5/98
金髪
私は好奇心を抱いていた。
鈴木のことが気になる。
私が転校してきたこの学校は比較的偏差値も高く、校風は穏やかで生徒も皆真面目な印象だ。
クラスの生徒のほとんどが黒髪でいかにも大人しそうな見た目の中、彼女の金髪は異質で特別だった。
もちろん、彼女のように派手に制服を着崩してる生徒もいない。
それどころか、シャツの第一ボタンまで律儀に閉めている生徒の方が多数派だ。
担任の先生がホームルームを切り上げてすぐに、私は鈴木に話しかける事にした。
試しに自己紹介をしてみたものの、空返事をされただけで会話は続かなかった。
私に興味がないのか、それとも私と会話をする事を拒否しているのか。
その後すぐに彼女は机に伏せてしまった。
どうやら後者のようだ。
下の名前ぐらいは聞きたかったが、今は無理そうだ。




