ご近所
二人で佐藤の乗った車を見送った。
「じゃあ私たちは行こうか。」
「うん!」
元気良く返事をした園田は私の腕に抱きついてくる。
そのまま腕を組む形になって、頭を私の肩に寄せる。
「今日はこのまま行くの?」
私はそのまま歩き出す。
「うーん。僕は一度帰って着替えたいな。りきは?」
「まあ、そうしようか。」
私たちの家は学校から徒歩10分ぐらい。
お互いの家には数十秒で着くご近所だ。
「りきと一緒に家まで帰るなんていつぶりだろう?すごく懐かしい感じ。」
「せいぜい2年とかじゃないの?中学生の最初の頃は何度か一緒に帰ってたと思う。」
その後私は園田も含めて周りの人から距離を置くようになった。
園田の家の前についても彼女は腕から離れようとしなかった。
「着替えるんじゃないの?」
「えー、りきと離れたくなーい。」
「何言ってんの。」
更に力強くひっついてきた園田を私は引き剥がす。
「もー、痛いじゃん。」
「早くしないと時間なくなるよ。」
「それはそうだけどさぁ……」
「腕ぐらい後でいくらでも組めるでしょ。」
「じゃあそうする。約束だからね!」
「はいはい。」
ほっぺを膨らます園田をなだめて、私も着替えを済ませるために家に帰る。




