一番の親友
支度を整えた私と園田はベッドに入った。
「りきもっと奥つめてよー。」
園田がぐいぐいと体を寄せてくる。
だが、言動とは裏腹に顔は楽しそうに笑っている。
「これ以上は無理だって。」
私は押し返した。
「ちょっとりき力強すぎ!落ちちゃうよ!」
「アンタが軽すぎなの。」
園田のシングルサイズのベッドは女子高生2人が寝るには手狭だった。
二人でベッドで戯れあった後、私は寝返りを打って体を園田の方に向ける。
それに反応して園田も私の方に体を向ける。
向き合ったまま私たちは少しの間お互いの顔を見合った。
「りき?」
「あー、その、今日はありがとう。」
「どういたしまして!」
少し気恥ずかしかったが園田が素直に受け入れてくれて安心する。
「りきのためならいつでも勉強教えてあげるからね。」
「いやそれは……今日も予備校も休ませちゃったし、自分の勉強もできないでしょ?」
「じゃありきはこれから真面目に日々勉強していくんだね……」
「あっ。」
「うそうそ。それに人に教えるってすごく勉強になるから!りきは気にしなくていいの。ね?」
そう言って園田は優しく微笑んだ。
「本当にありがとう。今日だけじゃなくていつも。」
「え、急にどうしたの?」
「別にいいでしょ。ちゃんと伝えなきゃって思ったの。」
「そ、そう?照れちゃうな。えへへ。」
「この前も私のために怒ってくれたり、それなのに佐藤とも仲直りしてくれて……園田に甘えっぱなしだな。」
「そんなことないよ。僕だってりきに甘えてるじゃん。」
「いや、そんな覚えないけど……」
「りき、それ本気で言ってる?」
「え?」
少し険しい顔をした園田に私はうまく返事を出来なかった。
「むぎゅー!」
すると突然、園田は私に抱きついてくる。
私の首あたりにある彼女の頭からはほのかにシャンプーの香りがする。
「頭撫でて。」
園田は私の胸に顔を埋めたまま言った。
「怒らない?」
「怒らない。」
私は園田の頭を撫でる。
園田の髪はサラサラしている。
「今甘えた。これでお互い様。」
そう言った園田は抱きしめる手にぎゅっと少し力が入った。
「ありがとう。園田は一番の親友だよ。」
私も頭を撫でながら園田に応えるように彼女を抱きしめた。
夜がようやく少し涼しくなってきた今日、布団の中で感じる園田の温もりは心地よかった。
私たちはそのまま眠りについた。
遅くなりました。
次は来週の火曜日か水曜日あたりになりそうです。




