その横に、硬貨を入れるような細長い穴が一つ。


 ………………。

 ………………。


 現状、頼れるのがこれしかない以上……仕方ない、か。

 いきなり支度金の半分取るってどういう事?


 詐欺だ! 詐欺!

 やらか神……やってくれたな!


 森の中じゃ、他に使い道がないしねっ!

 ポケットから金貨を五枚取り出し、投げつけるように投入していく。


『開発資金 金貨 5/5』


 全額投入完了。


 ピロンッ! と電子音が鳴る。

 新たなお知らせが届いたようなので確認。


『「図鑑ボックス(β版)」完成のお知らせ

 皆さまからの援助によってβ版が完成しました。ありがとうございます。バグチェックを行い、問題なければそのまま配信となりますが、配信予定は明日以降ですので、もう少々お待ちください』


 ……今日じゃねぇのかよっ!

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