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変なのが登録されました

 ……いや、ちょっ!

 なんか川の流れの強いところに入ったっぽい!


 文字通り流されるまま流れていき……勢いが弱まったところで脱出。

 向こう岸に出る。


 元居た側の方は……またあのライオンが現れると思うと怖い。

 それに、俺の匂いを消すという意味でも、対岸に出るのは間違っていないはず。


 とりあえず、どれだけ流されたかはわからないが、周囲に危険な気配なし。

 対岸にもライオン含め、危険そうなのは居ない。


 ホッと一安心。

 今のところ、出会った生物の中で安全なのは魚くらいだな。


 さっきも、流されながら俺をハミハミしていたから、根性はあるみたいだけど。

 そんなに俺の角質を食べたいのだろうか?


「……ハックション!」


 なんの準備もなしに川に飛び込んだから、体がすっかり冷えてしまった。

 濡れた服はそのままだと体温を奪い続けるから危険……だったはず。


 なので、まずは服を着替える。

 濡れた服を絞りながら体を拭き、木の棒に巻き付けたり、雑巾とか、あとで何か使えるかもしれないと考え、アイテムボックスの中にしまう。


 代わりの服は、図鑑から複製した。

 銅貨2枚……これで風邪でも引いたら困るので、惜しまない。


 まあ、正確には新しい服じゃないし、穴も空いているけど。

 あとは、失われた体温をどう取り戻すか、だな。


 とりあえず、アイテムボックス内にある木の枝を全部出して、それで焚き火でもするか。

 木の枝は、あとでまた拾い集めればいいし。


 なので、木の枝を出して、焚き火のように組んでいく。

 もちろん、火が点きやすいように、そこらに落ちている枯葉や小枝も交ぜて。


 最後に、火を複製……はい。タイム。

 ちょっと待って。おかしい。


 いや、どうして、こんなのが登録されているの? ってのがある。

 明らかに異常。


 いや、まあ、図鑑の「特殊」項目に登録されている時点で、そういうくくりなのはわかるけど。

 でも、さすがにこれは――。


『 メオスライオンの撃滅炎

 不滅の森の強種の一つ、メオスライオンが吐く炎。超高温。

 森火事に至っていないのは、一気に燃え上がって即鎮まるという性質のため、逆に当たったところしか燃えないから。

 それでも使いどころには注意しよう。駄目。環境破壊。


 複製金額 金貨 3枚 』


 一気に燃え上がって即鎮まるのは、瞬間的に酸素がなくなるからだよね?

 というか、たっか!


 というかこれ、あのライオンの吐いていた炎って事?

 ……なんでこれが登録されているの?


 わからん……わからんが、そういえば、あのライオンと勇ましく対峙して鑑定していた時、一瞬だけど鑑定文が変わった時があったような………………それか?


 しかもこれ……何故か複製できるんだよね。

 ………………まあ、この際、複製できる件は置いておいて。


 できたんだから、できたんだよ。

 という事にしておこう。俺の精神の安定のために。


 それに、あの炎の威力なら、考えようによっては強力な武器だ。

 必殺技と言ってもいいかもしれない。


 いざという時の切り札。JOKERだ。

 でも、問題もある。


 ……高額過ぎる。

 図鑑の中の金は、ほぼ丸々金貨1枚分。


 アイテムボックス内にあるのは、金貨4枚。

 で、複製しようとすれば、金貨3枚。


 つまり、現状だと一回しか使えない訳だ。

 さすがにこれだと試す事はできない。


 ぶっつけ本番になってしまうのは、仕方ない。

 いや、そもそも使う機会なんてそうそうないだろうけど。


 でもまあ、ここで高額なのが登録されるのは、もしかしたら戒めのようなモノかもしれない。

 低額のばっかりだと、これくらいと軽んじて使ってしまい、まだまだ大丈夫だと次々使ってしまう可能性がある。


 その先にあるのは、資金が底をついて、何も複製できなくなるという結果。

 それは勘弁。


 資金がある時こそ、しっかりと考えて節約できる部分は節約して使っていかないといけない。

 そのための第一歩が、素材集めだ。


 木の枝もそうだし、枯葉や石なんかも収納しておいた方がいいかもしれない。

 考えてみれば、石は投擲にも使えるんだし、あって困る事はないのだ。


 ………………。

 ………………。


 と、予想外の事で思考を進めてしまったが、今は体を温めないと。

「火」を複製する。


 指先から、ライターの最大火力のような火が噴き出す。

 特に熱さは感じない。


 何気に初めて「火」を複製したけど、こんな感じなのか。

 攻撃に転用ができそうな火力ではないけど、大道芸としてなら使用できないかな?


 そんな事を考えつつ、組んだ焚き火に火を点けて体を温める。

 指先の火はいつの間にか消えていた。


 そう長く点くようなモノではないのかもしれない。

 まっ、安いしね。


 とりあえず、節約のための第二歩。

 作れる物は作ろうと思う。


 まずは、たいまつ。

 アイテムボックスにしまった濡れた服を取り出し、焚き火近くで当てて乾かす。


 乾けば、力を込めてビリビリと破ってしまっておく。

 あとで木の枝を集め、その中の一本に巻き付けて、たいまつにしようと思う。


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