居る場所がわかりました
妖艶なおばあ様と、今後について話し合う。
とりあえず、この家に住んでいいそうだ。
奥にある、空いている部屋を好きに使っていいらしい。
ついでに、家の中についても軽く教えられる。
まず、今居るリビングに併設されてキッチンがあり、家内で一番広い場所になるそうだ。
で、奥に続く通路があって、その先には部屋が八部屋あった。
といっても全部使用している訳ではなく、書斎や物置の他に、偶に来るおばあ様の仲間の部屋との事。
その中に元々使っていない部屋があって、そこを俺に使わせてくれる。
ありがとうございます。
地下室もあるそうだが、そこは立入禁止。
おばあ様は言葉を濁していたが、要は命の危機に関わる物も置いてあるそうで、迂闊に入ればマジで死ぬ、らしい。
意地でも行かないと宣言。
トイレとお風呂もあって、共用。
トイレは普通の水洗だった。
えっと、こんな場所でどういう仕組み? と疑問に思っていると、おばあ様が魔道具だと説明してくれる。
……魔道具?
おばあ様の簡単な説明によると、魔力を宿した道具で種類も豊富。
ここだとそこまで多くないが、町中だと色々あるそうだ。
まあ、便利道具だと思っておけばいいそうなので、そう思う事にする。
とりあえず、それで快適生活を送れるんだから、文句なんてありません。
お風呂も同じく魔道具で、湯と水の出し入れができるようになっている。
お風呂に関しては、数人が一度に入れるくらいに湯舟が大きい。
ゆったり入れるのは、とてもいいと思う。
風呂に関しては素直に嬉しい……嬉しいんだけど、さすがに家主であるおばあ様より早く入る訳にはいかないよね。
となると、俺が使用するのは、おばあ様の残り湯という事になる訳だ。
いや、それでどうにかなる訳ではないが、どうにかなるかもしれない。
駄目だ。思考がおかしくなっている。
考える。無心。無心。感じるんだ。いや、感じちゃ駄目だ。
落ち着こう。まずは深呼吸で落ち着こう。
ふぅ~……はぁ~……。
よし。切り替えた。
当然、俺の利用する部屋に家具とは一切ないが、あとで最低限は用意してくれるらしい。
そうですね。できるだけ早くお願いします。
当分は、床に毛布で過ごす事になりそうだけど。
「それなら、寝る時はこのソファーの方がいいんですが?」
「あっ? ソファーは座るモノだろ?」
「でも、こうして寝ていましたし」
「まあ、好きにしな」
「ありがとうございます」
粘り強い交渉で勝ち得た。
とりあえず、ベッドが手に入るまで、ここで寝る事になる。
というか、ベッドってどうやって手に入れるの?
……手作りかな?
おばあ様からの初めての手作りは、ベッドでした。
……いいかもしれない。
次いで、俺がここでやるべき事なのだが……特にない。
のちのちあるかもしれないが、今はないと言うべきか。
まずは、俺の安全性を確認してから、そのあとで色々と頼みたい事があるらしい。
それまでは大人しくしていろって事か。
大人しくしていよう。
あっ、でも、あとあとでも構わないから、複製のための金策を相談しないと。
それまでに、自分に何ができるかしっかり見定めておかないとね。
俺がここに住む事に関しての話はそれで終わったのだが、今度は逆に聞きたい事はないかと尋ねられた。
「なら、ここがどこか知りたいんですけど?」
やらか神がやらかした結果、どこに出現したのかを知りたかったのだ。
「ん? ここは『破滅の山』の麓にある『不滅の森』にある小屋だけど?」
………………。
………………。
うん。意味がわかりません。
地図があるというので、見せてもらう。
この世界最大の大陸の中央には、不可侵の山がある。
それが「破滅の山」。
不可侵の理由は単純で、普通は生きて帰れないから。
誰もが破滅する、と言われているため、「破滅の山」と呼ばれている。
竜を頂点に置いた食物連鎖が確立されていて、他のところはレベルの違う魔物が蔓延っているそうだ。
それは「破滅の山」を全方位で覆う、麓の「不滅の森」もそう。
この「不滅の森」を住処にする魔物が多く、レベルも他とは違うため、迂闊に開拓できない事から「不滅の森」と呼ばれている。
「破滅の山」は言うに及ばずで、「不滅の森」の強種と呼べるレベルとなると、国対応レベルなんだそうだ。
まあ、この世界には魔法もあるので、そのレベルでも対抗できる人物は居るらしいのだが、いかんせんその数が足りない。
「不滅の森」の強種は、数が多いとの事。
ちなみにだが、おばあ様はその対抗できる人物の一人らしい。
「ふっふ~ん」
自慢げな笑みを浮かべるおばあ様。
……悪くない。
そんな「不滅の森」の外側からが、人の生存領域となっていた。
人の生存領域には当然色々な国があって、興味はあるのだが、今のところ向かえないので聞いても仕方ない。
その時になったら、充分だろう。
で、今俺が居るおばあ様の家があるのは、「不滅の森」の南西部。
どちらかといえば、人の生存領域寄りのところ。
それでも危険な事に変わりはないので、結界があるそうだ。
それなら安全なところに行った方がいいような気がするが、何か理由があるんだろうと察し。
ちなみにだが、俺が現れた場所もおばあ様がなんとなく察してくれて、ここよりも「破滅の山」寄りに現れていたようだ。
……ほんと、やってくれたな、やらか神。
もう少しだけ、1日2話更新でいきます。




