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文化祭 1/3

文化祭当日を迎えた橘学園は活気に溢れている。

それとは対照的に私は少し憂鬱な気分だ。

私はどうも学校行事が苦手で、体育祭も一人でサボっていた。

しかし、昨日学校に行くと、佐藤と私は、クラスの文化祭実行委員の早乙女さんに当日の当番をほぼ一方的に決められてしまった。

さらに、昨日は前日準備だったから、教室をお化け屋敷にするための力仕事を任され散々こき使われた。

早乙女さんはあまり人に強く出ないタイプだから、怒っているようではなかったけど、どうやら目はつけられてしまったようだ。


お化け屋敷の当番は午前・午後・夕方の3つに時間を分けて交代で担当することになっている。

佐藤は午前で私は午後の当番だ。

ちなみに早乙女さんは一日中働くらしく、その力の入れように一昨日の準備を学校ごとサボってすっぽかした事が少し申し訳なく感じる。


「りきは当番お昼だよね?僕は夕方だから一緒に回ろう!」

そう園田に声をかけられて私は彼女と一緒に文化祭を見て回ることにした。

「ねえりき!どこ行く?」

「別に私はどこでもいいよ。園田の行きたい場所で。」

「えー!なにそれ?」

「いや、私こういうのなんか苦手なんだよ。だから私のことは気にしないで園田の行きたい所に行こう。」

「うーん……」

園田は腕を組んで考え込むように目を閉じた。

「じゃあ、食べ物とか買ってさ、使ってない教室でゆっくりしよ!」

「ごめん、まだあんまりお腹空いてない。」

「でもりきの当番って12時から14時でしょ?食べないとお腹空いちゃうよ。」

「でも園田はそれでいいの?見たい場所とか、やりたいこととか——」

「りきと一緒に楽しむことがやりたいことなの!」

園田は力強く答え、私は少し圧倒される。

「そっか、ありがとう。」

「どういたしまして。」

園田はテンションの下がっている私に気を使ってくれているのだろう。

「アンタは優しいね。」

園田の頭を撫でる。

「あー!りきが子供扱いしてる!」

園田はもーっとほっぺを膨らませたが、すぐに気持ち良さそうに目を閉じて私の手を受け入れた。


園田と出店に並んで、目ぼしい食べ物を買い終えると1時間近く経っていた。

園田と私は部外者立ち入り禁止と書かれたカラコーンとコーンバーをまたいで、文化祭の出し物に使用されていない教室の方へ向かった。

横に長い校舎の半分を出し物で使い、もう半分は学生の荷物を置いたり追加の更衣室として使う事になっている。

いくつかの教室には私たちと同じような事を考えた学生がいたが、奥の方の教室は誰もいなかった。

「りき!ここにしよ!」

「うん。」

「りきって人見知りだし、こっちの方がいいでしょ?」

「まあ、うん。ありがとう。」

誰も使ってない教室で、園田と私は一つの机に買ってきた食べ物を広げて、向かい合って座った。

「りきはなに食べる?焼きそばに、たこ焼きに、フランクフルトもあるし、後は……」

「じゃあ、焼きそば。」

「えっ!?僕も焼きそばがいい!」

「なら一緒に食べようか。」

「うん!」


食事を終えると、当番の時間まであと15分程度しかなかった。

「私に合わせてくれてありがとう。やっぱり食べておいてよかった気がする。」

「いいよいいよ。僕はりきと一緒に入れて楽しかったよ!」

「ありがとう……でも、ちゃんとお礼はするから。」

そう言うと園田がは少しの間黙り込んだ。

「じゃ、じゃあ、いつものお礼でいいよ……」

園田は顔を赤らめて少し恥ずかしそうに言った。

「いつものって?」

「ほら、勉強教えてあげた時とか……」

「甘えたいってこと?」

園田は無言で頷く。

「まあ、いいけど。何すればいいの?」

「膝の上に乗っていい?」

「それだけでいいの?」

無言で立ち上がった園田は机を動かして、私の膝の上にまたがった。

そして私の体に抱きついて私の首元に顔を押しつけてきた。

想像と体が逆向きで、私は少し動揺する。

制服の短いスカートでまたがられると、私の太ももに園田の太ももと下着の布が直接触れて、むにむにと柔らかい感触が伝わってくる。

園田は背も低く幼児体型だが、こうやって触れると本物の子供とは違う女の子らしさにドギマギしてしまう。

「重たくない?」

「え?」

「少し力んでたみたいだから、重かったのかなって。」

「あ、うん。ごめん、大丈夫。」

そんな園田の態度に「なにを変なことを考えているんだ」と、反省をする。

私は園田の頭を撫でる。

さっきは子供扱いだと怒っていた園田も今は最初から気持ち良さそうに受け入れてくれている。

「なんか、アンタとこうしてると私も少し落ち着く。」

「僕も……ずっとこうしてたい。」

「でも、もうすぐ当番の時間だ。」

「えー!」

「ほら降りて。」

「はぁ……分かった。」

園田がひょいっと私から降りる。

「じゃありき、頑張ってね。」

「うん。」

園田のおかげで、少しは憂鬱な気分も晴れた気がする。

更新間隔が開いてしまって申し訳ないです。



登場人物の身長を設定しているのですが、詳しい数値は使いそうもないのでここに書かせて下さい。


鈴木りき:176cm

佐藤いみ:165cm

園田の子:145cm


鈴木と佐藤はかなり背が高いので、特に二人でいると近寄り難い雰囲気です。

逆に園田は小さくて可愛いので、みんなから慕われる。

そんな設定です。

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