19時
私はベッドに座りスマホで時間を何度も何度も確認する。
19時まであと2分だが、その2分が長い。
スマホの画面に映し出された時計を眺めている時間は永遠にも感じた。
そしてようやく19時になると、交換したばかりのLINEで鈴木に電話をかけようとする。
しかし今度は、あまりに時間ぴったりだと変に思われるんじゃないかと不安になって電話をかける寸前で手が止まる。
それにまだ家に帰っていない可能性だってある。
特に話したい事があるわけではない。
電話をかけるのはやめようと思ってスマホと自分の体をベッドに放り出す。
ベットに寝そべるとあの日の事を思い出す。
鈴木の体温、鈴木の寝息、鈴木の匂い。
私はスマホを拾い、メッセージを送った。
「今どこ?」
するとすぐに返信が来る。
「家」
何と返そうか迷っていると再びメッセージが送られてくる。
「一応19時までに帰ってきたけど何かあるの?」
「別に」
わざわざ、私のために時間を気にしてくれたのかと思うと思わず頬が緩んだ。
「今日はありがとう。それだけ」
こんな舞い上がった状態ではとても話せないと思って、私はお礼のメッセージだけ送った。
「私も楽しかったよ。ありがとう。」
今日はこれだけで十分だ。




