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園田さん

「ねえ、園田さんって前からあんな感じなの?」

昼休み、私は購買に一緒に向かう鈴木に聞いた。

「あんな感じってどんな感じ?」

「うまく言葉にできないわ。」

私に謝った彼女だが、その目からは前向きな印象を受けた。

そもそも、今回の事は園田さんが謝るようなことではない。

彼女の私への批難は至極真っ当なものだった。

だから私は何も言えなかった。

そんなする必要もない謝罪をして、なぜ前向きな顔をするのかわからない。

そして、握手を交わした時の彼女はまるで試合前に握手を交わすスポーツ選手のようだった。

あれは単純な仲直りの握手ではないのだろう。


購買から帰った私は食事をしながら園田さんの背中を眺める。

クラスメイトに勉強を教える姿はよくあそこまでするものだと感心する。


「お弁当ついてる。」

鈴木が私の口元についたサンドウィッチのソースを指で拭き取った。

「ちょっと、何するのよ!」

突然の出来事に赤面する私をよそに鈴木はそのまま指を咥えてソースを舐めとった。

「馬鹿!本当に何してるのよ!」

そう言って私は思わず立ち上がり鈴木を何度も叩く。

「アンタがぼーっとしてて口の周りを汚してたんでしょ。」

鈴木は痛い痛いと笑いながら答えた。

「そうじゃなくて——」

「じゃなくて?」

「くっ……お行儀がワルい!指は舐めない!分かった?」

「はいはい。」


ため息をついて席に座り直した私は再び園田さんに目を向ける。

彼女は一生懸命クラスメイトの相手をしていて、こちらにはまるで気がついてないようだ。

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