感想です
いやあ~……なんというか、やってしまったね。
いや、別に悪い事ではない。
攻め込んでいるのはあっちだし、そもそもこちらに非はない。
でも、こうなるとは思わなかった。
最初の、でっかい大砲からいきなり黒い閃光が照射された時は驚いたけど、ヴィリアさん、リュオ、ヴァインさんが難なく防いだのは、だろうな、と思ってしまった。
そのあと、インペリオルム帝国軍が襲いかかってきたけど、やっぱりこの三者がすさまじい。
まず、人の姿となったリュオ。
リュヒの声援を受けて、やる気全開になった。
クールっぽく振る舞っているけど、やっている事は全然クールっぽくない。
単独で突貫してインペリオルム帝国軍の兵を弾き飛ばしている。
武器が振るわれようが、避ける事もしない。
当たれば武器の方が砕けているからだ。
リュオの体……どうなってんの?
竜だから、かな。
竜の鱗が硬いってのは通例だし、一定以上のダメージじゃないと貫通しない、とか?
……なんだその「A〇フィールド」は。
ただ、鎧姿の人たちの中に私服姿のリュオ。
……違和感しかない。
次いで、ヴァインさん。
こちらも執事服なので違和感があるような気がするが……まさか黒い閃光を蹴り飛ばすとは追わなかった。
それあと、「神脚・解放」状態になったようだけど、脚だけでなく体全体にも影響を及ぼしているのか、攻め込んでくるインペリオルム帝国軍に対して、ヴァインさんは片肘を前に出した姿勢のままで突っ込んで兵を弾き飛ばしていった。
その姿はまるで、餓〇伝説のア〇ディ・ボ〇ードの「〇影拳」に似ている。
そのあとも格闘術を駆使してフルボッコだ。
面白いように人がポンポンと飛んでいく。
理不尽な存在だと思いつつ、味方だとなんとも頼もしいと思った。
最後に、ヴィリアさん。
黒い閃光を結界で受け流すのはさすがとしか言えない。
ただそのあと……急に空の一部分の天候が怪しくなる。
具体的には、インペリオルム帝国軍の頭上が黒雲で覆いつくされていく。
と思ったら、雷鳴が轟き、稲妻が走り、インペリオルム帝国軍にいくつも雷が落ちた。
インペリオルム帝国軍は、わーわーと大騒ぎである。
ただ、ヴィリアさん的に気に入らなかったのかもしれない。
雷はやみ、代わりに雨が降る。
インペリオルム帝国軍は、雨くらいならどうとでもなるとホッと安堵していた。
俺は少しして気付く。
雨がやむと、再びゴロゴロと雷鳴が鳴り響き……インペリオルム帝国軍も気付いた。
水に濡れた事で、電気伝導率が上昇している事に。
インペリオルム帝国軍は更に大騒ぎだ。
……う~む。この現象を「ヴィリアの怒り」と名付けるのはどうだろうか?
その名付けに相応しい光景だと思う。
まあ、ヴィリアさんは非常に楽しそうに魔法を行使しているけど。
リュオやヴァインさんもそうだけど、ちょっと悪役っぽい笑みに見える。
でもヴィリアさんなら……それはそれでアリだと思った。
そして、ここのメインは、インペリオルム帝国軍全体とやり合うコーポジレット大国軍である。
……まあ、俺の予想に反して、圧倒しているけど。
いや、俺の予想としては、兵の質はインペリオルム帝国軍の方が高いって言うし、もっとこうギリギリというか、少しだけコーポジレット大国軍が有利になる程度だと思っていた。
実際は、インペリオルム帝国軍の攻撃は一切通用せず、コーポジレット大国軍の攻撃はすべて通じている。
これ、下手をすると、黒い閃光も防げたんじゃないだろうか?
俺がコーポジレット大国軍に対して協力したのは、資金を出してもらって装備の強化をした事。
ラロワさんが当初予定していた策の一つは、シュミットさん製作による装備を身に付けた精鋭一部隊を編成し、遊撃部隊、もしくは集中した戦力による突破で、敵の総大将を倒すといった事を考えていたようだ。
でも、言ってしまえば所詮は一部隊。
全体に与える影響が未知数で、突破できるかどうかも運次第。
なので、そこで俺がした協力は、シュミットさん製作の武具類すべてを必要数「複製」して「上位変換」を行う。
それを数回繰り返して、ある程度納得できる性能になった武具類を、コーポジレット大国軍全員に行き渡るまで「複製」。
資金提供は、ラロワさんというか、コーポジレット大国。
使用した資金は、知りたくないというか、見たくないくらいで、文字化けしてない? と言いたくなった。
それでも出してくれたのは、そもそも負ければ押収されるのは目に見ているし、ラロワさん曰く「また稼げば済む話だから」だそうだ。
そうした結果を簡単に言えば、インペリオルム帝国軍に対して、コーポジレット大国軍は二世代くらい性能差があるんじゃないかと思われる武具で戦っている。
そりゃ圧倒するってモノだ。
とりあえず、こちらの負けはない、という事はわかる。
そして、俺も倒すべき相手を見つけた。