表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
135/151

やってきました

 多分だけど、向こうにとって一番の想定外は、リュオとリュヒがこっちに居るのを知らないって事だと思うんだよね。


 そして、その一番の利点となると、強さと言いたいが、やっぱり空を飛べる事だと思う。

 つまり長距離移動が短時間で楽に行う事ができる。


 という訳で、現インペリオルム帝国の帝都に乗り込むと決めた翌日の夜。

 早速やって参りました。帝都……の近郊に。


 リュオとリュヒも到着と共に人の姿を取っている。

 近付くとバレるし、夜になってしまうのも仕方ない。


 本当は昨日の内に来たかったのだが……揉めたのだ。

 行くか行かないか、ではなく、誰が行くか、で。


 誰しもが自分が自分がと推してくるが、リュオとリュヒの背に乗せられる数には限りがあるし、籠とかを用意するには時間がかかると乗り込み希望の人たちが反対。


 まず、リュオとリュヒ、俺は確定。

 リュオとリュヒは俺に協力しているという形だし、俺には水の高位精霊という切り札もある。


 ヴィリアさんは家を燃やされたから、ユルドさんは世界樹の花を摘まれたから、アイシェさんはやり過ぎないように見張るため、という理由で参加してきた。


 ……まあ、断る理由はない。

 ドリューに関しては、向かうのが帝都内という事で待機してもらう。


 あと、帝都内部の情報も必要だろうと、エクス・グラップル――エクスさんと、アンブロム・インペリオルム――アンブロムさんも参加。


 この二人と共に居た部隊の人たちはさすがに大人数過ぎるので、ここで一時ラロワさんに預ける事となった。


 ここで打ち切ろうとした。

 何しろ、もしもの場合は、ディナさんたちを連れ帰らないといけないので。


 そう締めきろうとしたところで、さもそれらしい理由を告げてくる人が居た。


「今はハクウくんの執事なので、自分も共に行こう」


 背中に「ワクワク」と文字を背負ったように見えるヴァインさんが、そう言ってきた。


「いや、それ正式にじゃなくて、巷でバレないようにするためだけの変装ですよね?」


「昔を懐かしんで、このままハクウくんの執事としてやっていくのも、アリかな? と思っている。それにハクウくんの護衛は必要だろう」


「その心は?」


「楽しそうな戦いが向こうからやってきそうだ」


 俺にそんな能力はない……はず。

 やらか神の御使い設定が本当なら、否定はできないけど。


 まあ、執事うんぬんは横に置いといて、護衛はありがたい。

 何しろ、俺の攻撃能力って、超魔力による周囲一帯攻撃のピーキーしかないんだよね。


 物理が皆無だから、護衛はありがたい。

 なので、赴くのが敵地である以上、ヴァインさん採用。


 これで全員。

 総勢九名で帝都に向かい、今はその近郊。


 帝都は直ぐそこに見えた。

 高い壁に囲まれているので中の様子は見えないが、繁栄しているのを象徴しているかのように、中からは光が漏れて夜空の星を消している。


 直接中に乗り込まなかったのは、例によって結界が張られているため。

 結界を無理矢理破る事は可能だけど、最優先事項がディナさんたちの奪還である以上、俺たちの存在を知らせるような行動はできるだけ控える。


 まずはここからの相談。


「それで、エクスさんとアンブロムさんの意見は?」


「おそらく、帝城内に捕らわれているのは間違いない。無難に地下牢だろうな」


「そこまで行くのは帝都内からであれば容易だが、そこが一番の問題だ。帝都内に入るのが一番難しい。何しろ、帝都は夜でも明るいため、その光に吸い寄せられるように魔物が現れる事が多々ある。そのため、外壁部は門も含めて警戒も厳重な上に各所への連絡も早い」


 なるほど。

 厄介って事ですね。


 どうしたものかと考え始めると、ヴァインさんが挙手。


「一つ尋ねるが、帝都に張られている結界は一般的なモノか?」


「はい。師匠。魔物だけを感知し、侵入を阻む結界を上空に張っています。地上は監視の目がありますので、上空からの侵入への対策です」


 相手がヴァインさんであるため、エクスさんが丁寧に説明する。

 ヴァインさんは説明を聞いたあと、一つ頷く。


「では、行ってくる」


 そう言って、帝都の方へ。


 ………………。

 ………………。


 あっ、いってら……じゃない!

 慌てて追いかけるが、ヴァインさんの行動は迷いがなくて速い。


 走り出したかと思えばそのまま外壁を一気に走破で上りきり、外壁の上で見回りをしている者たちが気付く前に瞬殺……いや、首トンで気絶させていた。


 そのまま帝都内部の方に下りたように見える。


「まったく。あの兄は落ち着くという事を知らないのかね。まっ、今回ばかりは楽でいいけど」


 ヴィリアさんがそう言うのと同時に、外壁の一部が砂状になって音もなく円形の穴が開く。

 そこからヴァインさんが現れた。


「よし。これで入れるな。あっ、エクス。あとで直しておくように」


「は、はい」


 エクスさんがどうにかこうにか頷く。

 なんか、すみません。


 なんだったら、あとで修理を手伝わせますので。

 とりあえず、この穴を通って、帝都内に潜入した。


 ちなみに、穴を開けたのは「天轟覇断流・打壊衝だかいしょう」という内部破壊系の技の応用で、らしい。

 相変わらず、流派名は俺の琴線に触れるなぁ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ