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漸くです

 アイテムボックス内の「木の枝」を確認。

「上位変換」できるようになっていた。


 やった……やたよ!

 喜びで叫びそうになるのをグッと堪え、「上位変換」を選択。結果。


『 木材(雑木)

 最低品質の木材。用途多数の素材だが、品質がよくないため、耐久性に難あり。

 できる事なら、もう少し品質が高いモノを使用する事をオススメします。

 残数   1 


 複製金額 銅貨 11枚 』


 なんかオススメされちゃった!

 いや、もう、品質がどうとか、耐久性とか、どうでもいい。


 木材を手に入れる手段が確立したというだけで満足だ。

 でも、複製金額が少し高い。


 というよりは、木の枝の複製金額が銅貨1枚だから、木の枝10本で銅貨10枚。

 で、木材は一枚で銅貨11枚。


「上位変換」したモノが銅貨1枚分高い。

 いや、違う気がする。


 多分だけど、「上位変換」したのを複製しようとすると、一割分高くなっているんじゃないだろうか?


 この一割……手間を省くための金額なのか、それとも手数料的な?

 どことなく作為的なモノを感じる。


 この一割で更に金を回収しよう、みたいな意図が……。

 やらか神ならありえそうで否定できない。


 元々安いのを一割分ならまだしも、元が高いので一割となると……どれだけ搾取される事になるのか。


 まあ、どちらにしても、複製に金がかかる事は変わらない。

 ……今思ったけど、この仕様って、元々開発資金も援助をお願いしてきた事を踏まえると……いや、深くは考えまい。


 神様の世界も世知辛いのかもしれないな。

 でも、そういう対策の意味も込めて、元となる素材とかはできるだけ収納しておいた方がいいかもしれない。


 複製は切羽詰まった時は、金に余裕がある時にしよう。

 ……という感じで終わりかな。


 これ以上の検証はできないし、今は木材の方だ。

 実際に取り出してみる。


 1m×30cmくらいの大きさで、厚みは5mmくらいかな。

 想像よりは立派な木材に見えるけど……最低品質なのか。


 いや、そんなの関係ない。

 木材は木材だ。


 ただ、本当に木材が手に入ったという喜びで叫びそうになるけど、何が出てくるかわからないので、今回もグッと堪える。


 くそぉ……思いっきり叫びたい。


 いっその事、叫んでしまうか?

 そうそう何回も同じ事が起こるとは限らないし。


 ……でも、可能性としてはゼロではないのは。


 ………………。

 ………………。


「ふぁーーー……」


 誤魔化すために獣の叫び風に叫ぶ。

 球がOBになった訳ではない。


 我慢できなかった。

 どうにか叫びたくて、こうなっただけ。


 そして、それでも何かが来るかもしれないので、即座にこの場をあとにする。

 もちろん周囲に気を配りながら。


 元々迷っていたので、特に行き先は決めていない。

 更に迷うだけ。


 元々迷っているのだから、今更。

 あっ、木の枝。いくつか収納。


 いや、もしかしたら、これが新たな光明に繋がるかもしれない。

 たとえば……そう。拠点となるような場所が見つかるとか。


 ………………。

 ………………。


 まっ、そう簡単に見つかったら苦労しない。

 うんうん。


 しかし、それに近い状況にはもっていく事が出来た。


「川よ! 俺は帰ってきた!」


 多分同じ川。

 念のため、鑑定。


 ……うん。同じ川。

 場所は違って、なんというか前よりも流れが穏やかな感じ。


 普通に嬉しくて、普通に叫んでしまった。

 ……大丈夫だよな?


 一応、周囲を確認。

 怖いけど川からあまり離れたくなかったので、少しだけ森の中に場所移動。


 そこで再度木材を取り出し、火起こしを……火起こしを……板切れ一枚でどうしろと!

 いや、これを土台にすればいいのか。


 まず、そこらにある枯葉や木片なんかを集めつつ手頃な石を拾う。

 その石で木材を削って窪みを作り、その周囲に集めた枯葉や木片を置く。


 窪みに先ほど拾った木の枝の先を当て……あとはひたすら擦る。

 縄や紐があれば、まだ別のやり方があると知識が示してくれるけど、そんなモノはない。


 根性で火を点けてみせる。

 重要なのは、なるべく休まない事。


 休むとそれだけで上がった温度が一気に落ちる。

 できるだけ一気に。


 ………………。

 ………………。


 根性で火種はできた。

 そこに枯葉や木片を被せて、軽く息を吹いて更に大きな火にする。


 パチパチと小気味いい音が耳をくすぐる。

 癒しの音楽の始まりだ。


 おっと、感動するのはまだ早い。

 この火を維持しないと。


 木の枝を取り出し、燃え移らせていく。

 そこで漸く、火が納得する大きさになる。


 でき上がった火を見て……ホッと安堵。

 癒されていくのを感じる。


 おっと、風下だと火の粉で火傷、もしくは服に穴が空くから風上へ移動しよう。


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