文化祭準備
9月の下旬、帰りのホームルームで10月の頭に行われる文化祭のクラスの出し物を決めることになった。
そもそも参加する気のない私は意見も出さないし、多数決にも参加しない。
そして、それを咎めるクラスメイトもいない。
私はただ頬杖をついてぼーっとしている。
最終的にクラスの出し物はお化け屋敷に決まったらしい。
「の子ちゃんは準備参加できないよね?」
「うん、予備校があるからね。ごめんね。」
「いいよいいよ、の子ちゃんが忙しいのみんな分かってるから!」
文化祭実行委員の一人がクラスメイトに放課後の準備に参加できるか確認をして回っている。
園田の事情はクラス中が理解しているので、あっさりと不参加を承諾される。
「えーっと、佐藤さんは?」
「私は参加できます。」
佐藤は即答した。
「そ、そっかー。ありがとう。」
「それに鈴木さんも参加します。」
「え?」
委員の子は思わず困惑した表情を浮かべる。
「どうせ暇でしょ?」
「そうだけど……」
「ならいいわね。」
「じゃ、じゃあ二人とも参加ね。後で仕事振り分けるから待ってて。」
そう言って委員の子は他の中心メンバーと思しきクラスメイトたちの元へ駆けて行った。
「りきが参加するなら、僕も出ようかな。」
「園田は気にしなくていいよ。1週間も予備校休むわけにはいかないでしょ?」
そう言って私が頭をポンポンと叩くと、園田はうんと素直に頷いて、駆け足で教室を後にした。
園田と別れてから少しすると、文化祭当日までのスケジュールと前日までの準備のグループ分けの書かれた紙が渡された。
二人から四人のグループに分けられていて、私と佐藤は二人だけでCグループにされていた。
スケジュールによると、週末にお化け屋敷の内容などを決めて、週明けから実際に制作に入るらしい。
私たちの仕事は来週からだ。
内容や作るものについて、あれこれ話し合いをして盛り上がる中心メンバーを横目に、私は佐藤と教室を後にした。




