お揃いの物
「りきりき!あれ見たい!ハチ公!」
「いいけど、そんなに面白いものじゃないよ。」
駅から少し歩いた所にあるハチ公像までりきと腕を組んで歩く。
大勢の人の前でべったりしても優しいりきは嫌がる素振りは見せない。
「ふむふむ。確かにりきが言う通り、なんかガッカリ感。」
「次は行きたい所あるの?あとやりたいこととか。」
「うーん。特には決まってないんだけど……自分へのご褒美になるような物が欲しいかな……」
「よし、じゃあ色々回ってみようか。」
「うん!」
「その前に私も一ヶ所行きたい場所があるんだけど、いい?」
「もちろん!」
初めに、りきに連れられて新しくできたショッピングセンターの屋上に行った。
「うわー!りき、すっごく高いねここ!」
「はしゃぎすぎ。」
そう僕を諭すように言ったりきの顔は少し緩んでいた。
それを見て僕は思わず満面の笑みを浮かべる。
「ごめん、付き合わせて。」
「うんん!りきとここに来れて良かった。」
「大袈裟だな。」
僕たちは再び駅の方に戻り、そのまま反対側にあるショッピングセンターに移った。
「うげー、服高いなあ……」
「それ国内のデザイナーズのだね。似合うと思うけど、流石に私たちじゃ買えないよ。」
なんとなく手に取った服のタグを見てりきが言った。
「そんなに欲しいわじゃないからいいんだけど。シャツで4万円……」
僕の全く知らない世界だ。
「ファストファッションの安い店ならすぐそこにあるけど、ご褒美って感じじゃないしな。」
りきは顎に手を当てて真剣に考えてくれている。
「じゃあ服はナシかなぁ。」
「小物とかなら買える物もあるかもしれない。もう少し回ってみよう。」
色々と見て回るが欲しい物は見つからない。
そもそも、自分へのご褒美とか、そんなのりきと一緒に出かけるための口実だ。
その後も二人でふらふらとショッピングセンターを回っていると、ふとある物が目に止まった。
布製の動物のストラップだった。
その時、佐藤さんのカバンに付いていた変なストラップを思い出す。
本人曰くりきにプレゼントされたもの。
でもりきがそんな事するのかなとは思いつつ、羨ましい。
「何か気になる物でもあった?」
思わず足を止める僕にりきが言った。
「うん、あれ。」
ストラップを指さす。
「入って見てみようか。」
動物のストラップには色々な種類があった。
「これ可愛い!」
私は猫のストラップを手に取る。
「お客様〜。そのストラップ一点一点手作りなんですよ〜。デッドストックのヴィンテージ生地を使ってて〜、同じ物のない一点物なん——」
「ありがとうございます。何かあったら声かけますね。」
「あ、は〜い。ごゆっくりご覧くださいませ〜。」
話しかけてきた店員さんをりきが追い払う。
「6000円かぁ……」
値札を見て思わず声が漏れる。
「ストラップにしては高級な気もするけど、気に入ってるなら買ってもいいんじゃない?時間はあるから悩みなよ。」
少しの間僕は無言になる。
このストラップを買うか悩んでるわけじゃない。
深呼吸して、勇気を出して口を開いた。
「ねえ、りき。」
「どうした?」
「お揃いで買いたい……お金は僕が出すから。」
「え、いや流石にそれはワルいって。」
「りきとお揃いの物が欲しいの。だからそれが僕のご褒美!ね?いいでしょ?」
「あー、うん。わかったよ。好意は素直に受け取る事にする。」
そう頷いたりきは優しい笑顔を向けてくれる。
「やったー!りきはどれがいい?」
「園田が選んでよ。アンタが買うんだし、好きなのでいいよ。」
「それじゃーこれ!」
僕はライオンのストラップを手に取る。
「りきのイメージにぴったり。うんうん。」
「私ってどんなイメージなの?」
「肉食系?強くてー、かっこよくてー、金髪が立髪みたい。」
「それ褒めてる?」
「褒めてる!」




