続いて確認しました
とりあえず、「図鑑ボックス」を最大限に使用していこうと思う。
というよりは、使えるモノはなんでも使っていかないと、この状況ではつらいという事だ。
なので、まずは昨日までに鑑定したモノを再度鑑定して、図鑑に登録しておく。
その時、虫も鑑定してみると、「魔物」の方に登録されているのには驚いた。
魔物だったの? と思わず二度見して、距離を取る。
鑑定文を見て、普通の虫だった事が発覚。
どうやら、普通の虫もそちらに登録されるようだ。
まあ、この分類分けの中だと、ここしかないか。
改善されるかは、わからない。
もしかしたら、この世界だと魔物へと至る生物という分類なのかもしれないし。
さすがに人は登録されないと思うけど。
あとはまあ、やっぱりというべきか、生物の複製はできなかった。
でも、図鑑の充実はそのまま強さというか利便性の向上に繋がるのは間違いない。
他にも、どこまで登録できるのかを試したところ、草とかはそのまま草とか、大抵はそのままなのだが、中には変なのも登録できた。
まず川は――。
『 魔力水
魔力が豊富に含まれた水。
素材として利用する事もできる。
もちろん飲用も可能だが、飲み過ぎると腹が下る。 』
という風に登録され、川自体は登録されていない。
他にも、地面を鑑定してみたところ――。
『 魔力土
魔力が豊富に含まれた土。
成長に魔力が必要な植物には必須。
栄養もバッチリなので、畑にも適している。 』
他にも――。
『 落ち葉の山
落ち葉がたくさん積み重ねられた小さな山。
焼き芋一本に最適の量。
だからといって、燃やし過ぎると火事になるかもしれないので気を付けて。 』
なんかも登録された。
う~ん。不思議な図鑑になりそうだ。
しかも、魔力水以外は複製しようとすれば、「銅貨1枚」。格安。
というよりは、多分だけど、価値的に一番下が「銅貨1枚」なんだと思う。
これ以上の下の硬貨が存在しないから、というべきか。
で、魔力水はなんと「銅貨10枚」。なんか高い。
ただの水なら「銅貨1枚」な気がする。
まあ、今は確かめようがないので放置するしかないけど。
とりあえず、図鑑の方に金貨1枚だけ投入しておく。
いざという時のために。
残りはなくさないようにアイテムボックスの中へ。
あと、色々試して、気になる事が一つできた。
それは、俺が今着ているこの服なのだが――。
『 穴の空いた布製の服(ウェアエア産)
複製金額 銅貨2枚』
という状態で登録されていた。
銅貨2枚って安くない? 穴が空いているから?
どういう事だろうと、スキルを細かいところまで見てみる。
……思っていた通り、「ヘルプ」があったので確認。
どうやら、未登録のモノの初回登録時は、現状で登録されるようだ。
ただ、そのあと、より良い状態のモノを鑑定すれば、そちらが登録されるらしい。
つまり、穴が空いていなければ、もっと高い可能性がある。
服だし、できれば完全な状態で登録したかった。
こういうのを、あとの祭りって言うんだろうか?
ちなみに、鑑定済みの果物類がどれも銅貨1枚だったので、一つを複製して一口かじってから鑑定をかけてみるが……鑑定文は「一口かじられた」表記はあるが、図鑑に登録はされなかった。
図鑑の残り金額も確認。
『金貨 0 銀貨 99 銅貨 99』
となっている。
「変換」でわかっていたけど、やっぱり100枚で上の1枚になるようだ。
そこだけ理解して、服に関しては、汚れとか臭いが気になったら……複製しようと思う。
新品の完全な服が欲しい。
……あれ? これってもしかして……服を買う必要ないんじゃない?
たとえば、お店行って、片っ端から鑑定かけて帰還。
それで図鑑登録されているのを「複製」すれば……。
いや、やっぱりやめておこう。
きっと、これはこういう使い方じゃないし、人としてどうなんだろうって思ってしまう。
簡単に言って、自己嫌悪に陥りそうだ。
買った物、手に入れた物だけにしよう。
これをマイルールとする。
ただ、この図鑑。
「マジックリンゴ」、「マジックミカン」、「マジックモモ」だけじゃなく、「魔力水」も登録できているのだ。
で、複製可能も確認済。
使う金額は、どれも銅貨1枚。
この世界の値段の基準はわからないけど、多分このスキル内だけでの値段だと思う。
まあ、そこを今気にしても仕方ない。
とりあえず、複製は金を使い、今はその金に上限がある以上、果物類はあるだけ収穫し、魔力水も収納しておきたいんだけど……液体はどうすればいいんだろう。
……手を突っ込んでみる。
何も起こらない。
心の中で「収納」と念じてみる。
一瞬だけだけど、川に50cm四方くらいの四角い穴が空いた。
……回収したのかな? とアイテムボックスを見ると、「魔力水 ×1」というアイコンがあった。
取り出してみると、手のひらからジャーッと水が出る。
……完璧。
出る量は、取り込んだ四方分っぽい。
……更に完璧。
魔力水を収納し続け……×999がアイコン一つ分の限界だった。
それ以上になると、別に新しいアイコンに移る。
それがわかったところで充分だと収納をやめた。
これで行動範囲を広げる事ができる。
小さいけど、希望の火が灯った感じだろうか。
まあ、実際の火に関しては、どうしようないので何も灯っていないけど。